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スクリーンを飛び出し会場を巻き込むそのエンターテイメント性に観客もノリノリに『おっさんのケーフェイ』

《インディ・フォーラム部門》第13回CO2助成作品『おっさんのケーフェイ』上映後には多くのスタッフ、キャストが大集合。賑やかな時間となりました。

主演の川瀬陽太さんは「個人的にプロレスが好きです。僕にとってプロレスはデリケートなもので、また感動するものでもあります」と述べられました。また、脚本を担当された橋本夏さんは「脚本を書くまで、私はプロレスを詳しく知りませんでした。ですから、何をどこまで書くかを悩みました。そして、子供の悩み等、ドラマ的要素を映画の中で広げていくことにしたのです」とのこと。この日、子役たちも会場につめかけており、その中で子役の松田優佑君(ヒロト役)にコメントを求めると「自分のすべてが良かった!」と発し、会場は笑いに。

谷口恒平監督

脚本:橋本夏さん

川瀬陽太さん

松田優佑君

特徴的な関西弁のセリフ回しについて谷口恒平監督は「第一稿では川瀬さんから、周りの人物がヒロト君のために動いているように感じられるとの意見をもらったのです。そこで、物語の都合で言わせるセリフではなく、その役にあわせたセリフを意識しました。みんなが幸せになかなかなれない中、ヒロトにフォーカスしたいと思ったのです」と語られました。

ゲストが数珠つなぎに増える愉快なQ&Aとなり、会場中が笑いでいっぱいの時間となりました。さらにロビーでも愉快な時間は続いていました。

観客からの意見を刺激に。初の長編作品に挑んだ若き監督の世界感 『蹄』

《インディ・フォーラム部門》第13回CO2助成作品『蹄』の上映後、木村あさぎ監督と出演の木村知貴さん、イシヅカユウさん、打越梨子さんが登壇されました。

木村あさぎ監督から「テーマとしては、食と、自分の体があって、そこから自分の体の不確かさに注目しました」と述べ、劇中の“虫屋さん”については「自分の父親が虫屋で、虫の採集をして生計を立てていた。幼いころから一番身近にあった仕事だったのです」と説明されました。

木村知貴さんは演じることについて「特に意識はしていないが、監督に、演じるというより自分の素に近い方で行うように言われたので、そちらの方を大切にしました」と語りました。イシヅカユウさんは「演技自体が初めてで、監督が考えた桐華という役を自分の中に取り込もうとしました」とのことで、打越梨子さんは「イメージを言葉にして考えていたが、話していくうちに言葉にしなくてもいいのではと思い始めて、感じるままを大切にして演じました」と話されました。

木村あさぎ監督

木村知貴さん

イシヅカユウさん

打越梨子さん

演者の皆さんのコメントを受け木村あさぎ監督は「物語を作る段階から、フィクションというものに対する疑いがあって、それとドキュメンタリーの境界となるものを撮りたいと考えたのです。なので、役者たちにも、体そのものから出てくるものを撮りたいと考えていました」と話されました。

会場から監督独特の世界を感じた、という声。それに対して、木村知貴さんは「普段特に言葉にされることはないが、譲らないところやこだわりは強いので、信頼してやっていけました」とコメント。イシヅカユウさんは「監督と一緒に考えてやっていけるのが初めてで、とても有難い経験だった」と明かし、打越梨子さんは「対話が大切だったのと、今回の役は音だったり自分の感覚だったりを合わせて作り上げていけるのが楽しかったです」と話されました。

この作品の制作を通して発見したことを聞かれると「これまで、個人的なものとして撮影していたので、このような大人数でつくることは初めて。たくさん撮影した牛や、虫や、そして人間も含め、予想していた以上に見事な動きが撮れたり、たった1回しか撮れなかった偶然の貴重さだったり、それらすべてが発見でした」と監督。

最後にゲストから「皆さんからいただいた感想は様々で、とても良い刺激になりありがたいです。またぜひお話を聞かせて欲しい」と観客へのメッセージ。独特な空気感漂う若きゲストたちの才能に好奇心かきたてられる時間となりました。

脚本の仕上がりは8割!? 現場でつくりあげた新感覚な一品 『可視化する心たち』

《インディ・フォーラム部門》第13回CO2助成作品『可視化する心たち』の上映に、五十嵐皓子監督と出演の吉田龍一さん、白河奈々未さん、申芳夫さん、伊吹葵さんが登壇されました。

「この作品は私が初めて撮った長編の作品。キャストやスタッフ、様々な方にご協力いただき、多くの方々に支えられてつくることができました。ありがとうございます」と五十嵐皓子監督がはじめに挨拶されました。

