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開催レポート 8日目

3月11日(金)vol.3 シンポジウム

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テーマ「“手に職系”女子とフォーエバー・ポギー」

国立国際美術館講堂にて「“手に職系”女子とフォーエバー・ポギー」をテーマにシンポジウムが開かれ、パネリストに《コンペティション部門》『ないでしょ、永遠』ダン・ヴィリエガス監督と脚本のアントワネット・ハダオネさん、主演のジェリコ・ロザレスさん、そしてモデレーターとして山本博之氏(京都大学地域研究統合情報センター)が登壇しました。

フィリピンの“ラブコメ”は、出会いがビーチ(海岸)で、“泣く男”がでてくるのが王道の形と切り出した山本氏。一方、ダン・ヴィリエガス監督作品は“手に職”をもち活躍する女性が多く、ラブコメ脚本家だったり、メイクアップアーティスト(現在公開中の作品『always be my baby』)、英語教師、ミュージシャンなど、手に職をもった女性が仕事中に男性と出会うことが多い。

ジェリコ・ロザレスさんは、「感情を表に出すため男性でも人前で泣くのが普通でフィリピンの文化的なところかもしれません。泣く役に抵抗はないけれど、日常生活の中でタクシーの運転手さんなどに『あなたいつも泣いてるね』といわれるので、そろそろ泣かない男らしいところも演じてみたい」とコメント。

アントワネット・ハダオネさん

ダン・ヴィリエガス監督

ジェリコ・ロザレスさん

会場からは「臓器売買など社会問題を題材にした作品はつくりませんか?」の問いに「ロマンティックコメディはもっとも人気のジャンルで、プロモーションをしなくても観客動員も多く確保できる。しかし、社会問題を扱うのは、インディペンデントになるので上映する映画館が限られてくる。ビジネスとして観客動員の見込みのあるものを上映するため、なかなか伸びないインディ系は難しいのが現実」とアントワネット・ハダオネさん。

『ないでしょ、永遠』の話になると、劇中の言葉は、ミレニアム世代といわれる若い世代が使うタグリッシュ(タカログ+イングリッシュ)で話すよう意識したことや、フィリピン映画で多く描かれる家族のごたごたを今回は意図的に制限をしたなど、映画づくりの細かな設定についても語られました。

大阪アジアン映画祭で上映されることについて「フィリピン映画は上映される機会が少なく、社会性をとりあげることが多い中、ロマンティックコメディはなかなかとりあげてもらえないのでとても嬉しく思います。映画を通してメッセージが伝えられるか不安で緊張したが、観客が涙を流しているのをみて、伝わったと実感しました」とダン・ヴィリエガス監督。

アントワネット・ハダオネさんは「映画祭はエネルギーをもらえるから大好き。映画という世界こそ、自分がやるべき世界と再認識させてもらえます」と語られ、ジェリコ・ロザレスさんは、「みんなのものになった愛(LOVE)というグローバルな言葉がみなさんと共有できたことがうれしい。フィリピンの映画を通じて文化を楽しんでもらいたい」とし、最後は、ジェリコ・ロザレスさんと観客のみなさんとでポギーポーズ(写真下)で撮影をされて会場をあとにしました。

*このシンポジウムのさらに詳しいスペシャル・レポートはこちら(和訳準備中)

メトロマニラ映画祭において、作品賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞、など数々の賞を受賞した作品。

ダン・ヴィリエガス監督

フィリピン映画界では常に興行成績の上位にランクインし、ラブコメ作品を立て続けにヒットを飛ばす。

アントワネット・ハダオネさん

商業系からインディペンド系まで幅広く手掛けるヒットメーカとして知られる監督でもあり、脚本家。『運命というもの』(OAFF2015)では監督・脚本をされた。

主演 ジェリコ・ロザレスさん

映画・テレビでマルチに活躍し、フィリピン芸能界を支えるスターのひとり。ハンサム(美男子)の象徴でもあるポギーポーズは、まさに彼から生まれたのではないかという「ミスターポギー」である。

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