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現地で誰もが知る原作を映画化!過酷な撮影現場から生まれた『七夕の妻』

《コンペティション部門》の『七夕の妻』が上映となり、脚本を担当されたフワン・カルロ・タロバルさん、出演のメイ・ファングラヤンさん、カミムラミユキさんが登壇されました。

フワン・カルロ・タロバルさん

カミムラミユキさん

最初にフワン・カルロ・ラロバルさんより「私はこの映画の助監督もしていまして、関係する制作プロダクションのすべてに関わってきました。脚本はもともとは日系人のシナイ・ハマダさんの文学小説をもとに作られたもので、それをチョイパギリナン監督が映画向けにかなり自由につくり直したものです」と説明がありました。

カミムラミユキさんは「1920年代が舞台なんですね。戦前ですね。戦後からフィリピンと日本は関係が深くなったのかと思っていたのですが、1920年代に日本人の移民がたくさんルソン島で農場を開いたということを初めて知って、移民の歴史について調べました。こういう歴史を踏まえてこの映画が日本で上映されるの喜ばしいことだと思います」と話されました。

また撮影状況が大変だったそうで「毎日豪雨で台風がきてまして、セットが崩壊して脚本まるごとかえたり、私が覚えていたこの部族の言葉も脚本が変わったとたん朝にまた別の言葉をおぼえろといわれ(笑)あまりに大変すぎて、何が大変か思わないくらい大変でした。今となってはいい思い出です」と大変すぎるエピソードを笑顔で披露されました。

メイ・ファングラヤンさん

一方、オーディションを受けに行く友達にたまたま付き添っていったところ、声がかかり出演が決まった、というメイ・ファングラヤンさんは「映画に出るとは予想もしてなかったですが、出られたことはとても光栄であると同時に、練習しなくてはいけなくてとても大変でした。また、一番難しかったのは、違う文化で育ってきた二人が気持ちを通じ合わせていき関係を築いていくこと。また、ボントック族の少数民族の役をいただけるのはとても光栄なことでありました。というのもこの役は実際の自分に似ていました。この映画の中でボントック族の文化や山での生活を紹介することもできましたし。ただ、ずっと雨が降っていて、撮影中一度も太陽を見なかったし、山の高いところだったので、かなり寒い状況でこの役を演じなければいけないのが大変でした」と振り返られました。

タイトルの“七夕”について聞かれるとカミムラさんは「原作がシナイ・ハマダという日系の方での書かれた短編小説『七夕の妻』で、その小説は彼の祖先の日系移民1世のことをモデルに書いている。彼自身“七夕”というのが日本で言う七夕祭りの“七夕”というよりも、タナバタというサウンドが好きだったようです。因みに、この原作というのがバギオやボントックでは国語の教科書や大学の教科書にもでてくるくらいで、この地域でこの話を知らない人はいないくらい有名なものですよ」と教えてくださいました。

また、作品がつくられた背景について聞かれると、「監督とチームがこの映画を作った目的は、メイが演じていた部族がフィリピンで誤解を受けているということで、その文化というものを理解してもらいたい、また、日本人に対しての悪いイメージがあるのも払拭したい、みんなどの人も平和を愛する人で、そういった誤解を取り除きたいとう気持ちから」とフワン・カルロ・ラロバルさん。そして、マイクをメイ・ファングラヤンさんにまわすと「歴史によって作られた誤解というものを払拭して私達の文化をつなぎあわせたい。日本の大きな貢献についても描きたいと思いました」と語られました。

このラブストーリーは本当に“愛のためにつくった”ものでした『オレンジ・ドレスを着た女』

《コンペティション部門》の『オレンジ・ドレスを着た女』が上映され、ジェイ・アベリョ監督が登壇され「楽しい映画ですし、つくるのも楽しくできました」とご挨拶。また「赤もいいし黒もいいけどどちらもありふれているので、セクシーだというオレンジがいいなと思いました」と色の選択についても話されました。

監督は演者について「主演のジェリコ・ロザレスさん(『ないでしょ、永遠』/OAFF2016)は、本当に素晴らしい方で個人的にも親しくしています。彼はこの映画の役柄のようにプライバシーのない生活をしている人気のある俳優さんなので、私も彼のアイディアを取り入れました」と話されました。

また「私が一番力を入れたのは、フィリピンのファンというのは非常に熱狂的で、自分が熱を上げている有名人が自分と一緒に生活をしているような幻想を抱く癖があるというところです。実際は恋人がいたとしてもそれを受け容れて熱狂的にファンでい続ける。もし本当に自分がその人と生活をする、恋人であると思い込んでしまったらどうなるか、そこに親友が介在してその親友の方が恋人になってしまったらどうなるか、その三角関係がテーマとして面白いのではないかと思いました」と監督は説明されました。

この作品は元々バレンタインデーのプレゼントとして奥様につくられた、とのこと。「お金がなくてプレゼントが買えないのでこの脚本を1週間で書き上げ、その後、毎年書き直した脚本をプレゼントしました。まさに、愛のために作った脚本です。インディーズで作品をつくっている頃は、いろいろな不安とか子供の頃の苦悩などダークな作品が多かったけど、妻と出会って恋愛をして、自分もロマンチックコメディを作りたいと思いました」と素敵なエピソードを披露されました。

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