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セリフのない役どころについて、キュートなボイスで語った『フォレスト・ウィスパー』

特集企画《ニューアクション!サウスイースト》『フォレスト・ウィスパー』の上映があり、神秘的な女性を演じた主演のドッチ・リダさんが登場しました。

この作品からカンボジア映画にあるファンタジーの伝統を感じさせられた、と同時に、その作品をイタリア人監督(ジミー・ヘンダーソン監督)が撮っていることの面白さに触れられると「セックスが沢山描写される映画は、カンボジアでは許されないのですが、この作品ではヌードシーンがありセックスが西洋的な描かれ方をされています。セックスシーンの中で私を背中から撮影している場面は別の人で、私は顔だけです」とお話しに。

また、会場から森の中での撮影について聞かれ「街から遠い村で、夜でも雨が降っても撮影があり大変だった。一途な思いで演じました」と答えられるも、様々な種類のトカゲが出てきたことについては「嫌だと思う場面もありましたが、監督の指示に従わなくてはいけなかったので…」と愛くるしい笑顔をのぞかせました。

2009年から演技を始めてキャリア8年。初めてのセリフのない役について「演じるのは難しい作品で、どうやって役に入り込めば良いか考えていました。セリフが無いというのは大きなチャレンジでしたし。私が表現したいと思ったのは、女性だけれど強いというのを伝えたかった。これを役作りの中で重要と考えました。完成できてうれしかったです」と達成感を感じるコメントをされました

終始、会場を見渡し手振りを交えて熱く話す彼女の姿は、映画の中と同じく魅力的でした。

縁としっかりとしたコミュニケーションがあってこその国際色豊かな作品『東京不穏詩』

《コンペティション部門》『東京不穏詩』が上映され、アンシュル・チョウハン監督、撮影のマックス・ゴロミドフさん、出演された飯島珠奈さん、望月オーソンさん、川口高志さんが会場に現れました。

アンシュル・チョウハン監督は「たくさんの映画祭に応募しましたが、なかなか上映にこぎ付けず、こうして上映することができて感謝しています」とご挨拶。続けて撮影のマックス・ゴロミドフさんも「初めての大阪で、このような大スクリーンで観ることができてありがとうございます」と感謝の言葉を述べられました。

アンシュル・チョウハン監督

マックス・ゴロミドフさん

主役のジュンを演じられた飯島珠奈さんは「休日なのに観に来て下さってありがとうございます!」と快活にご挨拶。望月オーソンさんからは「本日はありがとうございます。映画どうでしたか?」と会場へ問いかけられました。そして川口高志さんは「たくさんの映画の中からこの映画を選んで下さったことに感謝します。僕は大阪で活動を始めたのでとても嬉しいです」と喜びを言葉にされました。その他、会場に駆けつけていた、この作品の関係者の方々が客席にて紹介されました。

飯島珠奈さん

望月オーソンさん

川口高志さん

アンシュル・チョウハン監督がインド出身、撮影のマックス・ゴロミドフさんがエストニア出身と、国際的なスタッフでできた日本映画である本作。そこまでの道のりについてアンシュル・チョウハン監督は「最初はアニメーターをしていて、2016年から俳優たちと短編を撮り始めました。9ヶ月で3本の短編を撮ったのが長編に向けた準備期間になりました。ルーツ、過去に遡って発見をするというテーマで映画をつくりたいと思っていました。そして長野県佐久市と出合い、シンプルで美しい街に魅了され、この場所で映画を撮りたいと思うようになりました。場所、俳優、ストーリーが集まってくる過程で映画が出来上がったと言えるでしょう」と話されました。因みに撮影は、室内は岐阜で、屋外は長野県佐久市で撮られたとのこと。

また、主演の飯島珠奈さんに、この深く濃い役への取り組み方について質問がでると「「監督とジュンのイメージについて話し合っていたので、彼女ならどうする?どのように歩く?どのように手を動かすかなどひとつひとつ話し合いながらつくりだしていきました」と答えられました。

作品の画の構図がとても美しい、という声にマックス・ゴロミドフさんは「素晴らしい撮影監督というのはほとんどの場合、素晴らしい監督によって作られます。監督は全てを任せてくれて、即興的で自由な撮り方を許してくれました。わたしは観察者として俳優の動きを見つめるということをしました。絵コンテなどもなく、脚本に無いこともたくさんありましたのでユニークで独特な演技の瞬間を追うことができました。即興なので先読みすることができないのが難しかったところでもありますが」と明かしました。

作品だけでなく、会場も国際色豊かな顔ぶれで質問が飛び交う時間となりました。

“懐かしいあの頃”を呼び覚まさせてくれ会場中がほっこり『昨日からの少女』

特集企画《ニューアクション!サウスイースト》『昨日からの少女』の上映後、今年の映画祭にて《コンペティション部門》国際審査委員もつとめておられる、ファン・ザー・ニャット・リン監督が登場しました。

「本日は私の作品をご覧いただきまして誠にありがとうございます。このたび、大阪の皆さんとお会いすることが出来て嬉しく思っております」とまずはご挨拶。

早速、この作品の描かれた時代背景について聞かれると「原作の小説が出版されたのは1988年で、そこでは1978年から1988年の話です。しかし、映画化するにあたって、私自身が育った時代、高校生だった時代に合わせて、少し時代をずらしました。また、ベトナムの社会にインターネットが入ってきたのが1997年なんですが、そのインターネット環境が入ってくるより前のラブストーリーを描きたかったということもありますね」と監督は答えられました。

その他、原作と映画では異なっている箇所に触れ「原作はとても詩的で、そんなにドラマティックなエンディングではありません。本で読むにはそれでOKだと思うんですが、映画化するにあたって、もう少しドラマティックにしないと面白いものにならないんじゃないかと思い、エンディングを若干変えました。変えることによって、観客のみなさんも『これから2人はどうなっていくんだろう』と期待していただけたんじゃないかと思います」とご説明。また「もう一つ違うところは、映画で出て来た“ひみつのノート”は、原作にはありません。映画ではもっとインパクトの強い、ドラマティックなものにしました」と映画演出法について語られました。

長編初監督作品『ベトナムの怪しい彼女』(OAFF2016)を観ているという観客も会場には多数みられました。その方々にもなじみのキャスト陣が本作にも出演していることについて「最初は、全く新しい顔ぶれで撮ろうと思っていました。でも、キャスティングが始まって1ヶ月経ってもなかなか“この人”という人材がみつからず、ミウ・レさんとゴー・キエン・フイさんに来てもらいました。2人に少し演じてもらって、あぁ、やっぱりこの2人で行こう、ということになりました」と経緯を話されました。因みに、ミウ・レさんはエンディングの曲も歌っている、とのこと。

まだ日本では鑑賞する機会の少ない「ベトナム映画」。より多くの上映機会を増やすためにも、映画祭などでどんどん紹介して欲しい、と語ったファン・ザー・ニャット・リン監督でした。

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