開催レポート
 
3月12日(水)6日目

 

ユージン・ドミンゴさん、笑顔いっぱいで登場

『インスタント・マミー』の舞台挨拶とQ&Aがシネ・リーブル梅田で行われ、主演ユージン・ドミンゴさんと監督のレオ・アバヤさんが登壇されました。

昨年は本映画祭に『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』(13)をもって来阪され、今年はコンペティション部門国際審査委員でもある、女優、ユージン・ドミンゴさん。「コンニチワ~!大阪にまた来られてうれしいです。今回が3回目ですが、もう帰りたくない、ずっとここにいたいと思います。ジョークで~す!」と明るく元気に登場し、会場を沸かせました。国際審査委員を受けられた経緯として「これまでOAFFがフィリピンや私たちの携わった映画に対して非常に大きな期待と信頼を寄せてくださったことへのお礼、また感謝の印として責任の重い役割ではあるがお引き受けした」と嬉しいお言葉。

アバヤ監督は「このお話の基礎となるストーリーは何年も前にありましたが、もともと私がよく知っているCM広告の現場やこれまでに出会った人たちなどをアイデアとして加え、私なりのひねりを入れて新しい作品としました。」と作品の誕生について語られました。

  • ユージン・ドミンゴさん
  • レオ・アバヤ監督

ハリウッドを拠点に活躍する日本人俳優の松崎悠希さんの起用については、昨年のOAFFでユージンさんとクリス・マルティネス監督(『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』)が日本人俳優を探していると呼びかけた結果、東京やシンガポール、台湾など色々な地域から応募があり、最終的には14人の中から松崎さんが選ばれたとのこと。「私達のようなインディー作品は仕事のやり方がずいぶん違ったと思います。入国する早々からすぐにセットに入ってもらい、たった5日間ですべてのシーンを撮りましたので、とても苦労されただろうと思います。」とユージンさん。劇中の日本語がとても上手だったという感想を聞きたユージンさんは「ホントウニ!?私の日本語が上手だと言って下さってとてもうれしいです。」笑顔がひろがりました。

上映後に行われたサイン会では長蛇の列が並び、終始明るく笑顔で対応するお二人の姿が印象的でした。

 

 

 

監督たちからのサプライズに会場もヒートアップ

期間中の上映3回とも、チケットが早々に完売した『おばあちゃんの夢中恋人』。上映後、北村豊晴監督とシャオ・リーショウ監督が登場しました。

北村監督は「僕らはこの作品でお客さんに、30回笑って3回泣いてもらうのが理想やったんですけど、今回は笑いがちょっと少ないかなと心配でしたが、上映が終わったときにはいい感じだったので大事に見てもらっているなと感じて嬉しかったです。」と感想を話されました

シャオ・リーショウ監督は「この映画を気にいって頂けるよう願っています。私は小さい頃から祖父母の影響で日本的な環境にいました。私自身台湾と日本をミックスした環境で育ってきたので、その日本と色々似ているところがフラッシュバックして映画になったと思います。」と話してくれました。

今回は、質問した観客の方に監督たちから『おばあちゃんの夢中恋人』の特製サイン帳を、そして「これは良い質問だ!」という方にはポスターをプレゼントというサプライズが用意されていました。会場からは、多くの手があがり、Q&Aの時間は大いに盛り上がりました。

  • 北村豊晴監督
  • シャオ・リーショウ監督

「今は台湾語は実際にはあまり使われていないのですか。」という質問に、シャオ監督は、「映画はほとんどが標準語(北京語)。ちなみに昔は80%日本語というものもありました。」と。また、北村監督は台湾に16年間いるそうですが、「台湾語はやっぱり難しいです。」と語り、字幕についても「台湾語を大阪弁にしたりするといいのではないかと思っていたが、それも難しい。いつも字幕って難しいなと思います。」と話されました。

共同監督としての役割分担については、「私が父親役で北村監督が母親役でした。」とシャオ監督。また、北村監督は「シャオ監督はビジュアルやアートが得意。彼には、目に見えるもの、例えばカメラワークやアートをやってもらった。私は演技を担当。簡単にいうとこのような分担でしたが、最終的には一緒にやった。合作ですね。」とのこと。

その後のサイン会でも、遅い時間に関わらず大勢の方が並ばれました。

 

 

 

監督、出演者が勢揃い!で会場が一つに

上映前、「色々言うよりも映画を見てもらいたい」と挨拶に立った神保監督。第10回CO2助成作品の1本『僕はもうすぐ十一歳になる。』は、客席を埋め尽くす観客の熱気とともに上映が始まりました。

上映後の舞台には(写真左より)神保慶政監督、出演者の濱田響己さん、紫英さん、河村宏正さん、市川愛里さん、鳥居敏明さん、平本たかゆきさんが登壇。神保監督は、ブータンやチベットによく行っており、飛行場で現地の人間がゴキブリを拾って放してあげるところを目の当たりに。そのエピソードが本作の原点となっているそうです。

映画の中で濱田さんが石を積むというシーンについて、会場から「なにか宗教観が?」との質問がありました。特にそういうイメージは無かったという監督ですが、濱田さんが石好きなようで現場では石の解説を色々してくれたという話が飛び出ました。また、「家族のつながりや人とのつながり、受け継ぐものや大切にするもの、といった大きなテーマがこの映画に感じられる」という観客の声に、神保監督は「意識してなかったです。今聞いて気づかされました」と受け止めていらっしゃいました。

 

 

 

女性監督の柔らかさと強さが印象的

第10回CO2助成作品で世界初上映となる『螺旋銀河』の上映。草野なつか監督、出演者の澁谷麻美さんに加えて、恩地徹さんが急きょ舞台挨拶に駆けつけてくれました。その恩地さんが「とても女性らしい映画」と紹介した本作。上映後の会場はとても柔らかな空気に包まれました。

  • 澁谷麻美さん
  • 恩地徹さん
  • 草野なつか監督

その中でQ&Aがスタート。『螺旋銀河』というタイトルについて、舞台となるコインランドリーを、“幸子の守られている自分の世界”=“宇宙船”=“銀河”というイメージで膨らませ、主人公の綾と幸子の関係性を“螺旋”とイメージされたとのこと。「この対照的なふたりの主人公に監督の性格が投影されていますか?」という質問に、監督は「投影はしていません」ときっぱり。「ただ、どちらのキャラクターも理解できる部分があり、近く感じることもあります。」と答えられました。また、澁谷さんは、会場から「スクリーン上と似た雰囲気ですね」と感想がでるように、凛として丁寧な対応が会場を和ましていました。役作りについて恩地さんは「字面で見ると、僕の役はすごいひどいんですよ」とおっしゃると、会場から笑いが。「草野監督にも、このままやるのは、どうなんですか?と現場で聞くと監督は「やってください、大丈夫です。」とピシャリ。」だったそうです。

終了後も劇場の外で、監督や澁谷さん、恩地さんは観客の皆さんと話がつきない様子でした。