裕福な家庭に生まれた青年が、最愛の恋人と別れたがゆえに辿る刹那的な人生行路。日本初紹介となるインドの新鋭、アヌラーグ・カシヤプの最新作。インド映画史への彼の登場は、フランス映画史におけるゴダールの登場に匹敵する大事件となった。これまで日本文化との異質性、距離感が持ち味だったインド映画。でも『デーヴ D』を彩るのは、むしろ韓国映画『八月のクリスマス』さながらの、日本文化との同質性、共感だ。制服の裾をこっそり短くして登校するヒロインの女子高生時代の姿に、昔の自分の甘酸っぱい記憶を呼び覚まされる人も多いのでは?