渡辺真起子と安藤サクラ。今の日本映画界でもっとも繊細な身体言語を放つ女優二人が主人公姉妹を演じる、というだけでもうあらゆるショットがただならぬゴージャスなドラマ性を帯び始める。加えて最近、タイ映画、香港映画などアジア映画の女優としても進境著しい蒼井そらの名脇役ぶりも素晴らしい。『ワンダフルライフ』『誰も知らない』『歩いても 歩いても』など是枝裕和映画のキャメラマンとして知られる山崎裕、69歳にしての劇映画監督デビュー作だが、その才気漲る流麗な演出はまるで20〜30代の若手監督のようにパワフルで純真だ。