俳優を育成するCO2俳優特待生が参加されている本作。主演を務めた吉田龍一さんは「台本自体、撮影初日にいただきまして。初体験のことでした」と明かし「でも、みんなで一緒にやっていくという現場でした。なかなか見えずにいたものも、監督とゆっくりすり合わせてできた部分もあって。ただもう少し時間があればなぁと正直思っているところもありますね。それはこれから生かしていきたいなと思います」と話されました。

五十嵐皓子監督

白河奈々未さんは「演じた役はゆるがない人。だから、絶対にぶれてはいけない、と常に心掛けたのでそこは表現できていたのかな、と思います」とのこと。また「初めて早着替えをしたことが印象的でした。どのように映画に映しだされるのか、撮影時から楽しみなシーンでした」と話されました。

申芳夫さんは「寝ている役でした。けど、案外寝るのってしんどいなって(笑)。撮影を通して1つ言える事は、カメラの後ろ側にいらっしゃる監督さんとか、その他スタッフの人たち全員に背中を押してもらっていると常に感じていました」とお礼を交えお話しに。

そして、伊吹葵さんは「初めて長編の映画に携わったのですが、本当にスタッフの方がたくさんいて。ここに出ていない人たちの力で演じられた。そういう温かい空気の中だったので、自分もリラックスして演じることができました」と話されました。

吉田龍一さん

白河奈々未さん

申芳夫さん

伊吹葵さん

撮影を始める際には、脚本が8割方しかできていなかったという本作。特にラストシーンは本当に撮影最終日の朝にできたそう。そのシーンについて五十嵐皓子監督は「今までキャストのみなさんが演じていたところを受けて、私が考えたりキャストの方からこうした方がいいのではないか、とアドバイスをもらったりしながらつくりました。このやり方をして私はラストが一番良かったと思っているんです。それができたのは無理に脚本を上げさせようとしなかったスタッフとキャストの助けだなと思っています」と改めて振り返られました。

端々に出演者から笑いを交えた話しが飛び出すことも多く、チームワークの良さを伺えた時間でした。

“人間”を描くと、ホラーにもコメディーにもなることを実証 『たまゆらのマリ子』

《インディ・フォーラム部門》『たまゆらのマリ子』上映前に、瀬川浩志監督と出演の牛尾千聖さん、南波美沙さんが登場され「観る人によって印象が変わるかもしれませんので、また上映後に疑問・感想など聞かせてください」と呼びかけられました。

そして上映後、ゲストの皆さんが再びご登壇。「笑っていいのかどうかわからないシーンがあったかもしれませんが、戸惑いも含めて“感じる映画”だと思っています。僕としては笑っていただいていいと思っています」と瀬川浩志監督がお話しに。それに対し、本作のジャンルについて聞かれると「ホラー的要素もコメディー的要素もありますが、特定のジャンルというよりも“人間”を描きたかったのです」と答えられました。また監督は「この作品は東京で10年くらい過ごしていた頃考えた話。最初は楽しく色々なカルチャーに触れ合ったりして過ごしていたのですが、だんだん時間がたつにつれ、皆さんが腹のうちを見せないことにイライラする事もあり、『だしちゃえよ』という欲求はあったのかも。だからこそ、生まれた作品かもしれません」とも語られました。

瀬川浩志監督

牛尾千聖さん

南波美沙さん

監督の演出について牛尾千聖さんは「サディスト的なところ、というか、ちょっと言葉が足りてないと思うこともあり、めちゃくちゃいうなぁ、とか、失礼だな!と思うことはあったかと(笑)」と吐露。南波美沙さんは「普段はすごく優しい雰囲気なのですが、現場で監督となるとちょっと違う部分もあるのかな。でも、基本的には優しかったです」との感想を持たれていました。

舞台でも活躍されている牛尾千聖さんに、映像との違いについて質問がでると「まず声のボリュームが全然違います。舞台はお客さんという人の前でやるという事が普通で、映像はお客さんがみるときに自分はいなくて、目線がない、というのが全然違うなと思いました」とのこと。

そのキャスティングについて監督は「選んだポイントは本当にたくさんありますが、マリ子の二面性、そして後半になるにつれ爆発するというところが、牛尾さんの舞台で素敵だと思っていた瞬発力、爆発力と動物的なところに結びつき、このような作品でやると映えるのではないかと思いました」と話されました。

時間は22時半を過ぎたQ&A。ゲストからは遅い時間に集まってくださった観客の皆さんへの感謝の言葉が伝えられ優しい空気のままこの時間は終了しました。

『たまゆらのマリ子』を鑑賞されていた、『カム・トゥゲザー』シン・ドンイル監督、イ・ヘウンさん(左端)、『夏の夜』のイ・ジウォン監督(右端)とパチリ!

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