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ABCホールがライブ会場に! 迫力の演技に会場が湧いた!『いばらきの夏』

大阪市住吉区の白頭学院建国中・高校の伝統芸術部が、茨城県で行われた高校総合文化祭にチャレンジする姿に密着したドキュメンタリー映画《特別招待作品部門》『いばらきの夏』。伝統芸能「地神バッキ」を披露するべく厳しい練習を重ねる様子は、青春そのもの。コーチ、チャ先生の手厳しい叱咤が飛び交い、緊張のあまり泣いてしまう生徒も。怒られて泣き、本番前日の練習に「これだけ怒っても、乗り越えてくれた」と初めて褒められて泣く生徒たちを見ていると、観客も生徒たちの頑張りに思わずもらい泣き。高校総合文化祭で第3位を獲得するシーンでは大きな拍手が沸き起こりました。

上映後には、チョン・ソンホ監督、白頭学院建国学校理事長のコ・ギョンピル氏、校長のイ・グァンヒョン氏、そして生徒たちを導いたコーチのチャ・チョンデミ先生が登壇(上の写真右より)。

ソンホ監督は、「日本で映画が上映されるとは夢にも思っていなかった。子どもたちの成長過程を描写したかった」と、生徒たちからの花束贈呈で受け取った花束を、改めてチャ先生に渡し、大きな拍手が送られました。また、コ・ギョンピル氏は「はじめて皆さん方と一緒に映画を拝見し、感動する場面が非常に多く、言葉にならない震えもある。大阪アジアン映画祭という晴れの舞台に我が白頭学院建国中・高校伝統芸術部が映画化、上映されたことを誇りに思う」と話されました。

挨拶後行われた同校伝統芸術部によるパフォーマンスでは、20名の部員が躍動の意味を込めた演目「夢舞」を披露。大きな旗を持った部員や太鼓を持った部員など、それぞれのパートをハツラツとした笑顔で演じ、ABCホールがまさにライブ会場に。途中、寸劇のような趣向も凝らし満席の観客を大いに感動させ、会場がまさに一体となりました。

厳しい練習を乗り越え自信をつけた生徒たちの演技は、上映後ABCホールの外で快晴の青空のもとでも行われ、大阪アジアン映画祭を大いに盛り上げてくれました。

「不完全だからこそ心に残る」青春の一幕を描いた『王家欣 ウォン・カーヤン』

《コンペティション部門》/特集企画《Special Focus on Hong Kong 2016》『王家欣 ウォン・カーヤン』が上映となりました。

Q&Aには、ベニー・ラウ(劉偉恒)監督と奥様で脚本を担当されたウォン・プイヤンさんがご登壇。監督が「コンニチハ!!私はベニーラウです」と日本語で挨拶。続いて「わたしは奥さんです。ご来場くださいましてありがとうございます」と広東語でウォン・プイヤンさんもご挨拶。

ベニー・ラウ(劉偉恒)監督

ウォン・プイヤンさん

会場からの「“ウォン・カーヤン”というのはそんなに多い名前なのですか?」の質問に、「そうなのです。普通の名前を使ってふつうの女の子を描きたかったのです」と監督。また、物語の時代設定を1992年とした理由について監督は「私の中では一番楽しかった年。周りもいい人ばかりでした」と話せば、ウォン・プイヤンさんも「恋愛においてもシンプルな時代でした」とお話しに。撮影場所については大変な苦労があったものの“思い出の世界に戻っていく”感じを大事に表現したかったそうです。

「実話に基づく」と、クレジットに出てくる本作。「92年の夏休みにある男の子が好きな女の子を探しだすために電話をかけまくったというのが実際のお話。人を探す過程において同姓同名の人が現れ、いろんな人生が見えてくる。二人で相談をして、それを活かす脚本にしました。」また、「どこか不完全なものがあればこそ思い出というのは心に残るものではないでしょうか。わたしは皆さんにわざと想像できる空間を残しておきました」と余韻の残る映画のラストについても語られました。

ちなみに「次回作も二人で作成中。ラブストーリーですよ」とのこと。

実は意外なカメオ出演も!!『香港はもう明日』

アメリカ人監督による《コンペティション部門》『香港はもう明日』の上映があり、緊迫のラストシーンがエンドロールに変わった瞬間、会場からは拍手が沸き上がりました。そんな暖かい雰囲気の中、エミリー・ティン監督、プロデューサーのソフィア・シェックさんが登場。

ルビーとジョシュの会話で進んでいく物語。でも、数少ない脇役には大物が!気付いた観客からの指摘に監督もビックリ。なんと、占い師はリチャード・ンさん(キョンシーのシリーズに欠かせない名俳優!)、タクシー運転手はレオン・ポーチ監督(『ICHIGEKI 一撃』『デトネーター』など)だったそう。リチャード・ンさんはソフィア・シェックさんと旧知の仲で、2時間のランチの後、出演を快諾されたとか。タクシー運転手は当初、本職の運転手が演じていたそうですが、演技が全くダメで「重要なシーンなのに…」とティン監督が泣いていたところ、レオン・ポーチ監督が「僕がやるよ」と言ってくれたそうです。

ソフィア・シェックさん

エミリー・ティン監督

香港のきらめく街並みも作品の見どころ。撮影は14日間で低予算のため交通規制せずに撮影したとのこと。ティン監督は香港に5年在住した経験があり、ロケ地は監督の思い出の地だとか。ロケ地観光マップをSNSにアップする予定もあるそうなので、要チェックです。観客からは、夜景が美しく坂道が多い点で神戸と似ているので、神戸で撮って欲しかったとの声が。現在、続編を思案中らしいので、神戸や大阪がロケ地になる可能性も?!今後にも注目です。

《コンペティション部門》『ないでしょ、永遠』

主演のジェリコ・ロザレスさんと一緒にパチリ!

“単なる恋愛ではない人間同士の結びつき”を描きたかった 『眠らない』

《コンペティション部門》『眠らない』が上映され、プライム・クルズ監督と脚本のジェン・チュアンスさんが登壇されました。

本作制作の経緯について「テーマの一つは『孤独』です。監督も私も不眠症だったので、眠れないことに関していろいろ意見をかわしました。その中で、ゾンビやスーパースターの話が出て来ました」とジェン・チュアンスさん。監督も「人間は誰でも孤独です。特に大都会にいると自分の居場所を見失ってしまう。そういう感覚は誰にでもあると思います」と話されました。

ジェン・チュアンスさん

プライム・クルズ監督

主人公の二人の、恋愛関係から一歩おいた関係について監督は「フィリピンにもロマンティックコメディや恋愛映画がたくさんありますが、『単なる恋愛ではない人間同士の結びつき』を描きたかったので、ちょっと違った形にしてみました」と話されると、ジェン・チュアンスさんは「もちろん、二人が一緒になるのが私の願いですが、これはこれでハッピーエンドになったと思います」とコメントされました。

また劇中でアニメーションを使用しているのは監督のアイデアで、当初、ジェン・チュアンスさんは反対したとのこと。「私は視覚的に表現したかったのです。彼らが自分たちの世界に浸っている姿が表現出来たと思っています」という監督の意見に、ジェン・チュアンスさんも「大人として現実の問題に直面している彼らが、心の中では幼い部分があることが表現されたと、今では納得しています」とお話しでした。

時間も予算もギリギリの中でプレッシャーは多い作品だったようですが、クリエイティブで充実した時間だったと自信をのぞかせたお二人。会場も堪能できた時間となりました。

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