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3月13日(金)vol.4

この日、シネ・ヌーヴォはチケット完売のプログラムが続き、ロビーも大混雑。その中、『セーラ』のハーマン・ヤウ監督は、朝一番の上映にかけつけてくださり、観客のテンションも一気にあがりました。また、プラネット・スタジオ・プラス・ワンでも、この日から上映が始まり、世界初上映となるCO2ワークショップ作品『続・映画列車:リュミエールかエジソン』と第11回CO2助成作品『デュアル・シティ』が上映されました。

ハーマン・ヤウ監督の人柄に会場が一体化した『セーラ』

ふたりの監督は日本の漫画好き!『全力スマッシュ』世界初上映

 

ハーマン・ヤウ監督の人柄に会場が一体化した『セーラ』

朝早くの上映にもかかわらず、シネ・ヌーヴォのロビーはコンペティション部門及び特集企画《Special Focus on Hong Kong2015》の『セーラ』の開場を待つお客様で埋め尽くされました。

上映前の挨拶でハーマン・ヤウ監督が話し始めると、客席から大きな拍手とパシャパシャとフラッシュをたく音が。監督を待ち焦がれていた観客の気持ちが現れた瞬間でした。真っ黒なロングヘアにジーンズ姿の監督は、まるでロックミュージシャンのよう。上映前のメッセージとして「作品の出来には満足しています。楽しんでくださいね!」と一言。さらに「道徳的に許されない中、ある女性が勇敢に未来を選択する物語です。いまだに男尊女卑は世界各地で残っていますが、その中で行動する主人公に共感を持っていただけたら」と結びました。

上映後のQ&Aは、映画館2階のシネ・ヌーヴォXで。本作では少女売春がテーマの一つとなっています。売春に絡んで非常にきわどいシーンもあるため、監督は現場でのトラブルを避けるために明確な指示を出したそう。

また主演女優シャーリーン・チョイさんのファンから、役と撮影中のエピソードについて質問がありました。すると監督は「なぜ彼女をあの役にしたのか、と怒られなくて良かった!」とお茶目なお返事。続けて「彼女は売れっこで、自分で役を選んでいますよ。私たちの方からオファーを出したのですが、ちょうど彼女もこれまでとは違った役を演じたいと希望していたので、話が進みました」とのこと。

最後に本作のプロデューサー、チャップマン・トーさんとの関わりについて質問。本作のプロダクションは、2013年に設立された彼の制作会社が担っています。香港では、大陸の市場に行こうとする際、大陸と合作したりしなければならず、審査をクリアするのが難しい。でもそこを気にせず自由に映画を作りたいという希望を叶えるため、チャップマン・トーさんは小規模な制作会社を立ち上げたそうです。

脚を組み、膝の上に手を置いてさりげない風情の監督がとても印象的でした。(写真:3月15日舞台挨拶より)

 

 

 

ふたりの監督は日本の漫画好き!『全力スマッシュ』世界初上映

コンペティション部門及び特集企画《Special Focus on Hong Kong2015》の『全力スマッシュ』の上映前、デレク・クォク監督、ヘンリー・ウォン監督が登壇されました。

  • (左から)デレク・クォク監督、ヘンリー・ウォン監督

上映後のQ&Aでは、ほとんどのお客様が参加されていました。監督も上映中に鑑賞されており、「お客様の反応がとてもよかったのでうれしかった」とのこと。「広東語特有の言葉や、実在する歴史的有名人の名前などを使っていたのに笑っていただけたので、すばらしい翻訳になっていたのかな」という感想ももたれていました。

監督がおふたりということで、演技についての意見の違いで喧嘩になることもたくさんあったそうですが、現場に入る前には必ずまとまっていたそうです。「映像が日本の漫画みたいですが、好きな作家さんはいますか?」との質問に、両監督とも日本の漫画が大好きだそうで、たくさん読んでいるとのこと。因みに、デレク監督は「あしたのジョー」や、「スラムダンク」などが、ヘンリー監督は島本和彦さんが好きだそうです。

「香港映画には嘔吐シーンが多いですが、なぜいれたかったのか?」という質問には「おもしろいから」の一言。これには会場もどっと沸きました。実際、香港では「吐く=絶望感」ということで、心にいっぱいかかえた傷を気出すというような深い意味もあるそうです。ちなみに嘔吐の中身はシリアルや八宝粥などおいしいものなので、撮影中におやつで食べていたそうですが。

作品は最後に「また会いましょう」との文字が出ており、観客から「続編の予定は?」と聞かれ「あります!」と嬉しいお答えがかえってきました。(写真:3月15日舞台挨拶より)