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王維明(ワン・ウェイミン)
なつかしく思います。私や姜秀瓊(チアン・ショウチョン)、王也民(ワン・イエミン)などみんな楊德昌(エドワード・ヤン)監督の影響を受けています。本当に厳しい方です。でも、撮影に入る前は子供みたいでバスケットボールを見るのが大好きで、まだ若かった僕たちと話をするのも大好きで、冗談もよく言っていました。ただ一旦撮影に入ると厳格になります。自分に対する要求が高かった人なのではたから見ると彼が何を考えているかよくわからなかったと思いますが、あまり言葉で具体的な事を言わないので、「なんでお前達はわからないんだ、以心伝心でわかれよ」と、よく言われました。すぐに爆発すると言われますが、「なんで自分の思っていることを理解できないんだ」という怒りだったのでしょう。
楊德昌監督は「夜に脚本を書くのはやめなさい。朝太陽が昇ってから書き始め、昼にはやめる。午後はリサーチや想像に時間を使いなさい」と言われたので、その教えは今でも守っています。若い頃は自分の未来がよく見えなかったのですが、あの頃楊德昌監督の自分たちの志気を高めるような言葉は、今も変わらず僕たちを燃やし続けてくれていると思います。
天真爛漫で、それでいて強い意志を持ったクリエイターでした。台湾ニューウェーブを生んだ楊德昌監督と侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の固い意志は、今なお続いていると思います。私が今回映画界に戻ってこようと思ったのも、楊德昌監督とのあの時代があったからです。その恩恵はとても大きいです。(提供:アジアンパラダイス)
王維明(ワン・ウェイミン)
エドワード・ヤン監督の『エドワード・ヤンの恋愛時代』でメインキャストのひとりをつとめ、その後エドワード・ヤン監督のもとで映画製作に関わる 様々な仕事に従事、片腕と言われる。劇場用映画初監督作品『寒蟬效應』が昨年台湾で公開。
姜秀瓊(チアン・ショウチョン)
「牯嶺街少年殺人事件」に出演した後、私は積極的に俳優としてオーディションを受けたりしませんでした。女優はオファーがなければ映画に関われません。でも、監督なら伝えたいテーマを自分で脚本を書けば良いし、プロデューサーがいなければ自分で資金を調達して制作することができるのでそちらに進みたいと思っていました。
そんな時に楊德昌監督から次の「エドワード・ヤンの恋愛時代」の脚本チームに加わらないかというお誘いをいただきました。本当に感謝しています。だって、それまで私が書いたものなど一度も読んだことないのですから。全然自信はなかったのですが、監督が一緒にやろうと言って下さったので、そこからクリエイターとしての道が開けました。
「牯嶺街少年殺人事件」の時は自分が演じる時だけ現場に行きましたが、楊德昌監督の現場で、映画製作の全体を知ることができるようになりました。それがきっかけで、音効の杜篤之(ドゥー・ドゥージ)さんの紹介で侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の「フラワーズ・オブ・シャンハイ」の助監督をつとめるようになり、また楊德昌監督の「ヤンヤン夏の想い出」にも関われたことは、とてもうれしかったです。 (提供:アジアンパラダイス)
姜秀瓊(チアン・ショウチョン)
『牯嶺街少年殺人事件』で助演女優賞にノミネートされた後に演技から演出に転身。最新作は2月28日公開の永作博美主演映画『さいはてにてやさしい香りと待ちながら』。
戴立忍(ダイ・リーレン)
楊德昌(エドワード・ヤン)監督には大学で教わりましたが、「本当に映画を作りたいのなら、学校なんかに行く必要はない。学校は理論や技術は教えるが、創作は人から教わるものではない。監督になりたいのだったら、私の助監督になりなさい」と言われました。
最近、この恩師の弟子仲間である楊順清(ヤン・シュンチン)監督の「獨一無二」と、王維明(ワン・ウェイミン)監督の「寒蟬效應」に続けて出演しました。楊順清(ヤン・シュンチン)監督は長らく映画を撮っていなかったのですが、最近ご自身で会社を作りまた映画に取り組むことになった。王維明監督はしばらくCMを撮っていてまた映画に戻って来た…奇妙な縁だと思います。楊德昌監督と密接だったこの二人と仕事をできたのはうれしいですね。 (台湾エンタメパラダイスVol.10より)
戴立忍(ダイ・リーレン)
エドワード・ヤン監督の『ヤンヤン 夏の想い出』出演、『不能没有你』監督。エドワード・ヤン監督を恩師とあがめる。