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“欠けること” なく満席となった会場は興奮モードに 『欠けてる一族』

満員御礼で日本初上映を迎えた《コンペティション部門》/特集企画《台湾:電影ルネッサンス2016》の『欠けてる一族』。上映後のQ&Aにはジャン・フォンホン(江豐宏)監督と、シンディ・ホアン(黃宥驊)プロデューサーが登壇されました。

人からの質問には5秒経ってからでないと答えられない青年がそれを克服するために毎日村でヒッチハイクするというユニークな設定の本作。「この主人公のキャラクターはどうやって思いついたのですか?」という会場からの質問に「本作の脚本家が実際にそんな人なのです。“5秒経ってから喋る”ということを映画でどう表現するかが難しかったです。今はスピードが第一だから、観客が観てくれないのではないかと。だから主人公には笑顔が素敵で、5秒経っても飽きない人を選びました」と監督。これには会場のお客様も納得の様子。

メインキャストの設定へのこだわりを聞かれると、監督は「この映画をあまりシリアスな作品にしたくなかった。なるべく軽いコメディにしたかった。その上で、それぞれが抱える問題をどう表現するかにこだわりました」と答えられました。

質問をしてくださった観客の方にジャン・フォンホン監督からポスターのプレゼントがあったりと、満席の会場はおおいに盛り上がりました。

「ベトナムの内部で生まれ育った人々にしか知りえないベトナムを描いた」作品

『どこでもない空中で羽ばたく』

〈小特集:刷新と乱れ咲き ベトナム・シネマのここ数年〉『どこでもない空中で羽ばたく』が上映されました。

上映後、グエン・ホアン・ディップ監督がご登壇。「今回この大阪アジアン映画祭にて上映させていただけることを大変嬉しく思っています」とご挨拶。

会場からタイトルに込めた思いについて質問がでると、監督にとって、このタイトルが一番考えを要したものだったことを吐露。「タイトルの“羽ばたく”とは、空高く飛ぶほどの力もなく、かといって地上に降りていくほどの気力、勇気もない、といった意味を含んでいます。その空の中間を飛んでいる感じ。また、中間、というのは、大きな悲しみや恐れを抱いていることも表しています」と話されました。

また、この作品が、他の国、地域から見たベトナムを表しているのではなく、監督の出身地でもあるハノイから見た、つまりベトナムの内部で生まれ育った人々にしか知りえないベトナムを表していることを明かされ、「あえてベトナムをわかりやすく象徴するようなものを、作品の中に登場させませんでした。実際のベトナムには、この作品の登場人物たちのように、複雑で辛い問題を抱えている人がたくさんいて。だからこそ、この映画を簡単にハッピーエンドにすることをそもそも考えていなかったのです」と話され、会場も監督の語りに本編同様引き付けられました。

お披露目上映に監督、主要キャストもそろって登壇!『椿、母に会いに』

大阪、梅田界隈を舞台に描いた《インディ・フォーラム部門》『椿、母に会いに』が世界初上映となりました。上映後、舞台には髙木駿一監督とご出演の熊川ふみさん木村知貴さん谷啓吾さん高野暢子さんがご登壇。

会場より出演者の方に演じられた感想を求められると、主人公を演じた熊川ふみさんは「普段は舞台が中心なので、映画の演技になれておらず不安でしたが、自然体を意識して臨みました。役と年齢等が重なっていたので、やりやすくもありました」とのお答え。すると、髙木駿一監督も、「主人公は常に作品中でマスクをするため、目力のある人を選んだが、期待通りの目力だった」と熊川さんを称賛。すると共演の谷啓吾さんも「演技中に、熊川さんの目力に本当にうろたえてしまうこともありました(笑)」とコメント。

熊川ふみさん

髙木駿一監督

また、木村知貴さんの演じた主人公の彼氏は部屋の中で常に全裸で過ごす、という役どころ。監督は「モザイクなしの全裸は、裸をみせることが目的ではなく、むしろ隠さないことで、見えない部分を強調することなく、より自然なかんじを表現できると考えました」とその意図を語られました。

木村知貴さん

谷啓吾さん

高野暢子さん

谷啓吾さんは、衣装のこだわりとして、革ジャンが似ているようで毎回異なっていたことを明かし「この役は、普段は軽いノリで生きているような人間が時に豹変するので、なかなか理解するのが難しかった」と告白。高野暢子さんは「撮りおわるまでシナリオはよく分らなかったが(笑)、完成したものを見ると監督の思いがよく伝わってくる。このジワジワと理解していく感じも、映画の面白さなのではないか。全てが腑に落ちたのは、正直撮影が終わってから(笑)」と語られ、このお披露目上映の時を温かく受け止めている様子が伝わってきました。

『湾生回家』ホァン・ミンチェン(黄銘正)監督が、建物を観ながらの散策やお買い物を楽しまれました。「日本のケーキは美味しいと聞いているから、食べたいんだよね」とお茶タイムに。次回作はコメディという監督。また是非大阪へお越しください。大阪の美味しいケーキも探してお待ちしています。

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