震災後の「不在」をテーマに 『あの電燈』
鶴岡慧子監督、7日に続き、もう1本の上映作品《インディ・フォーラム部門》『あの電燈』が上映されました。上映が終わり映画の緊張感が残る中、鶴岡慧子監督がご登壇。
監督は、「震災後、実際に日本にも(映画のような)人がいられなくなった町ができて、おそろしいことだと思った反面、その後どうなったのかということがこの映画のコンセプトでした」と語られました。
会場からは、似たシチュエーションの映画について、鶴岡監督は「先行きが不安な感じとか、そういうものをどうやって表現するか、ということにはすごく敏感に向き合っていかなければ思っています」とご返答。今年の本映画祭で上映されているもう1作品の監督作『ともに担げば』については、「『あの電燈』とは真逆の向き合い方をしている明るい作品。全く違う2作品で映画の可能性を示せたら」と意欲的な言葉で締められました。
映画のテーマや、監督の映画への向き合い方が聞くことができた貴重な回となりました。
「暴力をリアルに描きたかった」 人の持つ暴力性に迫った意欲作『私は兵器』
《インディ・フォーラム部門》第12回CO2助成作品『私は兵器』が世界初上映となり、上映終了後、三間旭浩監督、出演の辻伊吹さん、玉井英棋さん、佐藤考太郎さんが登場すると、会場には大きな拍手がおこりました。
三間監督「色々と感慨深いのですが……ありがとうございます」と少し緊張した様子でご挨拶。
人の持つ暴力性に迫った本作について監督は「暴力描写を、気持ちの良いものにしたくなかった。リアルさや無様さを出したかった」と語られました。
三間旭浩監督
辻伊吹さん
辻さんは「この作品にはアクション監督がいません。自分たちでああだ、こうだ言いながらつくっていきました」と、玉井さんは、「アクションについて提示すると監督は首を縦にふってくれました」と現場の様子を語ってくださいました。
玉井英棋さん
佐藤考太郎さん
会場から「好きな場面は?」との質問に対し、佐藤さんは「人のシルエットが綺麗に切り取られているカット。映画って記憶から薄れていくものだけれど、最初に思い出すきっかけになるような画だと思うので」とコメント。玉井さんと辻さんは、主人公の父親役の菅田俊さんの出演シーンを挙げられました。
ヒリヒリとした物語とは対照的に、現場の雰囲気の良さが垣間見られるお話が聞けました。