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張孝全(チャン・シャオチュアン)さんインタビュー

今回より新設された「オーサカ Asia スター★アワード」の栄えある受賞者で、コンペティション部門『コードネームは孫中山』にも出演しているチャン・シャオチュアン。彼に初めてのOAFFの参加、大阪訪問など、話をうかがった。

――「オーサカ Asia スター★アワード」の授賞式の際、「17歳のときに『GF*BF』のヤン・ヤーチェ監督がスカウトするまで、俳優はおろか映画もあまり興味なかった」と言っていましたが、それから映画をよく観るようになったんですか?

「はい。特に台湾映画については、まったくといっていいほど観ていなかったんです。主にハリウッド映画を観ていたので(笑)。今でも覚えているのは、父に連れて行かれた『マイ・レフトフット』です。台湾映画については、俳優の仕事を始めてから意識的に観るようになりました。特に思い出深いのは、エドワード・ヤン監督の『クーリンチェ少年殺人事件』。これは友達が、4時間半のディレクターズカット版を持っていたので、それを観て非常に感銘を受けたのを覚えています」

――ヤン・ヤーチェ監督は現場で厳しいと評判ですが

「そのとおりです。監督は常に俳優を極限まで追い詰めるタイプなので、僕はいつも追い詰められていました(笑)。もうこれ以上は、っていうところまでやっても、監督はいつもそれ以上を求めるんですね」

――行定勲監督との仕事もされましたが、日本の映画やドラマにも興味がありますか?

「もちろんです。大好きでしたから。『ロング・バケーション』や『東京ラブストーリー』を観て育ったので(笑)。映画よりもドラマの方がよく観ていました。」

――香港映画『念念』に出演されましたが、香港の現場と台湾の現場のギャップはありましたか?

「香港は全く違いますね。はじめは全然慣れなかったです。香港は映画産業がシステム化されている印象があります。なんでも分業で効率的に動くのが素晴らしいのですが、自由度は少ないかな。台湾の映画の現場はまだまだ手作り感があるので、常に臨機応変で自由ではあるのです。でも、その分、香港のように時間のコントロールはうまくできないのが難点でもあります」

――台湾映画の将来像というのはどう考えていますか?

「ちょっと前まで、台湾映画はバジェットが非常に少なく、インディペンデントでした。でも反面、誰もがクリエイティブなものをつくろうというプライドに満ちていたように思えます。現代は、バジェットが格段に増えたのはいいんですが、もの作りのプライドが以前のように高いかどうか疑問です。そこが問題になるかもしれませんね」

――授賞式などのお話をうかがっていると、非常に謙虚ですよね。「俳優は待つもの」とおっしゃったり。ガツガツしたところが見えないのがかえって心配なのですが。

「いや、僕はこのスタイルでいいと思っています(笑)。このスタイルで自由に仕事をしているのが性に合っている。それに、今も充分、俳優としてのチャンスをいただいていますからね。ただ、欲を言えば、一緒に仕事をしてみたい監督や俳優など、挙げればきりがないんですけど(笑)」

――『藍色夏恋』や『GF*BF』など、少々似通ったタイプの役が多いところが、ファンとしてはうれしくもありますが、その反面、タイプ俳優になりそうな危機感は感じたりしませんか?

「どんな役を演じても、その都度、作品ごとに違った面を見せられるようにするのが僕の仕事だと思います。なので、危機感は感じません。自分らしく演技をするのが僕だと思うので、これからもいいストーリーを追いたいですね」

――次回作の予定は?

「あまり詳しくは言えないのですが、新人の監督が手がけるオムニバス映画の撮影が終わったところです。じつはその作品の僕が出演するエピソードは、ウェイ・ダーションさんがエグゼクティブ・プロデューサーを務めているんです」

――ウェイ・ダーションさんは今回のOAFFにいらしていましたが、どういうお話をされました?

「彼の作品は全部観ていますし、彼は勇気を持って台湾映画界を変えようとしている人だと思っています。今回、直接台湾映画についての考えをいろいろうかがうことができ、うれしかったです(笑)」