← Back
  • LINEで送る

タイ映画界を育てた“あの”お店に、監督たちもやっぱり通っていた 『あの店長』

特集企画《ニューアクション! サウスイースト》よりドキュメンタリー作品『あの店長』が上映となりました。

上映終了後、自然と拍手が沸きおこり、そのまま、ナワポン・タムロンラタナリット監督とプロデューサーのドンサロン・コーウィットワニッチャーさんが登壇されました。

「ナワポン監督もヴァンさんのお店(映画に登場する海賊版を販売するお店)でお世話になったのですか?」という質問に監督は「私自身も高校2年生からあのお店に通っていて、そこでプロデューサーのドンサロンさんとも出会っていました」と明かすと、ドンサロンさんは「まだまだ映画には描かれていないたくさんのエピソードがあります。個人的には、ヴァンさんのお店に通うことができてよかった。今ではネット上で映画をみることもできるようになり、お店がなくなってしまう運命になったのは悲しいです」と話されました。

ナワポン・タムロンラタナリット監督

ドンサロン・コーウィットワニッチャー プロデューサー

「最後に一瞬、出てこられたのはヴァンさんご本人ですか?」という会場の声に「はいそうです。でもわざと顔を隠しているのです」と監督。「裏話はありますが、ここでは言えないんです(笑)」とドンサロンさん。一体何が……。

「証言されていた出演者について、どのような基準で選ばれたのか?」という質問に監督は「出演された方はあのお店に協力していた人。海賊版の翻訳・字幕の作成をしていた人、海賊版を見て映画監督になった人など背景が重ならないように様々な立場の人を選びました」とのお答え。今のタイ映画界の人材を育てたといっても過言ではないヴァンさんのお店。ゲストからもその愛情を感じるひとときとなりました。

実は「食べられる」シリーズ第一弾?! 世界お披露目上映『食べられる男』

世界初上映となった《インディ・フォーラム部門》第12回CO2助成作品『食べられる男』。上映後、近藤啓介監督本多力さん時光陸さんひと:みちゃん、脚本も手掛けた小村昌士さんが登壇されました。

本作についての感想を聞かれると、主演の本多力さんは「孤独な男だと思ったのが、工場を退職するシーンで退職日にサプライズの花の枯れ具合と、おっさんふたりの万歳。悲しいなぁ、と思いました」

CO2助成作品『見栄を張る』にもご出演の時光さん。「今回はまた違った役でしたね?」と聞かれると「生きていて、こんなに苦しいことがおこるものなのか?しかもこんな連続で、と、村田さん(食べられる主人公)がかわいそうになって、試写会のときから目が熱くなった」と話されました。

ひと:みちゃんは「今回、この映画を観るのは2回目ですが、見方によって違う発見ができた」とのこと。ちなみに、ひと:みちゃんには衣装が準備されておらず、着物も私服で自前で用意されたそうです。

本多力さん

時光陸さん

ひと:みちゃん

脚本の小村昌士さんは、ショーパブの社員や最後のP星人のパパ役として出演もされていました。

これからどのような映画をとりたいですか、の質問に監督は「規模の大きく『食べられる女』とか『食べられるおかま』など“食べられるシリーズ”でいきます!」との答えに会場は大爆笑。因みに、本作には“食べ物を大事にしよう”というテーマと“食育のメッセージ”などを盛り込んだとのことでした。

近藤啓介監督

小村昌士さん

場内では、ひと:みちゃんが「どんどんぶらぶら」をアカペラで唄うなど、終始、笑いの絶えない舞台挨拶となりました。会場の入り口では、劇中で使用した衣装や小道具が「遺品」として展示され、UFOキャッチャーのキャラクター「わびさびくん」 はご自由にお持ち帰りください、と待ち時間をも楽しめるライブ感溢れる上映回になりました。

市民の熱意、献身的協力と新鋭監督が“ともに”つくりあげた 『ともに担げば』

《インディー・フォーラム部門》『ともに担げば』『想い出の中で』が同時上映されたこのプログラム。

上映前に『ともに担げば』鶴岡慧子監督神田晃プロデューサー、制作の大橋和明さん、出演の髙野春樹さん山崎日菜さん、主題歌も担当されたillyさん、そして一般公募にて本作に出演した大橋思温くん大橋ミュウさん大橋ニカさんが一同に会し、賑やかな舞台挨拶となりました。

