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3月15日(日)vol.3

 

出演者が“暗い”と評する作品を監督が弁明?!『誰もわかってくれない』

インディ・フォーラム部門〈第11回CO2助成作品〉『誰もわかってくれない』上映後のQ&Aでは、まず初めに出演者の方々が映画を見た感想を述べられました。

今回初めて見たという橋本一郎さんは「何か暗いなという印象(笑)。監督とは大学の同級生なので、彼がどんな風に映画を作るのかが気になっていた。でも実際すごく面白かった。」同じく初めて見た角村響ちゃんは「台本読んで話の内容分かっていたから暗いなーと感じたけど、やっぱり楽しかった。」と述べ、父親役の橋本さんに「家族のシーンでは別に暗いシーンはなかったけどね。」とつっこまれ照れ笑い。辻凪子さんは「みんなで仲良くお鍋を囲むシーンがありますが、私と泉君だけ食べられなかった。」と悔しそうで、シリアスな映画ですが、撮影自体はとても楽しい雰囲気で進められていたことがうかがえました。

  • 辻凪子さん
  • 泉翔竜くん
  • 玉川佐知さん
  • 橋本一郎さん
  • 角村響ちゃん

出演者の方々に暗いと言われた松本監督は、「明るい映画が好きなのですが、どうしても暗いものになってしまう。意識としてあったのが、変にサスペンスだけにしたくなかったということ。何か出来事が起きたとしても生活は続くしから。だから家族のシーンとか辻さんがこけるシーンとか、全然笑ってもらってもよかったんです。シリアスな中にちょっとした可笑しさみたいなものがどうしても出てきて、そんな暗いだけじゃないんだよというのを言いたかったのですが……やっぱ根が暗いんですかね(笑)」と会場を笑わせました。

  • 松本大志監督

また、泉翔竜君の演技がものすごく自然でナチュラルで、特にラストシーンの演技が印象的であると評判が良く、どのように演出をされたのかという質問が。泉君は「最後のシーンはもっと強く見つめるようにと何度も言われた記憶があります。」とのこと。監督は泉君に対して少し動きを細かく作ったとしながらも「もともと目の印象がすごく強くて、ここはあんまり他の動きではなくて彼の目で勝負したいと思いました。あのシーンは最後の方に撮影しましたが、集大成といえるほど印象に残っているシーンです。」と泉君の演技に太鼓判。最後はゲスト全員がそれぞれ感謝の意を述べてQ&Aは終了しました。

 

 

 

監督の世界感を共につくりあげた演者が集合『デュアル・シティ』

この日、駆けつけたインディ・フォーラム部門〈第11回CO2助成作品〉『デュアル・シティ』のゲストは監督を含め12名。上映後のQ&Aでは、監督から登壇者の紹介がありました。

この作品は2034年の近未来を舞台にしたもの。観客からも、CGがスゴイとの声がでると、長谷川億名監督からも低予算ながら2034年の世界をつくりあげるのが一番苦労した、との話しが。実際、長谷川監督は街なかを撮影することがお好きだそうだですが、今回は、あえてそれを避けての撮影になったとか。

一方、出演者にとって近未来を舞台にするということはどうだったのでしょう、という問いかけに、「すぐには理解できませんでした(笑)」と森田亜紀さん。子役の杉原凛さんは「はじめ何のこっちゃわからんかった。頭がこんがらがった(笑)」とも。谷啓吾さんは「オーディション要項に〝2034年を再現できる方″とあった(笑)。でも未来だって普遍的な人間として変わらないものがあるだろう、ということを大事に、オーディションに参加した。監督の思いと一緒だった。」と語り、世界感は壮大であっても、内容はパーソナルなことであり、時代を超えて変わらないものである、ということを、各人共有し取り組んだ作品となったようでした。

今後、さらに編集を加え、世界にうってでることを目指すという本作。ますます世界が広がりそうです。

  • (前列左から)長谷川億名監督、原智広プロデューサー、出演:森田亜紀さん、馬渕智未さん、谷啓吾さん (後列左二人目から)富奥晃史さん、齋藤隆文さん、normarataniさん、上田辰也さん、青葉みなみさん、杉原凛さん、特殊メイク:野中比喩さん

 

 

 

プラネット・スタジオ・プラス・ワンでの最後の上映は『バカドロン』

プラネット・スタジオ・プラス・ワンでの最後の上映はインディ・フォーラム部門〈第11回CO2助成作品〉『バカドロン』。元芸人という経歴をもつ黒田将史監督に出演のGONさん、前田愛美さんらが登壇。客席にいらした河合まゆさんも、急遽、挨拶に立たれました。

  • (左から)黒田将史監督、GONさん、河合まゆさん、前田愛美さん

これまでの作品と違うところについて「まずは、今まで手書きだった脚本をパソコンで書きました。ちゃんと製本もして。そして、初めて4人以上のスタッフでつくりました。前作は、僕が監督して録音してカメラマンと二人でつくっていたので、すごいステージに進みました。」と、一見すると苦労話も笑いに変えて語った黒田監督。普段メガネをかけている芸人さんの多くが、メガネを外して出演されていた事について監督は「日頃から本人たちにも伝えてるけど、皆いい顔してるから……」と、日頃からの観察力を窺わせました。

主演のGONさんの起用に関しては、直感で決めたとのこと。つくるならCO2に応募してみようと、GONさんも黒田監督も、それぞれが、俳優、監督(映画企画)として応募。見事二人ともCO2俳優特待生、CO2助成監督の選考を通過。「俺ら最強やん」と、『バカドロン』を制作することに話が進んだとか。

「本映画祭での上映を通して、3日間それぞれ違うお客さんの反応をいただいて有難かった。これからこの作品を展開していく自信がつきました」とGONさん。黒田監督は、「他の映画祭への出品や劇場公開を目指すので楽しみにしていてください」と語り、トーク終了後にも客席から大拍手が起こりました