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女優魂みなぎる役作り!でも本職は先生という驚き『アサンディミッタ』

《コンペティション部門》の『アサンディミッタ』上映後、主演のニルミニ・シゲラさんが登壇されました。

映画の中の主人公とは異なるシゲラさんの雰囲気に会場も驚きを隠せない様子。普段はドラマをメインに活動をされているとのことで、映画は初出演だったそう。しかも、本業は学校の先生であるとの告白に会場中が更に驚きの声に包まれました。

会場から物語についての質問がでると「原作の小説と映画では違う部分もあります。小説では二つの顔を持つ男性は出てこないのです。映画の中で、若い人と年をとった人の二人を登場させる形にしているのが大きな違いです。そして二つの顔の人が出てきているのは、主人公の深層心理の表れです。スリランカでは太っていることは生活していく中で様々なハードルがあります。おそらく社会的に抑圧された女性の精神状態が夢の中で二人の男性の姿として現れたのではないのでしょうか」と、シゲラさんの解釈を述べられました。そして「監督が自身の解釈を原作に付け加えていますし、観客も更にこの映画に解釈を付け加えてくれることを期待しています」と付け加えられました。

この役を演じるにあたり、何十キロか太ることから始めた、というシゲラさん。「できるだけ役に入りたかったですし、太った女性に対する偏見がスリランカの社会問題でもあったので、そういう女性たちのために何かしなければならないという意識もありました。ある意味、自分の人生と思いながらアサンディミッタという役に取り組みました」と真摯に役作りに取り組む姿勢を垣間見るお話しをされました。

脚本を担当した監督と演者の覚悟をも伝わってきた『美麗』

コンペティション部門『美麗』が上映され、ジョウ・ジョウ監督と主演のチー・ユンさんが、上映後拍手が沸き起こる場内へ登場されました。

「大阪アジアン映画祭にお招き頂き感謝しています。この映画はすでにいろんな映画祭に出品しました。撮影してから二年間が過ぎましたが、こうして声をかけていただいて感謝しています」と監督が挨拶をされました。続いてチーさんは「私は日本に来るのは初めてです。大阪は美しい街だと聞いていたので、非常に嬉しいです。この映画の役はとても演じたい役柄でした」と述べられました。

ジョウ・ジョウ監督

チー・ユンさん

本作が長編映画デビューにして、そうは見えない作品の仕上がりだ、という声に監督は「ひょっとすると、私は映画監督という仕事が向いているのかもしれません」と笑顔をみせながら「私は性格的に完璧主義者ではなく、日々の生活や役者さんからも、自分の心を開いていろいろ学びたいと思っています。効率も大事ですし、とにかくオープンマインドでいろいろな事をやりたいと思っています」と話されました。

本作の脚本は、ジョウ監督とチーさんお二人で担当されており、筋や展開など理性の部分は監督が、主人公の人物像を女性の観点から、気持ちや振る舞い方などをチーさんが担当してつくられた、とのこと。主人公の感情表現についてチーさんは「私自身が多様な人間性を持っているところから始まっているのかもしれません。私自身も軟弱な部分も激しい部分も持っていますから」と話し、「私は、周りの女性を見ていて、今の世の中、家庭においても社会においても、女性が何かを選択する場合、常に不利な状況にあると思います。この映画で描きたかったのは、自分が望むものを手に入れるために一生懸命働く、そういう女性像をみなさんにお見せしたかったのです。女性にもパワーがあることを知ってもらいたい。男性の観客の皆さんにも、そういう女性のことを観てもらいたかったのです」とチーさんは語られました。

監督からは「中国社会では、欲にもとづく行為が多く見られます。それは中国だけでなく世界中、どこでも同じかもしれません。欲はみっともないことです。主人公の彼女は欲を否定的にとらえているところが美しいのです」とタイトルに込めた意味についても話してくださいました。

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