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映画祭開幕!オーサカ Asia スター★アワード表彰式も同時開催のオープニング。受賞者のカラ・ワイさんが、主演作『ミセスK』日本初上映を前にアクション引退宣言飛び出す!

梅田ブルク7にて幕を開けた今年の映画祭は、3回目となる《オーサカ Asia スター★アワード》の表彰式も兼ねた華やかなものとなりました。

オープニング作品は、受賞者カラ・ワイさん主演作の日本初上映となるマレーシア・香港映画『ミセスK』。オープニングセレモニーで、まず登壇した上倉庸敬大阪映像文化振興事業実行委員会委員長は、「これから上映する『ミセスK』は、製作した香港、マレーシアより先に大阪で上映されます。今や大きなジャンルとなった女性アクションを通して、アジアの伝統となった闘う女性の姿を重厚に描き出します。また、コンペ部門には16作品が入選。過去最多となりました。アジア映画の活発でダイナミックな力を象徴する数です。どうか心ゆくまでお楽しみください」と挨拶されました。

上倉庸敬大阪映像文化振興事業実行委員会委員長

司会はエフエム大阪DJの小早川秀樹さん(右)

オープニング・セレモニー

オープニング上映作品『ミセスK』の監督で、本年度コンペティション部門の審査委員も務めるホー・ユーハン監督『ミセスK』主演で第3回オーサカ Asia スター★アワードを受賞されるカラ・ワイさん、今年初めての特集企画《アジアの失職、求職、労働現場》から『世界の残酷』サンジェイ・クマール・ペルマル監督、特集企画《ニューアクション! サウスイースト》から『パティンテロ』ミーク・ヴェルガラ監督、インディ・フォーラム部門『恋とさよならとハワイ』出演の綾乃彩さん、亀田梨紗さん、篠原彩さん、そして同部門『バーミー』田中隼監督が登壇。

『ミセスK』ホー・ユーハン監督:「大阪の皆さんこんばんは。寒いですが、革ジャンパーを見せびらかすことができてうれしい。『ミセスK』を楽しんでいただきたいが、審査委員という大役をいただき、重責に悩んでいます。評価をしなければいけない映画の関係者の皆さんに、お詫びを申し上げておきます」

『世界の残酷』サンジェイ・クマール・ペルマル監督:「こんばんは。長年来たいと思っていた日本。初来日が叶いうれしい。私の作品を楽しんでいただきたいです」

『ミセスK』ホー・ユーハン監督

『世界の残酷』サンジェイ・クマール・ペルマル監督

『パティンテロ』ミーク・ヴェルガラ監督:「ご招待をいただき、大変光栄に思っています。大好きな日本映画の故郷に来て、皆さんに私の映画を観てもらえることを、とてもうれしく思います」

『バーミー』田中隼監督:「大阪アジアン映画祭のエキゾチックなエネルギーのせいか、来たことのない街に来ているようで興奮。人と会うことはどういうことなのかという呪いの作品、是非観ていただけたら嬉しく思います」

『パティンテロ』ミーク・ヴェルガラ監督

『バーミー』田中隼監督

『恋とさよならとハワイ』出演の綾乃彩さん:「別れたにも関わらず同棲するカップルの話。自分自身と向き合い答えを出す様を、コミカルかつチャーミングに描いた作品。世界初上映なので、ぜひご覧ください」

『恋とさよならとハワイ』綾乃彩さん

『恋とさよならとハワイ』篠原彩さん(左)、亀田梨紗さん

第3回オーサカ Asia スター★アワード表彰式

オープニングセレモニーに引き続き行われた、第3回オーサカ Asia スター★アワード表彰式では、受賞者のカラ・ワイさんにクリスタル盾と花束が贈られました。真っ白のパンツスーツをスラリと着こなし、スタイルの良さが際立つカラ・ワイさん。後方席からも目力を感じられ、アジアンスターのオーラを感じます。

プレゼンターの上倉実行委員長は、受賞理由について「カラ・ワイさんは香港映画の黄金時代にキャリアをスタートさせ、様々な時代の波にひるまぬ努力を重ねてこられました。2012年の大阪アジアン映画祭クロージング作品『捜査官X』での地味な役柄ながら充実した演技、そして『ミセスK』では、マレーシアのニューウェイブを代表するホー・ユーハン監督と共に、女性アクションにアジアの新風を吹き込み、アジア、また世界の映画に新しい扉を開きました。同時に、豊かな経験を積んだアジアの大女優は、その生き方、仕事の仕方でも、後に続く全ての女優たち、俳優たちに一つの典型を示し、大きな刺激となっています」と述べ、その功績を称えました。

