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3月8日(日)

 

アモス・ウィー監督が、15年間温めた長編デビュー作『点対点』、遂に日本お披露目

特集企画《Special Focus on Hong Kong 2015》『点対点』のアモス・ウィー(黃浩然)監督 とカメラマンのアンガス・ダイ(戴偉棠)さんが上映前舞台挨拶と上映後のQ&Aに登場し、熱心な香港映画ファン含め、会場全体を沸かせました。

  • (左から)アモス・ウィー(黃浩然)監督
    撮影監督:アンガス・ダイ(戴偉棠)さん

本作が初の長編監督作となるアモス監督は映画へ込めた思いを聞かれると「大都会 香港 の今と昔を海外のお客さんに観てほしい。街並みや生活仕様がめまぐるしく変化する都市でも、目を凝らせば色んなものが見えるはずだ。」と語られました。また本作は香港の地下鉄をメインロケ地としており、この初の題材にも注目して楽しんでもらいたい、とのこと。なぜならば……それは、上映後のQ&Aで明かされました。

実は香港の地下鉄での撮影は全面禁止されており、かつてあの香港映画の巨匠ウォン・カーワイ監督もゲリラで撮影を行ったそう。監督は「私たちもゲリラ撮影でした。でも罰金の5000ドルはちゃんと用意しています。提訴で映画が有名にならないかな……なんてね。」 と冗談まじりに語り、会場の笑いを誘いました。

その他、撮影で苦労した点は?への質問に「今と昔の香港を表現するのに苦労した。壊されたのは建築物だけではなく、生活の仕方や物事の捉え方、人々の考え方も変わってきている。そこを表現したかった。」と真剣に語るお二人。

12日の上映では、女優のスーザン・ショウ(邵音音)さんとキャンディ・チャン(張雪芹)さんも登壇予定で、更に面白い話が聞けるのではないでしょうか。

アンガス・ダイさんは、劇場入りする前に、
ウェラブルカメラを購入されたそうで、
早速それを使って会場を撮影されていました。

 

 

 

熱い思いのつまった2本立て『ニート・オブ・ザ・デッド』と『BRAKEMODE』

上映前には、インディ・フォーラム部門『ニート・オブ・ザ・デッド』のエグゼクティブ・プロデューサーを務めた南木宙子さんと『BRAKEMODE』のヤングポール監督が登壇。

宙子さんのご主人でもある『ニート・オブ・ザ・デッド』の南木顕生監督は昨年4月に急逝されたため、本作が監督としての初作品であり、遺作となってしまいました。宙子さんからは「監督の出身地である大阪で上映できることを嬉しく思います」と挨拶があり、会場はあたたかい拍手で包まれました。監督の夢であった劇場公開は、宙子さんと多くの映画ファンに見守られて実現。現代の家族問題がテーマでありながら、ゾンビが出現しつつもユーモアいっぱいの展開で、監督の思いの詰まったこの作品はぜひ、劇場でみていただきたいです。

 

記念すべき世界初上映となった『BRAKEMODE』。ヤングポール監督は上映後のトークセッションでも登場。本作について熱く語っていただきました。

観客から「本作のアイデアは監督が考えられたのですか?」との質問。監督が卒業された東京藝術大学と韓国国立映画アカデミー(KAFA)の学生間で、映画のアイデアについてのコンペティションがあり、選ばれたアイデアをもとに、両校の卒業生や学生が携わり、この作品が生まれたとのこと。韓国の釜山を舞台に、言葉は通じなくても友情が生まれるというテーマの作品でしたが、実際の撮影現場では、両国のスタッフが参加して撮影を進めていく中で、言葉が通じない大変さもあったそうです。言葉は通じなくても前向きな姿勢で取り組まれた結果、良い作品になったと仰っていました。

 

 

 

アイディア、熱意が形にした自主制作『Starting Over』

インディ・フォーラム部門『Starting Over』が上映されました。

上映終了後にシネ・ヌーヴォXへ移動してからのQ&Aを予定していましたが、時間の都合上Q&Aに参加出来ない方もいらっしゃるということもあり、上映直後の観客の皆様にご挨拶をと西原孝至監督が急遽登壇されました。

