- 日本初上映
特別注視部門
トランジット
Transit [트랜짓]
監督:ムン・ヘイン(문혜인)
Director: MOON Hye-in|2022年|韓国|27分|言語:韓国語|字幕:日本語、英語
上映日 | 時 間 | 会 場 | ゲスト登壇(予定) |
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3/12日 | 13:00《短編B》 | 大阪中之島美術館 | |
3/15水 | 10:30《短編B》 | 大阪中之島美術館 |

- 出 演
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ウ・ジヒョン(우지현)
キム・ギュナ(김규나) - 作品解説
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性別適合手術を受けた照明技師ミホ(ウ・ジヒョン)は、ある低予算ホラー映画の撮影現場に参加する。周りの女性スタッフにやたらと気を遣われたり、あるいは無言で奇異な視線を向けられたり、何かと落ち着かない。そんな微妙な空気のなか、子役の少女ベクホ(キム・ギュナ)だけはミホに率直な好奇心を向け、いつしか屈託なく言葉を交わすようになる……。
『ドア前に置いて。ベル押すな』(OAFF2023)のイ・ジュヨンと同じく、インディーズ作品から頭角を現した女優ムン・ヘインの監督デビュー作。LGBTQという現代的モチーフを扱っているが、これまでよく見たような「旧弊な価値観との衝突」を描くドラマとは少し異なる。理解ある環境に見えて「意識されすぎる居心地の悪さ」を描いているところが新鮮で、真に成熟した対等な社会とは何かを観客に問いかける。
静かに葛藤し、静かに孤立していく主人公を、ウ・ジヒョンが自然体かつデリケートに好演。凍てついた彼女の心を溶かすような、無垢で奔放な少女のキャラクターに、作り手の希望と優しさが託されていて感動的だ。
誰もがプロとして仕事に徹する環境が救いになることもある、という示唆は監督自身の体験からくるものだろうか。ラストシーンでは映画における照明効果の尊さも如実に伝えてくれる。[木浦孝]