特別シンポジウム「旅人が見る世界」
大阪歴史博物館にて開催された特別シンポジウムには、『イスタンブールに来ちゃったの』のバーナード・チョウリー監督とリナ・タンプロデューサーが登場。
京都大学地域研究統合情報センターの山本博之准教授により、マレーシア映画研究会について語られた後、バーナード・チョウリー監督作品の概要説明があり、その後、京都大学・谷川竜一氏より、イスタンブールの建築と街の歴史と映画の内容をからめた説明などもありました。
リナ・タン プロデューサー:
今までプロデュースしたものは、女性、子供を多く取り上げ、メインキャラクターは全て女性であり、重要な役柄として設定しています。女性は往々にして政治のために利用され、マレーシアの映画での女性の扱いは、犠牲者、悪い女などネガティブなことが多い。そういったステレオタイプの女性のイメージを変えるため、バーナード監督の作品はとてもよいと思う。『イスタンブールに来ちゃったの』で、マレー人の男性のイメージも変わったと思いますから。女性を理解し、尊敬するという、これまでのモスリムの男性のイメージを払拭する フレッシュなイメージの男性を描けたと思いますよ。
リナ・タン プロデューサー バーナード・チョウリー監督
バーナード・チョウリー監督:
アジアの国の主人公が別のアジアの国に旅をするという内容を作りたかったんです。ハリウッドのラブコメという内容ではなくて。マレーシア人は家族とのつながりが非常に強く、女性が一人暮らしすることもまれで、ましてや一人旅などはあまりしないが、いつかはマレーシアの女性が普通に一人旅ができることを願っています。映画を通じて革命を起こすという気持ちではないが、マレーシアの若い女性が一人旅をしてなにが悪いの?というメッセージを発信したかったんです。自分が旅をしてきた中で出会った一人旅の日本人女性にインスパイアされたから。
映画の登場人物は、こんな人がいるなと思わせるようなキャラクターを作るようにしている。例えば、アザットは奨学金を得てトルコで勉強しているという典型的なマレー人の設定。マレー人以外の人種は、マレー人の3倍は努力しないと奨学金を得られないというマレー人優遇政策を浮き彫りにしている、と。
バーナード監督自身も奨学金を得ようと思ったがマレー人ではないので得られなかったという経験があるそうです。今後はチャンスがあれば日本で撮影した映画も作ってみたい、と語ってくれました。
「GTHの7年とちょい話」トークセッションを開催!
シネ・ヌーヴォXで、「GTHの7年とちょい話」トークセッションを開催しました。
『セブン・サムシング』の共同監督ジラ・マリクン氏、アディソーン・トリーシリカセーム氏、パウィーン・プーリジットパンヤー氏、『フェーンチャン ぼくの恋人』他、GTH作品を製作してきたプロデューサー、ヨンユット・トンコントゥン氏が登壇。客席には『ATM エラー』のメート・タラートン監督の姿も見られ、まさに大阪でGTHを語り尽くす1時間半となりました。
GTHを設立するきっかけになった『フェーンチャン ぼくの恋人』。ジラ・マリクン氏が教えていた大学の教え子の一人だったアディソーン・トリーシリカセーム氏が短編の脚本をもってきた際に、長編で撮ること、ジラ・マリクン氏が優秀であると考えていた6人で撮ることを指示したのだそう。同作は当時大ヒットしたディズニーアニメ『ファインディング・ニモ』に世界で唯一勝った映画と言われるぐらい大成功を収めたことも明かしてくれました。
GTHのように、制作から音楽、配給までを一挙に手がける会社は世界的にも珍しいが、1年に3本しか制作しないものの、一つ一つの制作過程を丁寧に行うことができる点をメリットとのこと。一つの作品に多くの脚本家を使うことについても制作費が少ないタイ映画では脚本段階で入念にシミュレーションすることが大事という持論が展開されました。
他にもスポンサーの集め方や見せ方が上手いといったマーケティング視点の話や、GTHが作るホラー映画について等幅広い話題が展開され、最後にはタイでも公開前の新作映画映像がちょっと流れて、GTHの裏話をたっぷりお聞きできました。登壇いただいたGTHチームのみなさん、ありがとうございました!
