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グランプリはチャン・ムニル監督の『豚のような女』(韓国)へ!
感動を呼んだオープニング作品『湾生回家』(台湾)は観客賞に!

司会(右):北村真平アナウンサー(朝日放送)

3月4日(金)より、梅田ブルク7、ABCホールをはじめ大阪市内の6会場にて開催してきた第11回大阪アジアン映画祭。最終日、クロージング作品『モヒカン故郷に帰る』(沖田修一監督)上映前に、クロージングセレモニーが行われ、グランプリをはじめとする各賞の発表が行われました。

セレモニーでは、まず、上倉庸敬大阪映像文化振興事業実行委員会委員長より「笑いのうちに胸を打たれる、沖田修一監督の『モヒカン故郷に帰る』が、本年度のクロージングを飾ります。第11回大阪アジアン映画祭を最後までお楽しみください。そして、第12回大阪アジアン映画祭でお会いしましょう」と挨拶がありました。

そして、いよいよお待ちかねの各賞の発表へ!

観客賞

日本初上映作品を対象に観客の皆さんの支持を一番集めた観客賞は、オープニング作品のホァン・ミンチェン(黄銘正)監督『湾生回家(わんせいかいか)』(台湾)が受賞。昨年『コードネームは孫中山』、一昨年『KANO 1931海の向こうの甲子園』と3年連続して台湾映画の受賞となり、会場から大きな拍手が送られました。

プレゼンターの上倉委員長から、代理登壇された関西宣伝担当のキノキネマ代表、岸野令子さんに表彰状が渡されたのち、薬師真珠の薬師広幸さんから副賞として真珠装飾品が授与されました。

薬師真珠賞

最も輝きを放っている俳優に授与される薬師真珠賞は、『欠けてる一族』(台湾)主演女優のエラ・チェン(陳嘉樺)さんが受賞。プレゼンターの薬師広幸さんから、代理登壇された『欠けてる一族』ジャン・フォンホン(江豐宏)監督に、副賞として薬師真珠様ご提供の真珠装飾品が授与されました。

戸惑いながらマイクの前に立ったジャン・フォンホン監督は「大阪アジアン映画祭にやってきて、この賞を受賞し本当にうれしい。大阪大好き!」と喜びを表現されました。

ABC賞

ABC賞はナワポン・タムロンラタナリット監督『フリーランス』(タイ)が受賞。監督及び関係者の方は帰国されたため、朝日放送ビジネス戦略局イベント事業部の板井昭浩部長から「来年の1〜2月ぐらいにオンエア予定。作品をご覧になった方は分かると思うが、ABC賞に選んでオンエアするという結構無茶なことをやるので、期待してください」とのコメントが寄せられました。

JAPAN CUTS Award

今年から新設された、《インディ・フォーラム部門》を対象としたJAPAN CUTS Awardは、《インディ・フォーラム部門》の日本映画を対象に、米国ニューヨーク市のジャパン・ソサエティー(日本映画祭「ジャパン・カッツ!」主催団体)がエキサイティングかつ独創性に溢れると評価した作品に授与される賞です。プレゼンターの増渕愛子氏が「ドキュメンタリーとフィクションを融合させ、想像力豊かな構成となっている地域映画」と評した完山京洪監督『想い出の中で』が受賞。

完山監督は、「ありがとうございます。福岡県大川市で撮影し、すごく好きになって昨年7月に大川市へ移住した。お世話になった方にいい報告ができる。OAFFへの出品は3作目だが、この映画祭に育てられていると思う。また新作を持ってこの映画祭に参加したい」と頬を紅潮させながら、力強く受賞コメントを語られました。

来るべき才能賞

来るべき才能賞には、プレゼンターの国際審査委員、ジョコ・アンワール監督が「脚本、主演も務めたこの大胆な初の長編作品は、彼女の卓越した才能を示すもの。また、東と西の違いについての深い考察もあり、審査委員一同、彼女の今後の製作活動に大いに期待している」と評した、『そんな風に私を見ないで』(ドイツ・モンゴル)で監督・脚本・主演のウィゼマ・ボルヒュさんが受賞。

ご家族による手作りというモンゴル民族衣装風の鮮やかなドレスで登壇したボルヒュ監督は、「初めての日本で、とても楽しく、自国にいるように過ごしている。私はアジア・モンゴルの出身だが、私たちの映画作りを支持して下さったことを、とてもうれしく思います」と喜びを表現されました。

グランプリ

プレゼンターの国際審査委員長、イー・ツーイェン(易智言)監督が「商業映画と芸術映画の両方の魅力をバランス良くもった映画作りがなされ、プロフェッショナリズムと豊かな想像力との幸福な結婚ともいえる作品」と評した、チャン・ムニル監督『豚のような女』(韓国)が見事受賞しました。

チャン・ムニル監督は、「人生は苦難に満ちていても、最後には克服できることを描きたいと思っていた。この映画祭でグランプリを受賞したことで、私自身もこのことをより深く理解できると思う。審査員の皆さん、この映画を観てくださった皆さんに感謝の気持ちをお伝えしたい」と感動冷めやらぬ様子でコメントを述べられました。

記念写真では、皆さん晴れやかな表情でマスコミや観客の皆さんのカメラに笑顔で応え、和やかな雰囲気の表彰式は終了しました。受賞者の皆さま、おめでとうございます!

「全く故郷に帰った感じはしない」大阪でのお披露目にドキドキ
『モヒカン故郷に帰る』

表彰式の後には、クロージング作品『モヒカン故郷に帰る』の沖田修一監督が登壇され、舞台挨拶が行われました。

今回は沖田組が初めての俳優も多かったそうです。主演の永吉を演じる松田龍平さんの印象は「どういう役かを一緒に考え、とても面白いことを発想してくれたのでやりやすかった」そうで、永吉の彼女役として登場する前田敦子さんも「主人公が抜けているところがあるので、もう一人はまともかと思いきや、アレ?と思うようなカップルです」と期待が高まるコメントも。

本作は瀬戸内海の架空の島が舞台ですが、「東京で暮らしている男が、東京から帰るにはとても遠い場所という設定で、いっそのこと島にしてみた。海沿いの穏やかなところをロケハンで探し、広島の瀬戸内海のいくつかの島でロケをさせてもらった」とのことで、穏やかな島の風情も見どころ。

最後に、大阪アジアン映画祭に招待されたことへの思いを聞かれた沖田監督の「大阪は一切出てこないし、全く故郷に帰ってきた感じはしていないですけど」という答えに、満席の会場がどっと沸く中「まだ公開されていない映画、お披露目するのが最初なので、こうやって観に来てくださってありがとうございます。ドキドキしています」と続け、飄々とした表情とは裏腹に、緊張も垣間見える舞台挨拶となりました。上映後には自然と拍手が沸き起こり温かい空気が会場を包み込みました。

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