プレ企画

大阪アジアン映画祭・連続ゼミナール

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第5回開催レポート(2016年1月17日@大阪国際交流センター)

2016年3月に開催する「第11回大阪アジアン映画祭」のプレ企画、「大阪アジアン映画祭・連続ゼミナール」第5回。「正月気分が何一つない」年末年始を過ごした暉峻プログラミングディレクター(暉峻PD)も、正月休暇にアジアで新作映画を見てきた受講生による鑑賞報告を楽しみにしていた様子。香港映画『葉問3』など多くの話題作の名が上がりました。

OAFF2016上映作品(『十年』、『私の少女時代 -Our Times-』(原題:我的少女時代))をいち早く現地で堪能、その感想は?

何名の人がぜひOAFFで上映してほしいと声が挙がったのが香港映画『十年』。十年後の香港を想像して5名の監督によるオムニバス形式で作られており、公開当初はほとんど話題にならなかったものの、口コミでどんどん上映劇場が増えていったのだとか。「香港や香港と中国との関係、昨年の香港の動きを分かっていると、とても悲しみを覚える映画」「社会風刺が効いている」「外国人でも泣かせてしまうのはスゴイ」と、ご覧になった方みなさんが絶賛した作品です。OAFFでも特集企画《Special Focus on Hong Kong 2016》で海外初上映されることが決定しましたので、お楽しみに!

『十年』

もう一作、特別招待作品部門(台湾:電影ルネッサンス2016)上映作品の台湾映画『私の少女時代 -Our Times-』も、お正月に現地で鑑賞した受講生の方の感想が寄せられました。「『あの頃、君を追いかけた』の女子目線版」「本当にベタで、面白いテレビドラマを凝縮した感じ」と、台湾お得意の青春ものとして大いに楽しめそうですよ。

『私の少女時代 -Our Times-』

オープニング作品『湾生回家』を解説

最終回の全プログラム発表&解説に先立ち、連続ゼミナール受講生だけに特別発表されたのがオープニング作品。「誰もスターが出ていない。おじいさん、おばあさんしかいない映画なので・・・」とほんの少しほのめかしただけで、受講生の皆さんからは『湾生回家』(!)との声が複数挙がり、暉峻PDも反響の大きさに手ごたえを感じている様子でした。今、台湾で大ヒットし、台湾金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞にもノミネート。日本統治下の台湾で生まれた日本人のことを湾生と呼びますが、日本に引き揚げた湾生たちの日常や、彼らが台湾へ自身の友人を訪ねる旅を丁寧に取材しています。約1000時間の映像素材を111分の映画に収めているので、本当に長い調査と豊富な資料をもとに作られた作品であることはこの数字からも頷けます。日本に戻ってからの湾生たちの人生も様々で、まさに格差社会の底辺や、社会の階級差も描かれています。

『湾生回家』

特集企画《ニューアクション! サウスイースト》 より、〈サウスイースト・クラシック〉上映作品『12人姉妹』についても、解説しました。『12人姉妹』はカンボジアの60年代の映画ですが、70年代の騒乱後、この時代の作品はほとんど見ることができませんでした。最近政情が安定してきたこともあり、カンボジアでは映像発掘・復元作業を自国や他の場所でやっており、『12人姉妹』はその中の1本なのだとか。ベルリン国際映画祭において、35ミリで世界初披露されたまま放置されていたところを、今回上映可能なデジタルに変換し、東京と大阪で上映するに至ったと、その背景を紹介しました。

『12人姉妹』