実は、カラ・ワイさんは昨晩新作『Happiness(幸運是我)』で香港電影監督会の賞を受賞したばかり。受賞ラッシュで多忙を極める中、わずか20時間しか滞在できないにも関わらず、アワード受賞のため来日して下さったのだとか。「過去の受賞者への敬意の現れ」と上倉実行委員長も感謝の言葉で祝福しました。

花束を手にマイクの前に立ったカラ・ワイさんは、「16歳でチャン・チェ監督に見出していただき、アクション女優としてアクション映画に10年間で120作品ほど出演。もう体はボロボロですが、それでも辞めないのは、映画は全ての人にコミュニケートでき、私に自信をつけてくれたから。『ミセスK』は、私の最後のアクション映画。そう思って観てください。アクションは終わりですが、今後も文芸的、社会的に有意義なものを作っていきたい」と挨拶し、さらに会場に集まったファンに伝えたいことがあると、今の思いを語って下さいました。「最近撮った認知症に関する映画『Happiness(幸運是我)』で、私は認知症患者の役を演じました。患者の皆さんは世界から無視されている状況ですが、そういう方を助け、赦してあげる。認知症の家族やお友達にも関心をもってもらいたいと思っています。2か月前に亡くなった母も認知症を患っており、私にとっても他人事ではありません。社会的に意義がある題材なので、ぜひ皆さんで盛り上げてください」と語られました。

『ミセスK』オープニング上映&トーク

そして、『ミセスK』オープニング上映の時間が来ました。
ホー・ユーハン監督は、「長い時間かかり、苦労して作った作品で、このように上映することができて嬉しく思います。カラ・ワイさんとは2作目となります。アクションがたくさんある作品は初体験でしたが、自信ができましたので、これからはたくさん作っていけると思います。本当のところは肉体的には厳しいので、アクション映画はもう辞めたいぐらい」と、自虐的なユーハン節を披露し、会場を笑わせました。

アクション映画引退作と聞かされた直後に鑑賞した『ミセスK』は、カラ・ワイさんの見事な走りっぷり、殴られっぷりにドキドキハラハラ。後半はアクション女優の凄みを見せつけ、西部劇を想起させるようなワイルドな横顔を見せるラストやエンドクレジットに会場も騒然。上映後は大きな拍手が送られました。

上映後、再び登壇したホー・ユーハン監督、カラ・ワイさんと、司会の宇田川幸洋さんが更に熱気に溢れたトークを展開。女優を志した理由については「小さい頃は香港の有名な歓楽街、ワンチャイに住み、とても貧乏だったので、スターになればお金持ちになれると思っていました。住んでいた場所の1階に映画館があり、初めてこっそり観た映画が、ブルース・リーの『怒りの鉄拳』。7、8歳で、絶対ブルース・リーみたいになりたいと思っていました。16歳ぐらいの時にはミラマーで中国舞踊を踊っていて、デビュー作のチャン・チェ監督に見いだされたのです」とのこと。

一方、ホー・ユーハン監督は、マレーシアには『心の魔』で自分が思い描く母親役をできる女優がいなかったので、カラ・ワイさんにオファーし、友情が芽生えるようになったと話し、「普段は現場であまり話はしませんが、撮りたい物語のことを話すと意気投合するので、実際撮影する際には特に言葉を交わす必要はないのです」と、監督と女優の非常に理想的な関係が築けていることを伺わせました。さらにカラ・ワイさんは、ユーハン監督について「監督は私の良き友人であり恩人です。実はうつ病を患っていたことがあり、2009年に復帰した時には仕事がなかったのですが、そんな時に私を起用してくれ、『心の魔』で賞をとることができました。私の映画人生を続けることができたのです」と、ターニングポイントとなる作品に起用してもらったことを挙げ、信頼関係の深さを語られました。

まだまだ伝えたいことが溢れる今年の映画祭オープニングデイは、華やかで濃密な時間となりました。

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