本作は、新潟県で立ち上げられた燕三条フィルムプロジェクトという市民事業によりつくりあげられた作品。神田晃プロデューサーは「普段は建築の仕事をしており、素人で本当に苦労したが、燕三条の人たちとつくり上げていきたいという思いから今回取り組みました」と、そして大橋和明さんは「普段は料理人をしている。人より映画が好きな程度で、素人であるが、映画をつくり上げたいという一心で、思いだけで完成させました。この映画には、モノづくりへの溢れる情熱が表されていると思います」と挨拶されました。

鶴岡慧子監督

神田晃プロデューサー

制作・大橋和明さん

続けて、ご出演の髙野春樹さんは「東京で役者をしています。このように映画のプロではない私たちがつくったものではあるが、ぜひこの作品を最後まで楽しんでいってほしいと思います」と語れば、その妻役を演じた山崎日菜さんは「燕三条出身者として、こうして大阪で燕三条の映画が上映されることを本当に嬉しく思います。温かい作品なので、ほっこりした気持ちになってもらえたら嬉しいです」とコメント。演者としてだけではなく、主題歌も担当されたillyさん。「この曲にはワンツースリーという言葉が出てくるが、これは、“ひとつになる、燕のつ、三条のさん”という形で123の中に思いを込めたもの。最後で是非きいてもらえたらうれしい」と話されました。

髙野春樹さん

山崎日菜さん

illyさん

一方、一般公募により参加された子役の皆さんは少し緊張気味。小学校2年生の大橋思温くんは「演技で大変だったのは、友達なのに喧嘩をするということ」と話し、劇中度々登場した子供同士の喧嘩シーンのことを振り返っていました。中学1年生の大橋ニカさんは「演技をしているうちに、出演している友達役の子たちと、本当の友人のようになっていくことがとても面白かった」とのこと。中学2年生の大橋ミュウさんも初めての映画撮影を楽しんでいたようでした。

大橋思温くん

大橋ニカさん

大橋ミュウさん

鶴岡慧子監督からは「スタッフは7人で、青年会議所の方々、また一般公募と5人のプロの役者さんを中心として進めていきました。撮影期間は1週間程。初めての映画制作ということで、時間がかかることを見越して時間をかけて取り組み、脚本は2か月ほどかけて仕上げました。初めてで苦労が多かったけれど、是非最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです」と話されました。

若き監督がロケ場所に惚れて移住していた!『想い出の中で』

本映画祭には、『seesaw』(OAFF2011)、『救命士』(OAFF2012)に続いて3回目の登場となった『想い出の中で』完山京洪監督。上映後登壇され「このような機会をもてて非常にうれしい。この映画祭は本当に大好き」と嬉しいコメント。

今回の作品は、地域をよりアピールする狙いのもと、時間やキャストが先行決定していた企画。監督は話をうけて約2か月で本作を仕上げたとのこと。「ロケハンから1週間から10日程でもう撮影がスタート。今までで一番時間がなかったですね。撮影は4日間。佐田正樹さん(バッド・ボーイズ)には、普段芸人としてのイメージが強い分、あえて真面目な公務員のような役をやって欲しくこの配役に決めた」と撮影を振り返られました。

また、本作品のご縁で、この福岡県大川市を大変気にいり、去年から実際に移住しているとも。「大川で、映画監督で地域おこし隊になったのは僕が初めてで、相当珍しいことらしく、たくさんの取材を受けています。今後は同じように映画監督でそういった取り組みをする人が増えていくのでは。地域おこし隊として、職人さんのインタビューを撮ったり、動画を使って町のPRをしたり、CMにでたりしているんです」という監督。続編は、大川の宣伝というよりは、ちゃんとした長編作品のなかの一舞台として、この街を舞台にしたいと思っているとのことでした。

このQ&Aの最後には、併映『ともに担げば』の鶴岡慧子監督も登場。監督同士のお話や観客からの自由な感想も飛び交い、時間が足りなくなってしまうほどで、明るくて和やかな雰囲気で終わりました。

← BackNext →