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3月12日(木)vol.2《HONG KONG NIGHT》

 

“香港映画の今”がみえた華やかな映画人たちの競演《HONG KONG NIGHT》

19時から特集企画《Special Focus on Hong Kong2015》のハイライトとなる《HONG KONG NIGHT》が開催されました。今年も香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部の協力により、香港映画の巨匠新作から注目インディーズ作品まで話題の香港映画を一挙上映。またブルース・リー生誕75周年特別上映も行いました。

セレモニーの初めに、上倉庸敬 大阪映像文化振興事業委員長のが感謝の意を述べ、開会の挨拶を行いました。引き続き、香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部・首席代表のサリー・ウォンさんが、近年様々な舞台芸術グループが活動し、ギャラリーなどが展開されているクリエイティブな香港の様子を紹介し、「『点対点』のように、映画は現実を様々な視点から見せてくれる」と、ハリウッドがリメイク権を得ようとする魅力的な香港映画に加え、新しい香港映画の魅力にも触れました。

  • 上倉庸敬 大阪映像文化振興事業委員長
  • 香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部
    首席代表 サリー・ウォンさん

そしてお待ちかねのゲストとして、セレモニー後日本初上映される『点対点』のアモス・ウィー監督、俳優のスーザン・ショウさん、キャンディ・チャンさん、『セーラ』のハーマン・ヤウ監督、『全力スマッシュ』のデレク・クォク監督、ヘンリー・ウォン監督の6名が登壇。長年、香港映画界で活躍している大ベテラン、スーザン・ショウさんのキラキラ輝く薄いピンク色のチャイナドレス姿や、大きく盛られたヘアメイクに、会場から大きな拍手が沸き起こりました。

アモス・ウィー監督は、大阪は今回が初めてではないとしながら、「私自身が作った映画を上映できてうれしい。今までの香港とまた違った面を観ていただける映画になっているので、楽しんで下さい」と挨拶。続いて、スーザン・ショウさんが「香港映画のファンの方の顔を見ることができ、うれしい。ロケ地を巡ってくださるのは感動的なこと。」とファンへ感謝の言葉を述べた後、同席しているキャンディ・チャンさんのことを紹介する気遣いも。「あまりにも作品の出来が良く、香港電影金像奨新人監督賞にアモス・ウィー監督がノミネートされているけれど、私のノミネートはなくてちょっと怒っています。」と笑わせながら、『点対点』に出演できたことを本当に喜んでいらっしゃる様子。観客の皆さんも熱心に耳を傾けていらっしゃいました。紹介されたキャンディ・チャンさんは「この映画はわたしにとって香港映画出演の第一作目。大阪は素晴らしい。」と。

  • 『点対点』アモス・ウィー監督
  • スーザン・ショウさん
  • キャンディ・チャンさん

ハーマン・ヤウ監督は「皆さんが一緒に映画を観て、幸せな時間を過ごしてくださることを祈っている。」と映画を心から楽しむ観客の皆さんの様子に感激の面持ちでした。デレク・クォク監督も「日本の観客の皆さんは映画を観ることを楽しんでいる。笑ったり、拍手までしてくださる。」と観客の反応に感動しているご様子。最後にヘンリー・ウォン監督が「『全力スマッシュ』はわたしにとって初の長編監督作品。その作品で来日できたことをうれしく思う。どんどんいい作品を作っていきたい。」と力強く挨拶され、大いに盛り上がった舞台挨拶を締めくくりました。

 

 

 

時代を超え、人でつながり、点で結ばれ完成した『点対点』

観終わって爽やかで心温まる気分にさせてくれる『点対点』の上映後は、アモス・ウィー監督、俳優のスーザン・ショウさん、キャンディ・チャンさんが再び登壇し、Q&Aが行われました。

冒頭に司会の上野昂志氏に「校長」と呼ばれたスーザン・ショウさんは「今回は校長先生役で、初めて文化的な役をもらった。今まで何百本という映画に出演してきたが低俗的なものばかり。一番喜んでいたのが私の母」とすかさずコメント。さらに、セレモニーではしゃべり足りなかった様子のスーザンさんは「主演のチャン・ホウはテレビで人気の俳優だが、他のキャスティングで有名な人はいない。観てもらうのが難しいのではと思っていたが、アモス・ウィー監督の友人をはじめ、多くの人の協力を得て完成にこぎ着けた香港らしい作品。70年代の香港にあった友情や懐かしさを出そうという意図で作り、いい映画になった。参加できたことを感激している」と改めて力説。また10年前に閉店した銅鑼湾の大丸百貨店についても触れ、「大丸は当時一番大きなショッピングモールで、多くの人の生活を支えていた。70年代を生きた香港人としての共通の記憶で、この作品にはそれが詰まっている」と感慨深く話してくださいました。

また『点対点』に出演するため、現在住んでいるアメリカから香港に戻ったというキャンディ・チャンさんは監督とは長年の友人で、今回はインターネット上でキャスティングが行われたことや、撮影までの相談をしていたことを明かしながら、「私の撮影は2日間。集中して撮っていたが、その間も監督は話をし、指示を出してくれた。予算はあまりないけれど、内容のいい映画で、私にとってもチャレンジだった。予算がなくても挑戦的な映画を撮っていくのが香港映画。それだけに満足感が高かった」と撮影を振り返りました。

全クルーが集まって撮影したのがたった18日間だったというアモス・ウィー監督は、99年に最初の構想があったことを披露しながら、「もともとは単純なラブストーリーだったが、13年に撮り始めたときは、香港の変化を取り入れた。香港の外から来た女性が点を見つけるというのが大事なポイント。最初は北海道から来た女性にするつもりだったが、予算の都合で、大陸の女優さんに参加してもらった」と撮影前のエピソードも披露されました。

最後に3人のゲストに大きな拍手が送られ、《HONG KONG NIGHT》および『点対点』上映は感動のうちに幕を閉じました。