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3月15日(日)vol.1 クロージング・セレモニー

いよいよ感動のフィナーレ、グランプリはイー・ツーイェン監督の『コードネームは孫中山』(台湾)が観客賞と2冠!

3月6日(金)より、梅田ブルク7、ABCホールをはじめ大阪市内の5会場にて開催してきた「第10回大阪アジアン映画祭」。日本初上映となるクロージング作品『国際市場で逢いましょう』(ユン・ジェギュン監督)上映前に、クロージング・セレモニーが行われ、グランプリをはじめとする各賞の発表および受賞者の挨拶や、審査委員のコメントが発表されました。

  • 朝日放送アナウンサー 橋詰優子さん(右)

 

観客賞

まず観客の皆さんの支持を最も集めた観客賞は、イー・ツーイェン監督『コードネームは孫中山』(台湾)が受賞。「私たちは大阪で3日間過ごしたが、本当に温かく迎えていただき、楽しかった。この受賞を励みに、帰って脚本を書き、映画を撮り続けることができる。また大阪に戻ってきたい」(イー・ツーイェン監督)

 

薬師真珠賞

スポンサーアワードとして今年新設された、最も輝きを放っている俳優に授与される薬師真珠賞は、『アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー』主演女優のプリーチャヤー・ポンタナーニコンさんが受賞。代理で登壇したメート・タラートン監督にプレゼンテイターの薬師広幸氏から副賞のネッ クレスが手渡されると、「観客の皆さん、OAFFの皆さん、女優のプリーチャヤー・ポンタナーニコンに代わって感謝を申し上げます」とコメントを述べられました。

 

ABC賞

次に朝日放送でオンエアされるABC賞について、朝日放送ビジネス戦略局イベント事業部の板井昭浩部長から発表。ハン・ハン監督の『いつかまた』(中国)が受賞しました。

 

続いてコンペティション部門国際審査委員長のパン・ホーチョン監督、審査委員の武田梨奈さん、ユン・ジンソさんが熱い議論を交わした結果が発表されました。

スペシャル・メンション

まず、スペシャル・メンションが『セーラ』(香港)主演女優のシャーリーン・チョイさんに授与され、代理で登壇した『セーラ』ハーマン・ヤウ監督は「香港で撮影の予定が入っていたので、大阪に来られなかったが、この賞をいただき本当に喜んでいると思う」

 

来るべき才能賞

そして来るべき才能賞は、『アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー』のメート・タラートン監督が受賞。「今回このような賞をいただけると期待しておらず、参加できるだけで満足だった。実行委員会、観客の皆さんに、クルーを代表して感謝申し上げたい」

 

グランプリ

いよいよグランプリの発表。今年は観客賞も受賞した、イー・ツーイェン監督の『コードネームは孫中山』(台湾)がW受賞しました。

「本当にありがとうございます。思いがけない受賞でした、この賞をいただいたからには、もうひと息がんばって撮ってみたいと思います。できれば今後日本で公開されればうれしく思います。審査委員の皆さん、大阪アジアン映画祭、ありがとうございます」(イー・ツーイェン監督)、「ありがとうございます」(ジャン・ファイユンさん)「ありがとう、大阪。ありがとうございます」(ウェイ・ハンディンさん)と喜びを噛みしめながら、お一人ずつコメントを語ってくれました。

 

最後に、審査委員を代表して審査委員長のパン・ホーチョン監督から受賞理由のコメントが読まれました。

大阪アジアン映画祭に審査委員として招いていただいたことに感謝申し上げます。審査委員というのは楽しいと同時に辛い仕事でもあります。私どもフィルムメーカーは、映画を作るときは自分の努力だけでできますが、審査委員は皆さんが努力して作られた映画を審査するわけで、公平かつその努力を尊重しなければなりません。一生懸命討論した結果についてご説明します。

スペシャル・メンションを受賞したシャーリーン・チョイ(『セーラ』主演女優)ですが、10年以上の時を経て、ついに演技の花を咲かせました。本人のキャリアにとっても初めての挑戦で、体当たりの演技をみせ、アイドル歌手から実力派女優として脱皮したことが、受賞理由となりました。

来るべき才能賞を受賞したメート・タラートン監督(『アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー』)ですが、コメディというものは言葉の翻訳や文化の違いを受けやすく、実は作るのがとても難しいにも関わらず、見事にバランスを取り、また同時に誇張や滑稽さをうまく避けて作っておられました。これは賞賛に値する才能です。

グランプリを受賞した『コードネームは孫中山』ですが、少年たちのいたずらによる小さな盗難事件が発端になるストーリーながら、よく見ると昨今の台湾社会の一般市民の生活や社会情勢を映し出しています。イー・ツーイェン監督は、シンプルなセリフ回しと細やかな表現方法で若手俳優たちの自然な演技を存分に引き出しました。

今回審査委員を代表して、大阪アジアン映画祭に感謝申し上げると共に、受賞されたみなさんに「おめでとう」と申し上げたいと思います。ありがとうございます。

最後の写真撮影では、壇上のイー・ツーイェン監督自らがカメラマンになって、受賞したジャン・ファイユンさん、ウェイ・ハンディンさんの写真を撮る場面も。監督は自撮りもなさるお茶目な一面も発揮されていました。受賞の喜びを早速報告されていたのかもしれませんね。

 

 

 

『国際市場で逢いましょう』舞台挨拶

クロージング上映作品『国際市場で逢いましょう』のユン・ジェギュン監督が登壇され、舞台挨拶が行われました。

まずは、「こんばんは。『国際市場で逢いましょう』監督のユン・ジェギュンです。この映画は厳しい時代を強く生き抜いた父親のお話です。みなさん楽しんでください」と日本語で丁寧にご挨拶いただき、観客からも大きな拍手が送られました。

ファン・ジョンミン演じる父親の姿を通じて伝えたかったことについては、「韓国も日本もとても豊かに暮らしているが、その豊かさはどこから来ているのか。父や祖父の世代の人たちのおかげで成り立っていることを、この物語で伝えたかった」と語り、今韓国で大ヒットの要因として、大変な時代を生き抜いてきた親世代の人たちにとっては癒しの映画であり、若い世代にとっては苦労を重ねた世代への感謝の映画で、世代間のコミュニケーションを作るきっかけになったことを挙げました。

最後に、「これは早くに亡くなった私の父に捧げる映画になっている。皆さんも鑑賞後、帰宅して両親に対する感謝の気持ちを伝える電話の一本でもしてくださればうれしい」と観客へのメッセージを語ってくださったユン・ジェギュン監督。真摯な姿勢で、一生懸命に話される姿が、映画と同様に感動を呼びました。

本作は5月16日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田ほか全国順次ロードショー
公式ホームページ
 http://kokusaiichiba.jp/