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香港から総勢8名のゲストがご登壇!大変な盛り上がりをみせた《HONG KONG NIGHT》

《Special Focus on Hong Kong 2017》のハイライトとなる《HONG KONG NIGHT》が開催され、《コンペティション部門》にも選出されている『一念無明』が上映されました。

セレモニーでは、初めに、大阪映像文化振興事業実行委員会委員長、上倉庸敬が登壇し「これから上映します『一念無明』の評価は高く、香港電影評論学会大奨で最優秀監督賞、脚本賞を受けました。新人監督の作品にベテラン映画人が出演するのも香港映画人の意欲が感じられます」と作品について触れた後、「5本もの香港映画がコンペティション部門に入選しているのは、香港の歴史的な変貌を遂げつつある変化の勢いが、ダイレクトに反映されたもの。香港映画の変化の有様をそのまま皆さまにお伝えしたいと願いました」という暉峻創三プログラミング・ディレクターの言葉を紹介。監督たちへの感謝の意を表しながら「香港映画の胎動をイキイキと伝える《HONG KONG NIGHT》を、どうぞお楽しみください」と開会の挨拶を行いました。

大阪映像文化振興事業実行委員長
上倉庸敬

香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部首席代表
シェーリー・ヨン氏

引き続き、香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部首席代表のシェーリー・ヨンさんが、「こんばんは。私にとって今回は初の大阪アジアン映画祭参加となりますが、映画好きとして、このような名高い映画祭に参加し、選りすぐりの香港映画を日本の皆さまにご紹介できることをとても嬉しく思います。香港経済貿易代表部が大阪アジアン映画祭のパートナーになって今年で6年目を迎えます。今年ご紹介する6本は香港映画界産業の活気が伝わる見事な作品です。本日上映するのは数々の映画賞に輝いた『一念無明』で、First Feature Film Initiative(香港政府が新世代香港映画監督育成のために作った、初めての商業映画制作支援の補助金制度)から交付を受けて製作された作品。また約20年前に映画発展基金が設立され、映画産業の長期的発展に繋がるプロジェクトを支援、これまで政府は総額日本円で約80億円を投じ、これからも香港映画の発展に寄与していきます。本日の上映作品を、お楽しみいただけることを願います」と、にこやかにスピーチされました。

そしてお待ちかね、ゲストが次々と舞台上へ。『一念無明』ウォン・ジョン(黃進)監督、脚本のフローレンス・チャン(陳楚珩)さん『77回、彼氏をゆるす』ハーマン・ヤウ(邱禮濤)監督『姉妹関係』トレイシー・チョイ(徐欣羨)監督、出演のフィッシュ・リウ(廖子妤)さん、ジェニファー・ユー(余香凝)さん『29+1』キーレン・パン(彭秀慧)監督『女士の仇討』ファイヤー・リー(火火)監督がご登壇。勢ぞろいした香港映画人の姿に、会場から大きな拍手が沸き起こりました。

『一念無明』
ウォン・ジョン監督(左)、脚本:フローレンス・チャンさん(右)

『77回、彼氏をゆるす』
ハーマン・ヤウ監督

『一念無明』ウォン・ジョン監督:「日本初上映なので、とても緊張しています。皆さまの反応が楽しみ。日本だけでなく全世界にこの映画を広めたい」

『77回、彼氏をゆるす』ハーマン・ヤウ監督:「こんなにたくさんの新人と来ることができたのは特別な意味がある。皆さんが『一念無明』を気に入ってくれることを祈っている」

『姉妹関係』
トレイシー・チョイ監督

『姉妹関係』
ジェニファー・ユーさん(左)、フィッシュ・リウさん

『姉妹関係』トレイシー・チョイ監督:「広東語圏以外での初上映が嬉しい。『一念無明』の鑑賞も楽しみです」

『29+1』
キーレン・パン監督

『女士の仇討』
ファイヤー・リー監督

『29+1』キーレン・パン監督:「私自身は舞台女優。初脚本がパン・ホーチョン監督の『イサベラ』、そして2本目となった本作を自ら映画化して持ってくることができ、とても嬉しい」

『女士の仇討』ファイヤー・リー監督:「大阪は何を食べても美味しいし、どこに行っても楽しい。京都で温泉にも行きました。香港映画を愛し続けてほしい。私は『姉妹関係』が観たい」

ご挨拶の後は、ゲスト揃ってのフォトセッションが行われ、舞台上で客席を入れてのセルフィーを敢行。ファイヤー・リー監督が客席にかけ声をかけ、観客も両手を挙げてポーズを取り、客席も一体となった撮影大会は大いに盛り上がりました。

若き才能が生み出した『一念無明』 舞台挨拶

セレモニー後に行われた『一念無明』の舞台挨拶では、ウォン・ジョン監督、脚本のフローレンス・チャンさんがご登壇。本作で長編デビューとなるウォン・ジョン監督と、フローレンス・チャンさんはまだ28歳という若さであることが明かされ、客席から驚きの声が漏れました。

映画製作のきっかけについて「心の病を患った人間に関する話で、実際にあった事件を元にしています。その中に、社会問題を反映させ、自分や自分の家族のことを考えなおす内容にしました」と語られたフローレンス・チャンさん。ウォン・ジョン監督は「重いテーマですが、愛に溢れた物語。登場人物の関係性は傷つけあったり、愛し合ったりと曖昧になっています。観客の皆さんがストーリーを感じ、自分が大事にしなくてはいけない人や事柄に気付いていただければと思います」と観客へメッセージを送られました。

脚本:フローレンス・チャンさん

ウォン・ジョン監督

作品に託した想いを語った『一念無明』のQ&A

上映後、再度登壇したウォン・ジョン監督と脚本のフローレンス・チャンさんは「今までの上映後Q&Aではほとんど質問がない代わりに、数日後にメールなどでとても長い感想が寄せられます」と述べ、すぐに感想が浮かぶ作品ではなく、各々が解釈するのに時間がかかる作品であることを示唆しました。

また監督が本作で一番重要視していることについて「父子二人がこれから一緒に歩いていく決意です。色々な挑戦に立ち向かわなければいけませんが、やはり二人で一緒に歩いていくことは、一人で歩くよりいいですから」と語りました。またフローレンス・チャンさんも「子も親もお互いを選べないので、相手を思いやる気持ちを学んでほしい、というのもメッセージの一つ。理解のある言葉をかけているつもりでも、相手をかえって傷つけることもありますから」と付け加えました。

また、本作の音楽について、「歌の作詞、作曲、歌唱については、香港のウォン・ヒン・ヤン(WONG Hin Yan)というインディーズのシンガーにお願いし、劇中の音楽は波多野裕介さんが、時間と気持ちを込めて作ってくれました。今回は中性的な感じにし、なるべく観客に自分で考えてもらうような音作りにしました」とのこと。ちなみに波多野さんは、デレク・ツァン監督の『七月と安生』の音楽も手がけており、香港映画人に信頼をおかれていることがうかがえます。

遅い時間での上映プログラムでしたが、最後まで観客の皆さんからの熱き意見が寄せられる盛り上がりを見せた《HONG KONG NIGHT》となりました。

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