西原監督が大阪アジアン映画祭に出品されるのは『青の光線』に続き今回で2度目になります。順調に映画製作が進んでいるように思われるかもしれないけれど、自分で働いて貯めたお金で撮るスタイルなので自主制作ならではの苦労もあるということでした。

そこで気になるお金の話……ずばり今回の『Starting Over』の総製作費はおいくらだったんでしょうか?との質問にも爽やかな笑顔で「300万円」とのお答え。監督の腕が良いと300万円でこんなに素敵な映画が作れるのかと場内にいた誰もが感じたはずです。そのくらいクオリティーが高い綺麗な映像・素敵な映画でした。

またお仕事をしながら進めていたため撮影スケジュールは主に土日や休日だったそうで、春夏秋冬から成り立っている本編と同じく撮影期間も2013年10月から2014年3月という長い撮影になったそうです。

主演の秋月三佳さんは西原監督が演技に惚れ込み直接オファーなさったそうで、まだメイクさんどころかスタッフも3名しか決まっていない状態だったにも関わらず、脚本を気に入った秋月さんサイドは出演を快諾されたそうです。

「西原監督の作品は女性の描写がとても上手ですがなぜですか?」との質問には、お姉さんがいらっしゃる事もあってか女性と話す事には慣れており初対面の人と話す時には、「男性よりも女性の方が話しやすい」というお答えに会場からは驚きの声も上がっていました。

『Starting Over』が海外映画祭で上映された際には戸塚純貴さんのシーンで度々笑いが起こったそうで、監督は小さい事でも笑いが起きる事に驚いたそうです。海外の映画関係者の方達からは面白い映画の撮り方をしているとお褒めの言葉も頂いたとか。

最後に西原監督からのメッセージ。一度ダメになると再びチャレンジしたり立ち直る事が難しい今の社会に、もう一度、いや何度だってチャンスがあったっていいじゃないかというメッセージを込め、秋月さん演じる主人公を苛酷な様々な問題に立ち向かう設定にしたので、この映画からそういったメッセージが伝われば嬉しいとのお言葉で貴重なQ&Aは終了しました。

 

 

 

演者も真っ向勝負!深いメッセージが心につきさす『野火』

特別招待作品部門『野火』上映前に俳優の森優作さんによる舞台挨拶が行われました。

まず初めにOAFFに来ることのできなかった主演・監督の塚本晋也さんのビデオメッセージが上映され、塚本監督の呼び込みとともに森さんが登場。

  • 主演・監督:塚本晋也さん
  • 出演:森優作さん

「物語は第2次世界大戦を描いていますが、過去にあった事実をそのまま伝える以上に、現代の世代にも届くメッセージがたくさんあると信じています。実際、自分は戦争を知らない世代で、戦争に対して知識もないですし距離感も感じます。でもこの現場に携わったことで戦争に放り込まれたらどうなるのだろうと考えるようになり、それを頭に置いて撮影に挑んだつもりです。どうぞ楽しんで下さい!とは言い難い作品ですが、この映画を頭に焼き付けて頂けたらと思います。」と緊張した面持ちで語ってくれました。

さらに上映後には出口でお客さんを出迎え、一人一人に対して丁寧な挨拶をしてくれました。餓死寸前の日本兵がただひたすら食物と帰還への道を求めて彷徨い歩くという物語の中で森さんの素直であどけない雰囲気がどのように活かされているのかをぜひ実際に作品を見て確かめてください!

2015年夏よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマなど、全国順次公開予定

 

 

 

因みに……

コンペティション部門『ヴァイオレーター』のドド・ダヤオ監督とプロデューサーのトニー・アセホさんが、この日、空港から直行して劇場に姿を現してくださいました。ゲスト登壇予定ではなかったので、会場は驚きと喜びが!監督、ありがとうございました!

  • ドド・ダヤオ監督(左)
    プロデューサー:トニー・アセホさん
  • 『野火』出演の森優作さんと

 

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