前世代の監督たちが多少守りに入った感もあるなか、いま中国映画監督として最もチャレンジングで旺盛な創作活動を展開する王全安(『トゥヤーの結婚』)による、衝撃的というほかない傑作。エドワード・ヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』にも通じる“もう取り返すことなどできない青春の時間”への悔恨が、ロシア民謡「紡ぎ女」の調べに導かれながら悟りへと昇華し、奇跡のような祝福に満ちたラストに結実する。できたて最新作『団円』が先に閉幕したベルリン映画祭でオープニングに選ばれ、かつ最優秀脚本賞に輝いた今となっては、『紡績姑娘』に“最新作”という呼称は使えない。が、それでも地元・中国での公開に先行しての大阪上映となる、ピカピカの新作だ。