オーサカ Asia スター★アワードはチャップマン・トー氏へ!
監督最新作『空手道』で初めて大阪アジアン映画祭を訪れてくれたチャップマン・トーさん。1990年代に俳優としてデビューし21世紀に入ってからはプロデューサー、監督など活躍の幅をどんどん広げ、今や香港映画界を代表するスターであるチャップマン・トーさんに今年のオーサカAsiaスター★アワードが授与されました。
授賞式では、上倉庸敬大阪映像文化振興事業実行委員会委員長より「俳優としての活動に加えて、製作者、映画作家としても香港人のアイデンティティと香港映画の未来にとって意義深い仕事をされている」と受賞理由が伝えられると、チャップマン・トーさんは「今回初めて大阪アジアン映画祭に来られたことを嬉しく思います。香港人がイメージする大阪は“心斎橋でのお買い物”ですが、私は買い物ではなく、賞をいただきに来ることができました。これからも香港人のための映画をつくっていきたいと思います」と笑顔でスピーチし、賞を受けとられました。
授与式後のトークで「日本のファンからこれほど人気があるというのはいつから意識されましたか?」と問われた彼は「さっき知ったばっかりです。実は今朝です」と即答し会場中の笑いを誘うと続けて「朝の『空手道』上映後のサイン会にみなさんがものすごく並んでくださったんですね。その時初めて日本にファンがいてくださったことを知りました」と笑顔で答えられました。
そしてパン・ホーチョン監督とのコラボレーションに話題が及ぶと、出会った頃のエピソードを告白。実はチャップマン・トーさんが90年代にテレビ局でエキストラとして働いている頃、同じ局で助手として働いていたのがパン・ホーチョン監督だったとか。
当時を振り返りながら「彼は下っ端の頃から“将来は絶対に映画監督になる”と語っていました。彼は私に“あなたの芝居が好きだから、もし自分が映画を監督することになれば、あなたを主演に抜擢します”と言ってくれました。彼が“いい芝居だ”と言ってくれたからいい友達になれました」と盟友との出会いを感動的に語りつつも「私としては彼のことをあまりよく思ってなかったです」とコメントし、さらに会場を笑いで包み込みました。
また「コミカルな役柄かシリアスな役柄かどちらが実像に近い?」という質問に対しては、「みなさん色々な性格を持っていると思います。単純な人も複雑な人もいます。単純な人でも二面性を持っていると思うんです。その二面性というのは、どちらも非常に極端なものだと思います。例えば自分が困難にぶち当たったときに、あえておバカなキャラを演じてみるということがあるかと思います。だけど内心ではいろんなことを真剣に考えていたりするかもしれません。なので二面性というのは衝突にはならないと思います。悲劇と喜劇は同時に起こり得るのです」と真剣な表情で回答。
俳優として、そしてクリエイターとして真剣に人間を見つめている姿を垣間見せるひと時となりました。