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3月10日(火)

本日は、シネ・リーブル梅田とシネ・ヌーヴォの2会場で上映がありました。昨日の『デュアル・シティ』に続き、CO2の助成作品『バカドロン』『誰もわかってくれない』(右写真)が世界初上映となりました。

また、当初予定になかった特集企画《ニューアクション!サウスイースト》の『ガルーダの戦士 ビマX』には、映画ライターの浅尾典彦さん(夢人塔)が緊急参戦。次回上映回分のレポートを掲載予定です。

 

仲間と共に、夢への1歩を踏み出した黒田将史監督『バカドロン』

シネ・ヌーヴォにてインディ・フォーラム部門〈第11回CO2助成作品〉『バカドロン』が登場しました。CO2(シネアスト・オーガ二ゼーション大阪)は映像制作者の人材発掘、育成を目的としたプロジェクトで、2004年から通算して11回目となります。「全国の若手監督から企画を募集し、万田邦敏監督、山下敦弘監督、アレックス・ツァールテンさん他、選考委員で助成監督を選考。昨年の夏を過ぎた頃からワークショップも含めて映画を撮っていきました」とCO2事務局長の富岡邦彦さんより紹介。

  • (左から)黒田将史監督、出演:GONさん、木崎太郎さん(祇園)、ケツさん(ニッポンの社長)、今井将人さん(ヒガシ逢ウサカ)、宮川陽香さん

本作は、辰男とボンのコソ泥コンビが仕事を求めてやってきた大阪で、中国から来た女性に一目惚れあり、恋愛指南あり、友情の危機あり、怒涛の展開の中二人は本当の男になれるのか!?という憎めないダメ男達の青春映画。

挨拶に立った黒田将史監督は、「寒い中大勢の人に来ていただき非常に嬉しく思います。ありがとうございます。」と述べ、主演の一人であるGONさんは、「映画というのは主人公の成長過程を描いていくのが映画だと思います。ぜひご覧ください。」と挨拶されました。黒田監督は元吉本芸人。お笑い芸人、祇園の木崎太郎さん、ニッポンの社長のケツさん、ヒガシ逢ウサカの今井将人さんが役者として出演し、作品を盛り上げています。

主役コンビ行きつけの喫茶店の看板娘を演じた宮川陽香さんは、「普段は舞台ばかりで映画の現場は初めてだったんですけど、楽しい現場でたくさんのことを学ばせて頂きました。」と笑顔を見せました。

上映後は、シネ・ヌーヴォXに場所を移してQ&Aが行われました。

GONさん演じる辰男の姉の恋人を演じた木崎さんは、「スクリーンで見たら思っていたよりチャラかったんでびっくりしました。コンビニ行った時の周りの目線がヤバかったですね。この人クズなんや(笑)」このコメントに観客は爆笑。どのくらいチャラいかは、ぜひスクリーンでご確認ください。

坊主Aを演じた今井さんは、食事シーンが多いことに触れ、「観ていて無茶苦茶腹減りました。ずっと食ってたでしょ。タバコ吸うか飯食うか(笑)」一番最初に見た記憶のある映画が『もののけ姫』という黒田監督。肉を食べるシーンに憧れがあり、食事シーンを多く取り入れたと明かしました。

24歳にして中学生役のケツさん。黒田監督と同居していて制作期間中に頑張っている姿を見ていたといいます。「いい映画が出来てほしいなと思っていたんですけど、今日観て凄い良かったと思ったので最高やと思います。」

今まで数人の最小限の人数で『おとなになりたくて』『QOQ』を制作してきた黒田監督。今回初めて制作チームを組んでの撮影となりました。人を使うことに慣れていないこともあり過酷だった撮影の様子。出演者からは、黒田監督モニターチェック居眠り事件、GONさん失神事件、岩場転倒事件など次々に爆笑エピソードが飛び出しました。

最後にGONさんは、『バカドロン』公開にあたっての心情を吐露。活動の拠点を東京から大阪に移し、役者をどう続けるかという問題に直面していたときに黒田監督から声を掛けられたと語ります。「また泣きそうです。これが復活なんで。ここからブイブイ言わせていきたいし、もっと映画を盛り上げて行きたい」もう1人の主演・ボン役の中村祐太郎さんとは映画制作を一緒にやって来た、一生共にしたいと思う仲間。「今日観たお客さんが、何年か後にあの監督あそこまで行ったよって、『バカドロン』を一番最初に映画館で観たんだよって言ってもらえるように頑張るので、応援して頂けたら。そしてもっと映画館に行ってもらえたら。面白くない映画もあるし、合わない映画もあるでしょう。何を得られるか分からないけど、取り敢えず行動を起こしてもらえたらと思います。」との言葉に会場も熱くなりました。

高校を中退して芸人となり、芸人も辞めて映画の道を歩もうとしている黒田監督。芸人を辞める事を止めてくれた仲間が映画に出演してくれたことに感謝しつつ、「映画は100分でしたけど、その外で成長出来た気がします。もっと映画を観て、何が面白いかを理解して、きっちり笑いが取れるようになりたいです。名前を覚えてもらってまた新作を観てもらえたら嬉しいです」と今後の目標を語りました。