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時が流れ“不在になった街”の説明が必要になってきたことを実感 『あの電燈』

《インディ・フォーラム部門》『あの電燈』の上映に先立ち、ご出演の竹下かおりさんが登壇されました。本作の設定は「震災で不在になった街」。「この作品を撮った時は何も説明しなくても、みんな裏に流れているメッセージみたいなものをそのまま感じ取ってもらえていました。しかし、時が流れ不在になった街というのは、その裏に原発があるために、住みたくても住めなくなって無人化している街だ、という説明がいるようになってきました。」

5年前の3月11日。東京ではメルトダウンで、どこに逃げたらこの被爆から逃れられるかとみんな大騒ぎになり、情報が錯綜して普通ではなかったことを振り返る竹下さん。「そういうこともこの映画を見ながら、思い出していただけたらと思います。実際だんだん忘れていくのでこの作品の上映はいい機会かと思います。」

そして「楽しんでいただける、という映画ではないですが、丁度5年目を過ぎた日にこの映画を見ていただけるというのは、意味があるのではないかなと思います」と竹下さんは話されました。

生々しい暴力描写の衝撃と一変、和やかなQ&Aに『私は兵器』

第12回CO2助成作品の1本《インディ・フォーラム部門》『私は兵器』が上映となりました。上映後の舞台挨拶には三間旭浩監督、暴力を行使しつつもそれに翻弄され狂気に陥っていく男を演じた辻伊吹さん、キーパーソンとなる少年の母親役の平原夕馨さんが立ち、観客からの質問に答えました。

アクションシーン、むしろ“暴力シーン”と呼ぶのがふさわしい場面の撮影に関して「かっこいいアクションにはしたくなかったので、アクション監督は置かず自分たちで考えました。入念にリハーサルをおこなって、撮影現場でも時間をかなりかけました」と辻さんが答えれば、平原さんは「暴力シーンの撮影が終わって会ったら血まみれになっていたので、悲しい気持ちになりました(笑)」と笑いを誘っていました。しかも、平原さんは今回の上映が初めての全編鑑賞だったとのことで、想像を超えた暴力描写に驚愕していたとか。

三間旭浩監督

辻伊吹さん

平原夕馨さん

さらに、特別ゲストとしてキーパーソンの少年役を演じた橘賢将くんが客席側から飛び入り参加。壇上に駆け上る姿に歓声があがりました。賢将くんは「ピアノを弾いたところがうまくできなくて、難しかったです」と撮影時の苦労を話し、さらに作品全体に関しての「ちょっと殴るところが多すぎて、怖かったです」と子供らしい感想には会場が安堵の笑みで包まれました。

生々しく圧倒的に重たい暴力の狂気を描いた作品『私は兵器』の上映および舞台挨拶は、本編とは逆に和やかな雰囲気で幕を閉じました。

「私の人生の宝になっています」満員の会場は大盛り上がり『見栄を張る』

《インディ・フォーラム部門》第12回CO2助成作品の『見栄を張る』の上映が終わると満席の会場からは大きな拍手がおこりました。そこへ藤村明世監督に続いて、岡田篤哉くん辰寿広美さん時光陸さん辻葉子さん古妻朋瑛さん美村多栄さん辻凪子さんがご登壇。

監督から「映画はみなさんに観られて初めて完成するものだと思うので、こんなにたくさんの方に観ていただけて嬉しいです。この作品と作品を作っていた数か月は私の人生の宝となっています。それが少しでもみなさんに届いていたら嬉しいと思います」とご挨拶。また子役の岡田くんについて監督は「オーディションに来てもらって、芝居を見たらとても良かったので出演してもらいました」とご返答。監督について尋ねられた岡田くんは「優しかったです」と答えると会場は温かな空気に包まれました。

時光陸さん、辰寿広美さん

岡田篤哉くん、藤村明世監督

辻凪子さん、美村多栄さん

古妻朋瑛さん、辻葉子さん

会場から「みなさんどんな見栄を張っていますか?」という質問がでると、監督は「『映画監督やってるよ!』ってちょっと大きく言ってしまう」、岡田くんは「分かりません」、辰寿さんは「(辻葉子さんと)同級生ですが、この子より若くなるぞ!と見栄を張ります」、時光さんは「今膝が震えているのを必死に我慢しています」、辻葉子さんは「つい『知ってる知ってる~』と口癖のように言ってしまう」、古妻さんは「学校のテストで本当の点数よりも30点くらい高く言ってしまう!」、美村さんは「未だに10代の子が服を買いに行く店に行ってしまう」、辻凪子さんは「見栄は張りません!」とそれぞれがコメント。

監督が最後に「今後、全国で上映できたらと思っています」と話せばまたもや大きな拍手がおき、満員の会場の熱気は最高潮となりました。

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