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開催レポート 9日目

3月17日(土) vol.3 授賞式

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グランプリはデレク・チウ監督の『中英街一号』(香港)に!
感無量の歓びの中、新たな誓いに会場から拍手が沸き起こった授賞式

9日目の映画祭。ABCホールにて授賞式が行われ、グランプリをはじめとする各賞が発表されました。

司会:ABCアナウンサー北村真平さん(右)

コンペティション部門国際審査委員のみなさん

芳泉短編賞

まず発表されたのは、今年度映画祭で上映された60分未満の作品(協賛企画《芳泉文化財団の映像研究助成》を含む)のうち、日本初上映の作品を対象に最も高い評価を得た作品に授与される芳泉短編賞。新設された同賞の記念すべき第1回は、金井純一監督『CYCLE-CYCLE』(日本)が受賞しました。

JAPAN CUTS Award

《インディ・フォーラム部門》の日本映画を対象に、エキサイティングかつ独創性に溢れると評価した作品に授与されるJAPAN CUTS Awardは、ジャパン・ソサエティーのカズ・ワタナベさんから発表されました。

まず選定理由について「今年のインディ・フォーラム部門の作品はいずれも非常にすばらしく、受賞作品を選ぶのに大変苦労しました。3つ、あるいは4つの賞を出せれば本当によかったのですが。議論を重ねた結果、全体のなかでも最も大胆で最も新鮮な視点を示し、そして日本映画の将来に対し私たちの期待を最もかきたてた作品を選ぶことにしました。美しいけれども危険をはらむ異世界をテーマに私たちのイマジネーションに挑戦してきた作品です」と述べ、速水萌巴監督『クシナ』の受賞を発表しました。

速水監督は「本当にこの映画祭に招いていただき、ありがとうございます。この映画は“可能性”だったことを“可能”にした映画です。やっと皆さんに観ていただき、この賞につなげることができ、本当に感謝しています。また『クシナ』より、もっと面白い作品を持って、この映画祭に帰ってくることができるように頑張りたい」と受賞の言葉を述べられました。

薬師真珠賞

最も輝きを放っている俳優に授与される薬師真珠賞は、『ミスターとミセス・クルス』(フィリピン)の主演女優ライザ・セノンさんが受賞。

プレゼンターの薬師広幸さんからライザ・セノンさんに、副賞として薬師真珠様ご提供の真珠のネックレスが授与されました。

ライザ・セノンさんは、「本当にありがとうございます。シーグリッド監督、皆さんに感謝します」と満面の笑みで、喜びを表現されました。

ABC賞

新作映画を対象にしたABC賞は、朝日放送東京支社編成部、板井昭浩ゼネラルプロデューサーより発表され、シェ・チュンイー監督『私を月に連れてって』(台湾)が受賞しました。

目に涙を浮かべながら登壇されたシェ・チュンイー監督は、「受賞は夢にも思いませんでした。この場をお借りして、私の映画を上映していただいた大阪アジアン映画祭に感謝申し上げます。映画に参加してくださったスタッフ、キャストの皆さんにもお礼申しあげます。この賞はとても励みになります。近い将来、新しい作品を携え、この映画祭に参加したいと思います」。

なお、『私を月に連れてって』は2019年2月ごろ朝日放送(関西圏)で放送されます。

最優秀女優賞

コンペティション部門の発表。来るべき才能賞、グランプリの前に、今年は最優秀女優賞が選ばれました。審査委員のキム・ジョンウン監督より、『東京不穏詩』飯島珠奈さんの名が読み上げられた瞬間、チーム『東京不穏詩』から「Yes!」と大きな歓声が!

飯島珠奈さんは、「今回の作品は私の人生の中で一番思い出の強い作品です。一番のありがとうを、アンシュル・チョウハン監督に伝えたい。そして一緒に作ったクルーのみんな。彼らがいなければこの賞はいただけなかったので、皆で喜びを分かち合いたいと思います。これからも、人生を賭けることができるようなもの、愛に溢れた映画が日本から、海外から作られていくことを願っています。本当にありがとうございます」と喜びの言葉を述べられました。

来るべき才能賞

来るべき才能賞には、『ネオマニラ』ミカイル・レッド監督が受賞。

新作撮影のため先に帰国されたレッド監督の代理で、主演のユーラ・バルデスさんがご登壇されました。審査委員のリム・カーワイ監督から贈呈された花束を手に、「大阪アジアン映画祭に、ミカイル・レッド監督にかわり、お礼申し上げます」とご挨拶されました。

グランプリ(最優秀作品賞)

いよいよグランプリの発表!審査委員のファン・ザー・ニャット・リン監督が読み上げたのは、前日の16日に感動の世界初上映が行われたデレク・チウ監督『中英街一号』(香港)。

主演のロー・ジャンイップさん、昨年は来るべき才能賞を受賞したフィッシュ・リウさんも共に感無量の面持ちでご登壇。デレク・チウ監督は、「今まで18本を手掛けて、受賞も初めてではありませんが、今までの映画人生の中で最も重要な賞です。大阪アジアン映画祭に感謝申し上げます。これを機に、香港でも観ていただけるようにしていきます。皆さんも引き続き、香港映画を応援してください。この映画は8年かけて作り、様々な困難にも直面しました。今会場にいらっしゃる出資者の方、役者の皆さん、そしてノンギャラで働いてくれたスタッフの皆さんにも感謝を申し上げたい。皆さんがいなければ、この映画はできませんでした。そして、映画を観てくださった皆さんにも感謝を申し上げます。世界初上映に来ていただいた観客の皆さんは一生懸命観てくださり、上映後もたくさんのいい質問をしていただきました。本当にありがとうございました」と述べられました。

最後に、審査委員を代表してファン・ザー・ニャット・リン監督から総評が読み上げられました。

「最優秀女優賞の飯島珠奈さんは、その力強く、しかも繊細な演技に、審査委員全員が強い印象を受けました。魂のこもった演技、特に極限状態の中での抑制のきいた感情表現を、高く評価します。

来るべき才能賞のミカイル・レッド監督は、これまでの犯罪映画にはなかった新しいタイプの人物を登場させ、残酷で救いのない世界を生きる彼らの人生が思いがけない方向へ進んでいくさまを描くことで、このジャンルを新鮮な切り口で再構築し、アジア映画の未来を担う映画人の一人であることが証明されたと思います。

『中英街一号』がグランプリ(最優秀作品賞)を受賞しましたが、審査委員一同、深い感銘を受けました。観る者ひとりひとりの感情を高ぶらせ、心を揺さぶり、登場する若者たちに共感させる、力強く、勇敢な作品です。間違いなく、私たちの世代にとって重要な意義をもつ作品です」

記念写真では、グランプリの『中英街一号』チームをはじめ、晴れやかな表情で受賞者、ゲストの皆さんが笑顔で観客の声援に応え、感動の授賞式は終了しました。

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