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フィリピンと日本をつないだラブストーリーに観客も笑顔いっぱい 『キタキタ』

《コンペティション部門》『キタキタ』の上映後、シーグリッド・アーンドレア P・ベルナード監督、プロデューサーのピオロ・ホゼ・パスクアルさん、撮影監督のボイ・エニーゲスさん、そして主演のアレッサンドラ・デ・ロッシさんの登場に会場は大きな拍手で包まれました。

それぞれが、観客の皆さんに挨拶をされる中、シーグリッド・アーンドレア P・ベルナード監督は「こんにちは、みなさん。愛してるJapan!北海道での撮影では大変お世話になりました。今日はその時お世話になった皆さんが会場に来られています。ありがとうございます!!」と述べられました。

その北海道で本作を撮ることになった経緯について監督は「プロデューサーが北海道で撮影しようと言ったからです(笑)。日本にはこれまで4回来たことがありますが、北海道には訪れたことがなく、撮影は夏の間でとても快適でした」と話されました。

シーグリッド・アーンドレア P・ベルナード監督

プロデューサー:ピオロ・ホゼ・パスクアルさん

撮影監督:ボイ・エニーゲスさん

主演:アレッサンドラ・デ・ロッシさん

主演のアレッサンドラ・デ・ロッシさんは劇中、日本語を多用し、かつ目の見えない役も演じています。「日本の料理は美味しいですが、セリフを覚えるのは本当に大変でした。目が見えない役づくりは、生活の中でもなるべく目を閉じて慣れるようにしたのです。でも、くらくらしてしまって大変でした」とご苦労を語られました。

主演男優のエンポイ・マルケスさんについて監督は、「人気のあるコメディアンで、今まで主役級の役はやったことがないのですが、今回は大きな役に挑戦してくださいました」とし「プロデューサーからこの主演ペアを提案され、大変いいと感じました。キャラクターは全然違うのですが、相性も良かったですし、とてもいい作品になったと思います」と太鼓判。

本作でプロデューサーのピオロ・ホゼ・パスクアルさんは、フィリピンで有名な俳優さんです。「今回の作品は、最初のアイデアの時から、この主演の2人にやってほしいと思っていました。もちろん自分でもやりたかったのですけど(笑)。この2人がやってくれたことでよい作品になりました」と話されました。

フィリピンと日本の文化を融合させた本作について監督は「日本の文化は大好き。勿論、フィリピンの文化も大好きなので、その2つの文化の交流を描きたかった。だからこそ日本を舞台に、フィリピン人のラブストーリーを撮ることに魅力を感じたのです」とし、「コンセプトについて加えさせていただくと、私たちは目が見えているのに、見たいものしか見ていない。実際に起こっていることの一側面しか見ていない。そのことに気が付いていないということを、この映画で見せたかったのです」との想いを語られました。

陽気なゲストたちに会場も笑顔が広がる時間となりました。

撮影のプロ、ボイ・エニーゲスさんはトーク中にも、すかさずゲストを撮影!

会場を埋め尽くした観客を魅了!監督、出演者のキュートさが引き立った『姉妹関係』

《コンペティション部門》、特集企画《Special Focus on Hong Kong 2017》『姉妹関係』の上映後、トレイシー・チョイ(徐欣羡)監督と出演のフィッシュ・リウ(廖子妤)さん、ジェニファー・ユー(余香凝)さんが登壇されました。

フィッシュ・リウさんとジェニファー・ユーさんは同時に「まいど~」とご挨拶。会場から割れんばかりの拍手が起こりました。

トレイシー・チョイ監督は「また大阪に来ることができてうれしいです。個人的にはどこかマカオに似ている大阪の街が大好きで、リズムものんびり、急がないところがいいと思います」と挨拶されました。

トレイシー・チョイ監督

ジェニファー・ユーさん

フィッシュ・リウさん

本作のキャスティングについて監督は「ジジ・リョンのキャスティングは、ラッキーでした。本人がこの脚本を読んでとても気に入って『是非やりたい』とすぐに返事をくれたのです。若手の4名については、背の高いジジと釣り合うように背の高い女性をキャスティングしました。たくさんの女の子に会い、短い芝居をしてもらい、様々な会話を通して最終的に決めました」と話されました。また、物語はマカオが中国に返還される直前に、その友情が大きく変化します。それについて監督は「多くの人々が返還の日を喜び祝賀ムードの中、この2人が別れるというのは非常に対照的で、そのような時代背景を必要としました」と説明されました。

ジェニファー・ユーさんからは「このようなチャレンジを与えて下さったことを、この場をお借りして監督に感謝します。今回の役と現実の私のキャラクターは全然似ていません。観客の皆さんは映画を見て、私のことをイヤな女だと思いますよね(笑)。でも現実の私はそうじゃないのですよ」とチャーミングに語られました。

一方、フィッシュ・リウさんは「私が演じた役はとても勇気のある女性だと思います。彼女は孤児なので、小さいときから何でも自分でやらないといけない、そのため物事の対処に非常に慎重です。ある日、信頼できる彼女と出会い好きになっていく。みなさんも好きな人、愛する人がいれば、“何かをしなければならない”と思わないで、相手のために“自分は何ができるか”を考えていけば、周りの人を大切にできるんじゃないかなと思います」と話されました。

上映中、すすり泣く声が聞こえていた会場。ゲストの和やかなトークに、その心もさわやかに浄化されたようでした。

リアルな現実を描きたい、という監督の思いの丈が会場に充満 『隠されていたこと』

《コンペティション部門》『隠されていたこと』の上映終了後、ビジェイ・ジャヤパル監督が登壇されました。長編デビュー作となった本作。「今、たくさんの人を前に緊張しています。多くの人に観てもらうことに慣れていなくて。ありがとうございます」とビジェイ・ジャヤパル監督は緊張ながらもご挨拶。

映画が好きで会社員を辞めて短編映画からつくり始めたという監督。今まで観たことのないインド映画だった、という声に「現代を描いているからだと思う」と答えられ「確かに、インドのメインストリームの映画とは感覚が違うと思います。自分はリアルで自然なものを撮りたいと思っているので」と語られました。国の検閲について質問がおよぶと監督は「実はまだインドでは公開されていない。今年はインドでも上映したいのですが…検閲時に何を言われるか…」と深刻な表情に。頑張ってください!という進行の声に会場も温かな笑いに。

会場からは、本作に音楽も笑いの要素も含まれていないことへの質問がでると「確かに重い映画。笑いはありません。インド映画のイメージとは異なるでしょうが、自分は普通の人の、特に今回は協議離婚のことを描きたいと思ったのです」と監督は答えつつ「でも、次は別のテーマでコメディを撮るかも。それもリアルなコメディにはしたいですが」と語りました。

女性の描かれ方について問われると「まさに、制作理由の1つに、結婚制度がどのように女性を抑圧するのかを描きたかった。劇中の登場人物はパーソナルなものだが、誰にでも起こりうることだと思います」と監督は述べられました。

ビジェイ・ジャヤパル監督の真摯な受け答えは、その誠実な映画への取り組みと重なり、観客の心に届いたようでした。

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