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香港映画界の先輩の胸を借りて大胆なるデビュー作で登場『G殺』

コンペティション部門|特集企画《Special Focus on Hong Kong 2019》より『G殺』が上映されリー・チョクバン監督と出演のアラン・ロクさんが登壇されました。

リー・チョクバン監督

アラン・ロクさん

この映画がデビュー作である監督は「今の香港を記録したいということが大きかったです。社会に対して問題提起したかった。この映画を好きと思ってくれる人も、そうでない人もいると思います。それに関しては想定内です」と話されました。

また香港の今後について「この映画を観て、暗いという感想を持つ人や、反対に癒しと感じる人もいました。私は特定の印象付けをしないように描きました。例えば、二人が飛び降りても死体がないなど、どうしたのか観る人が自由に考えてもらっていいのです」と解説されました。

また、本作のエンドロールにエグゼクティブ・プロデューサーとして名前があったハーマン・ヤウ監督(『77回、彼氏をゆるす』/OAFF2017他)については「この創作に関して、脚本から演出まで色んな手助けをしてくれました。ただ、私の創作に関しては自由も与えてくれました。ヤウ監督はチャップマン・トーさんと仲が良かったので、ヤウ監督を通してチャップマン・トーさんにオファーを出しました。また、ベテラン俳優である彼に対して、新人監督の私がセックスシーンなど指示を出しにくい場合に、かわりに言ってくれたりしました」と心強かったサポートについて話されました。

アラン・ロクさんは今回の“とんでもない”先生役について「人間には完璧な人はいないと思います。私の知り合いにも教師の方がいますが、教師も神ではなく人だということです。実生活でも周りにこういう人はいると思います。自分の心の中では、この人は良い人だと思っていたのが、よく聞いてみると、過去に奥さんに酷いことをしていたとか。俳優にとっては全てが挑戦なので、この役だけが挑戦的とは思いません。ただこの映画では私のお尻があまり見えていないことが、残念でした(笑)」と語られました。

ここまで男性の気持ちが理解できるとは!と驚かれるのは褒め言葉『視床下部すべてで、好き』

《コンペティション部門》の『視床下部すべてで、好き』が上映され、ドウェイン・バルタザール監督が登壇されました。「こういった場所に慣れていないので緊張していますが、今回皆さんに私達の映画を観てもらえて大変嬉しく思います。フィリピン映画の一つの代表としてこの映画祭に招かれた事を大変光栄に思います」と監督は挨拶されました。

「この作品は、ヒロインが主人公ではなくて、四人の男性の色々な孤独な姿が物語の中心です。四人の男性が心からひたすら求め続けているのが、ヒロインの存在です」と作品について説明された監督は続けて「私が監督として、また脚本を書いてつくり上げた作品ですが、観客の皆さんが観た時点で、私の作品では無くなっているともいえると思います。どの様に感じるかは皆さんにお任せしたいです。映画は理解してもらうものではなく、感じてもらうものだと思っていますので」と述べられました。

劇中でヒロインが着用していたユニフォームのような衣装について聞かれると、監督ご自身が映画業界のキャリアをスタイリストとしてスタートしたことを明かし「アイリーンのユニフォームも私がデザインしたものです。イメージは大きなショッピングモールで働く女性。彼女のイメージを、あのユニフォームによって定めています」と答えられました。

どうしてこんなにも男性の気持ちが理解できたのか、という会場からの声に「アリガト」と笑顔をみせた監督は「よく聞かれる質問ですし、嬉しい質問でもあります。私は男性の友達が女友達より多いくらいなので、男性の孤独感や疎外感のようなものもよく分かっているつもりです」と答えられました。

会場には《コンペティション部門》の『アサンディミッタ』主演のニルミニ・シゲラさんが鑑賞されており会場から「大変素晴らしい作品だったと思います。私が主演した『アサンディミッタ』という映画も幻想についての作品だったので、男女の立場は違いますがこういう着眼点は素晴らしいなと思います。これまでどの様な作品を撮ってこられたのか、興味を持ちました」と感想を述べられました。

それを受け監督は「私の最初の作品は2012年につくり、その後出産し、娘は5歳。今ここにはいないですけど、どこかその辺で遊んでいると思います(笑)。それから7年掛かってこの作品をつくりました」と話されました。

こだわりまくった“ベトナム色”のクオリティが高すぎる!『ハイ・フォン』

《コンペティション部門》の『ハイ・フォン』の上映後、大きな拍手の中、レ・ヴァン・キエ監督がご登壇。「ありがとう。大阪。Thank you.」と会場に呼びかけ、「私たちが一生懸命つくった映画をこの寒い中、観に来てくれてありがとう」と挨拶されました。

米国育ちで、アメリカで映画づくりを学ばれている、と紹介された監督は「この映画は、西洋的なエンタメ作品ではなく、ベトナム人にも楽しんでもらいたいとの思いでつくりました。舞台のそでで見ていたが、観客の反応が良かった。日本の皆様にも受けいれてもらえ、うれしく思います」とコメント。

主演女優のゴ・タイン・バンさんは、プロデューサーでもあり、脚本の作成時から格闘技や伝統的なシーン、彼女が家庭で話すメコン地域独特の方言等、ベトナム色を強く出したいとお互い話しあったそう。その他、スタッフについては「アクションシーンには、フランスのチームを入れ、格闘シーンが国際的な鑑賞レベルにも耐えるようにしましたが、実際に撮影した人、格闘した人は全てベトナム人です」とご説明に。

またクオリティ高いベトナムの映画づくりについて「苦しい事もたくさんあり、これまで充分な映画づくりが出来てきませんでした。戦争をテーマとした作品ではなく、私達が世界に対して卑屈にならず、逆に誇れる映画を作れて嬉しく思います」と述べられました。

劇中の素晴らしいアクションシーンについて話がおよぶと「本来ですとゴ・タイン・バンさんも来て挨拶すべきですが、この映画をアメリカ、カナダでも公開するため、映画と一緒にツアーしており、大阪へ来ることができませんでした。彼女は、この映画でアクションを最後にすると宣言しています。その覚悟があって、100%全力を尽くしたのだと思います。素晴らしい演技でした。カムバックしないので、自分でやると言いスタントも使いませんでした。女同志の格闘シーンでは、撮影したものを見て、もう一度やり直すと言ったぐらいです。アクションだけが際立つのではなく全体が一体感を持った映画になるよう考えて、演技指導しました」と監督は彼女への賛辞をおくりました。

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