第18回大阪アジアン映画祭

受賞結果一覧

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グランプリ(最優秀作品賞)

『ライク&シェア』

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インドネシア|監督:ギナ・S・ヌール(Gina S. NOER)

《授賞理由》

私たち審査委員全員が、この映画の突きつける明確かつ力強いメッセージに心を打たれました。それは若い女性たちの性への好奇心や欲望を肯定しながら性暴力に対しはっきりとNoを唱える、というメッセージです。

また、映画の持つスタイルも独創的です。前半、観客を魅了した甘くてポップなムーブは物語が進むにつれダークなものになり、私たちを戦慄させます。

強烈なスローガンを見事な演出で表現した本作は、今こそ見られるべき映画です。

《ギナ・S・ヌール監督コメント》

グランプリを受賞し大変驚いています。全ての観客、審査委員、そして関係者の皆さまに感謝いたします。この映画は性暴力やトラウマとどう向き合うかを描いていますが、いかに伝えるか、いかに映画にするかは、非常に悩みました。でも信念を持って取り組んだ結果、すばらしい観客の皆さんに届けることができました。本当にありがとうございました。

来るべき才能賞

クー・チェンドン

Kai KO/柯震東

台湾|『黒の教育』(Bad Education/黑的教育)監督

《授賞理由》

クー・チェンドン監督は、ジェットコースターのように変化する3人の若者の心境をリアルに描き、観客はまるで彼らとともにクレイジーな一夜を体験するようでした。

映画全体に強烈なスタイル、明快で正確なテンポがありました。息もつかせぬ展開のストーリーは予想を上回り、決して退屈することがありませんでした。

初監督作にもかかわらず、クー・チェンドン監督はこのようなブラックなテーマを鮮やかに描いたことに加え、俳優たちの素晴らしい演技を引き出しています。今後のクー・チェンドン監督のさらなる活躍に期待が高まらざるをえません。

《クー・チェンドン監督コメント》

現地台湾での劇場公開後、多くのQ&Aに参加し、たくさんの肯定的な励ましをもらいました。出演者やチームのみんなにとても感謝しています。みんな、最高! この努力の結晶が、世界中のより多くの観客に見てもらえることを願っています。さあ、次に行くぞ!

ABCテレビ賞

『四十四にして死屍死す』

Over My Dead Body/死屍死時四十四

香港|監督:ホー・チェクティン(HO Cheuk Tin/何爵天)

《授賞理由》

幅広い年齢層の方に楽しんでいただける、上質なブラックコメディです。

《ホー・チェクティン監督コメント》

受賞するとは正直予想していませんでした。私の作品はコンペティション部門ではないので。

まず映画祭のみなさんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

薬師真珠賞

ルー・シャオフェン

LU Hsiao-fen/陸小芬

台湾|『本日公休』(Day Off)主演俳優

《授賞理由》

理髪店でのハサミの使い方だけで、もう観客の心を惹きつける。そして作品全体にわたる緻密な演技設計。ルー・シャオフェン(陸小芬)という経験豊かな役者の力で、『本日公休』は永遠に人々の記憶に残る名作となりました。

《ルー・シャオフェンさんコメント》

「ありがとう」(日本語で)

ずっと私は待っていました。このような素晴らしい脚本が私のところにやってくるのを。

この場を借りまして、フー・ティエンユー監督に感謝申し上げます。本当に感謝しかありません。

そして、応援してくださったすべての観客の皆さまにも深く感謝します。

JAPAN CUTS Award

『朝がくるとむなしくなる』

When Morning Comes, I Feel Empty

日本|監督:石橋夕帆(ISHIBASHI Yuho)

《授賞理由》

今年度のJAPAN CUTS AWARDに『朝がくるとむなしくなる』を選出しました。搾取的な労働から脱却し、コンビニで働く1人の人間を、繊細かつ優しいまなざしで見つめたドラマです。社会からの圧力や期待をよそに、自らの幸福を追求することを描いた、石橋夕帆の確かな演出は、唐田えりかのチャーミングな演技に支えられ、細やかさと人間味にあふれている。

《石橋夕帆監督コメント》

朝、目が覚めた時に、ふとむなしさに包まれてしまう瞬間が誰にでもあると思います。毎日当たり前のように“がんばること”を求められて、心はどんどんすり減っていく。理想通りの自分を生きる事はとても難しい。それでも、誰かに寄り添って、ほんの少しでも自分という存在を肯定してもらえたら前に進めるかもしれない。そんな希望を込めて、この映画を作りました。この作品に携わって下さった全ての方に、心から感謝しています。本当にありがとうございました。

芳泉短編賞

『燕は南に飛ぶ』

Swallow Flying to the South/燕南飛

アメリカ、カナダ、中国|監督:リン・モーチ(LIN Mochi/林墨池)

《授賞理由》

ストップモーション・アニメーションの独特の美学に驚かされました。その光と音の的確な使い方は、文化大革命という中国の混沌の時代に、ごく普通の個人がいかに必死に生きてきたかを、シリアスでありながら優しいタッチで描き出します。監督が母に捧げた17分間のドラマは、燕が飛び交う詩的なシーンで終わり、そこには希望の光が灯ります。

《リン・モーチ監督コメント》

芳泉短編賞をありがとうございます。

観客の皆さんと審査委員、スタッフの皆さんに感謝します。受賞は名誉であり、励みになります。

現在私はロードアイランド州にいます。昨年私はこの大学で、8カ月間に渡りひとりきりで約18分間のストップモーションアニメを1フレームずつ撮影しました。大変な作業でしたが、家族や友人、教授たちに支えられ頑張ることができました。

この作品を世に出さねばならないと思っていました。47年前に母が経験したことを映画にしましたが、重要なのは描かれる時代ではなく、いつ描くかです。

改めてありがとうございます。

芳泉短編賞スペシャル・メンション

『できちゃった?!』

Daddy-To-Be /有了?!

台湾|監督:パン・カーイン(PAN Ke-yin/潘客印)

《審査委員コメント》

『できちゃった?!』はとても楽しい映画でした。テンポが良く、演出も巧みで魅力的なシーンに溢れる短編作品です。青春ドラマとコメディのバランスも絶妙でした。

《パン・カーイン監督コメント》

インドネシア、タイ、香港、日本のプロの映画人で構成された審査委員に感謝します。世界中から集まった短編のなかから、この栄誉を手にすることができ、クルー一同、喜びに沸いています。励みになります!

この短編は台湾で最も暑い夏の日に撮影されたものです。笑いあり、涙ありのこの作品を、汗と情熱で作り上げました!

世界中の観客に感動を与えることができ、とても嬉しく思います。

みんな話す言葉は違うけれど、笑いは最高の共通言語です!

観客賞

『本日公休』

Day Off/本日公休

台湾|監督:フー・ティエンユー(FU Tien-yu/傅天余) 

《フー・ティエンユー監督コメント》

本日この賞をいただき、本当にビックリしました。とても嬉しいです。実は先日、ルー・シャオフェンさんと梅田を歩いているときに、若い方から「映画を観ました。とても感動しました。」と声をかけられ、その時もとても嬉しかったのでした。

ヘアカットも映画も、人と人とを結びつけるもので、必要不可欠だと思います。それだけにこの賞は、喜びもひとしおです。本当にありがとうございます。