ヨンユット・トンコントゥン氏
「ラブコメでもホラーでも見たくなる
いいストーリーを作ることが大事」
パウィーン・プーリジットパンヤー監督
「ホラーは雰囲気作りが大事。
タイは怖そうなロケ地がいっぱい」
アディソーン・トリーシリカセーム監督
「『フェーンチャン ぼくの恋人』は27歳のときの作品。タイではその若さで監督することはほぼないので、出来上がったときはうれしかった」
ジラ・マリクン監督
「『セブン・サムシング』の7は人生の変化の象徴の区切りとして、最初の7年は家族、次に学校、そして恋愛……と重ねていく意味もある」
交流イベント ウエルカム・パーティ
映画祭ゲストとの直接交流ができる機会、ウエルカム・パーティが今年も大阪市中央公会堂にて開かれました。
最初に大阪アジアン映画祭を代表して、上倉実行委員長から開会のあいさつ。 大阪市を代表して大阪市ゆとりとみどり振興局長の楞川氏の代読に、中川同文化部部長より挨拶がありました。
続いて、今年度も、特集企画《Special Focus on Hong Kong》をサポートしていただいている香港特別行政区政府駐東京経済貿易代表部・首席代表のサリー・ウォン氏よりご挨拶、その後、協賛会社を代表され、DHLジャパン株式会社執行役員マーケティング本部長の高田淳子様からご挨拶がありました。
そして、乾杯の発声を、特集企画《GTHの7年ちょい〜タイ映画の新たな奇跡》で参加の『セブン・サムシング』の共同監督のおひとり、ジラ・マリクン監督が。
その後、歓談へとながれ、会場は熱気むんむん。
その後、舞台上では、国際審査委員の皆さん、コンペティション部門のゲストの皆さんが登場。
国際審査委員の皆さん(左から ゾーイ・チェンさん、ツァン・ツイシャン監督、 高橋陽一郎監督)
代表してクリス・マルティネス監督(『アイ・ドゥ・ビドゥ・ビドゥ』)が挨拶に。
「大阪のいいところは、たこ焼き、お好み焼き、心斎橋でショッピング!一番は人の心がやさしいこと!」と、嬉しいコメント。
クリス・マルティネス監督
続いて特別招待部門、特集企画のゲストの皆さんが、登壇。代表してダダ・チャンさん(『低俗喜劇』主演女優)が、挨拶し、パーティをより華やかに彩りました。
ダダ・チャンさん
中締めといたしまして、実行委員会を代表して公益財団法人大阪観光コンベンション協会、大阪フィルム・カウンシル事務局長の梅阪雅雄氏の挨拶後、音頭のもと“大阪締め”で中締め。名残惜しくも宴もお開きへと流れました。
参加された一般の方々にとっては、映画人たちとの直接の交流。きっと、素敵な時間になったことと思います。
- 開催日
- 3月17日(日)vol.1
『GF*BF』(特別招待作品部門)ファンミーティング - 3月17日(日)vol.2
トークセッション「アジアン・ミーティング2013」
インディ・フォーラム部門 CO2授賞式 - 3月17日(日)
クロージング・セレモニー - 3月16日(土)vol.1
- 3月16日(土)vol.2
- 3月16日(土)
トークセッション「台湾映画の現在(いま)を語る」
「インディペンデント映画とCO2の未来図」 - 3月15日(金)vol.1
- 3月15日(金)vol.2
- 3月15日(金)
特別シンポジウム「旅人が見る世界」
トークセッション「GTHの7年とちょい話」
交流イベント ウエルカム・パーティ - 3月14日(木)
Hong Kong Night - 3月13日(水)
- 3月12日(火)
- 3月11日(月)
- 3月10日(日)
- 3月9日(土)
- 3月8日(金)
オープニング・セレモニー - 3月4日(月)5日(火)
プレオープニング
特別上映『セデック・バレ 太陽旗』
試写会『だいじょうぶ3組』 - 3月3日(日)
おおさかシネマフェスティバル