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アジアの映画人が集った10日間に幕。観客賞は『恋の紫煙3』に!

今年の映画祭も最終日を迎え、世界初上映となるクロージング作品『名前』の上映前に、クロージング・セレモニーが行われました。

ABCアナウンサー 上田剛彦さん(右)

上倉庸敬 大阪映像⽂化振興事業実⾏委員会委員⻑

まず、上倉庸敬大阪映像⽂化振興事業実⾏委員会委員⻑より、前日発表された受賞結果の報告と共に「連日ご来場いただきました観客の皆さんに厚くお礼申し上げます。アジア各地からのゲストの皆さんの笑顔が思い浮かびます。大阪アジアン映画祭へ複数回ご参加くださった方がいらっしゃったことも、今回初めてご参加くださった若い才能を迎えることができたのも喜びです。映画を通してこの大阪が心を通わせる拠点であるよう、皆さまの引き続きのご支援をお願いいたします」と挨拶がありました。

そして、注目の日本初上映作品を対象に観客の支持を最も集めた観客賞は、パン・ホーチョン(彭浩翔)監督『恋の紫煙3』(香港、中国)が受賞し、副賞として薬師真珠様ご提供の真珠のラリエットが授与されました。2回の上映とも早々に完売と人気の高かった作品に、観客からも大きな拍手が寄せられました。

その後、10日間にわたって開催された大阪アジアン映画祭を振り返るハイライト映像が流され、オープニングからゲスト、観客が一体になった感動の日々を振り返りました。

「大切なのは自分の本質を知ること」 クロージング作品『名前』がお披露目に

その後、6月30日からの全国順次公開に先駆け、ここで世界初上映となる《特別招待作品部門》『名前』の上映前に、戸田彬弘監督による舞台挨拶が⾏われました。

奈良県出身の戸田監督は、CO2助成作品『適切な距離』(OAFF2011)にプロデューサーとして参加されて以来の出品となりますが、「その後上京したので、戻ってきたという感じですごくうれしい。クロージング作品として声がかかったことにビックリ、まだあまり信じられないです」と喜びを表現されました。

本作は直木賞作家、道尾秀介さんから託されたA4用紙8枚ぐらいにまとめた原案を基に、プロデューサー、脚本家と共に作り上げていったそうで、「道尾さんは、『自分は小説家なので、映画をつくるプロにお渡しします』と、原案を預けてくださいました。完成披露試写で初めて道尾さんに観ていただき、気に入っていただけたので、安心しました」と映画ならではの表現方法を模索していった様子を明かされました。

主演の津田寛治さんは、名バイプレーヤーとしての活躍も目覚ましいベテラン俳優ですが、「津田さんはすごく気さくで、本当に優しい方。自分の意見をきちんと持っていらっしゃり、いろんなアイデアを出してくださる一方、監督のやりたい方向を優先してくださる。人柄もすばらしく、とてもかわいい感じの方です」と絶賛。

W主演の駒井蓮さんは、これからの活躍が期待できる若手女優。「オーディションで選んだのですが、本当にフレッシュ。当時青森から上京したばかりの15歳で、無垢な感じが魅力的でした。本格的な演技は初めてだったので、撮影前にリハーサルを何日も重ね、撮影中はどんどん顔つきが変わっていきました。彼女には、まずは自分のことを信じてくださいと伝えました」と、オーディションから演出までの経緯を話されました。

元々演劇からキャリアをスタートしたという戸田彬弘監督。本作でも劇中劇が登場しますが「津田さんは自分の名前を偽って生きる男です。また、芝居をするというのは自分ではない人を“演じる”ということですから、駒井さんを演劇部役にするというアイデアはそこから出ました」と設定の背景を明かされました。またこの作品を通じて伝えたかったこととして、「大切なのは自分の本質を知ること」と述べられました。

今夏、大阪を舞台にした戯曲を東京で再演後、その映画化を構想しているという監督。「来年の夏、大阪でロケをさせていただきたいと、本気で考えています」と野望を明かす場面も。上映後には大きな拍手が起こり、ロビーで鑑賞後の観客と交流された戸田彬弘監督。大阪での上映に大きな手ごたえを掴んでいらっしゃったようでした。

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