プレ企画|大阪アジアン映画祭・特別ゼミナール(全6回)
第1回開催レポート|2014年8月17日@大阪歴史博物館

2015年3月に開催する「第10回大阪アジアン映画祭」のプレ企画、「大阪アジアン映画祭特別ゼミナール」が、いよいよスタート!ゼミナールの第1回目はお盆明けの日曜日にもかかわらず会場がほぼ満席となる盛況ぶりでした。

 

 

■「特別ゼミナールは、映画祭文化を豊かにする基本中の基本となる場」

 

今年で6年目を迎える特別ゼミナールをスタートするにあたり、講師を務める暉峻創三プログラミング・ディレクター(以下、PD)は「人気スターが出演する作品、有名監督の作品は観客動員できるが、あまり人気のない国やキャストの作品で観客動員できない映画祭は、映画祭としての役割を果たせていない」とし、映画祭本来の役割を果たす力の核となるのが、当ゼミナールに参加することでアジアの知られざる要注目作品・人の魅力に触れ、その面白さを周りに伝えられる受講生の皆さんであると語りました。実際に、今年3月に開催された第9回大阪アジアン映画祭でも、日頃劇場公開されることがないフィリピン映画に多くの観客動員があったことは、当ゼミナールの参加者からの口コミ効果が大きかったと分析。このゼミを「映画祭文化を豊かにする基本中の基本となる場」と位置づけ、より多様な映画を紹介できるようにしていきたいと抱負を披露しました。

 

 

■今年の大阪アジアン映画祭を席巻したフィリピン映画

 

今年はグランプリ作品が『シフト』、スペシャル・メンションが『アニタのラスト・チャチャ』といずれも海外初上映作品、しかも初監督作のフィリピン映画が受賞し、フィリピン映画の勢いを強く印象づける結果となりました。審査員たちの間では、上記2作品に加え、同じくフィリピン映画で多くの国際映画祭入選歴を持つジェロルド・ターログ監督の『もしもあの時』も評価が高かったとのこと。映画祭経験豊富な審査員たちは、世界の中での状況を見渡した上でとりわけフレッシュな受賞作を選定したのではないか、という話も語られました。なお、フィリピン映画が圧倒的な存在感を発揮した受賞結果は、海外の業界紙でも紹介され、結果的には大阪アジアン映画祭への注目度が海外でより高まるという副次的効果もあったようです。

 

『SHIFT~恋よりも強いミカタ』

 

■劇場公開されるフィリピン映画に注目!『SHIFT~恋よりも強いミカタ』、『牢獄処刑人』

 

フィリピン映画が1年で2本もロードショーされるというのは、快挙に近い出来事としながら、まずは既に東京では上映が終了し、名古屋では8月23日(土)から、大阪では9月6日(土)から公開される本格クライムサスペンス『牢獄処刑人』(公式Facebookへ)(原題『On the Job』)が紹介されました。この『牢獄処刑人』は昨年のカンヌ映画祭監督週間で紹介され、早々と配給がついた作品で、監督はエリック・マッティ。牢獄が舞台で、「町中で殺人事件が起きるが、犯人は刑務所の中にいて……というストーリー。囚人がなぜか自在に刑務所を出入りできるという、フィリピンでしかあり得ない話」と暉峻PDならではのツッコミを交えたコメントに、受講生の皆さんも心動かされた様子。

次に、先ほど紹介した第9回大阪アジアン映画祭グランプリ作品『シフト』の劇場公開タイトルが、『SHIFT~恋よりも強いミカタ』(公式サイトへ)に決定。10月25日(土)より東京を皮切りにロードショーされることに触れました。この『SHIFT~恋よりも強いミカタ』は、本国フィリピンでもロードショー公開されていない作品で、今のところ日本が唯一商業公開される国となる非常に珍しいケースです。そのため、本作のシージ・レデスマ監督インタビューも本国フィリピンでは出回っておらず、今回の大阪アジアン映画祭で行われたインタビューは非常に貴重であるとして、映画ポータルサイト《シネルフレ》によるインタビュー記事が紹介されました。ちなみに、『SHIFT~恋よりも強いミカタ』を「フィリピン版『恋する惑星』」とキャッチフレーズをつけた暉峻PDのセンスが立証される!?内容も含まれているとのことです。

 

《シネルフレ》
『シフト』(劇場公開用タイトル『SHIFT~恋よりも強いミカタ』
シージ・レデスマ監督インタビュー@OAFF2014
http://cineref.com/festival/2014/03/oaff2014-interview-shift.html

今年の受賞結果の裏話から始まって、あっという間に終了した第1回目。久々となる二次会も新しい受講生の方や新事務局長が加わり、暉峻PDを囲みながら楽しいアジア映画&映画祭談義で盛り上がりました。

大阪アジアン映画祭特別ゼミナール第2回は、9月28日に開催いたします。