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女性三人寄れば物語は面白く展開する!『浜辺のゲーム』

《コンペティション部門》の『浜辺のゲーム』が上映となり、夏都愛未監督、プロデューサーを担当され、かつ出演された福島珠理さん、そして出演の大塚菜々穂さん、永純怜さん、ク・ヒョンミンさんが登壇されました。

夏都愛未監督

福島珠理さん

違和感のない大阪弁が印象的だった大塚菜々穂さんは現役大学生。卒業後も女優を続けたいとお話しに。また、ク・ヒョンミンさんは普段は映画制作とパーソナルトレーナーをしています、と自己紹介されました。とてもフランス映画がお好きだという夏都愛未監督。タイトルや劇中の表現方法などについても種明かしがありました。

大塚菜々穂さん

永純怜さん

物語が三人の女性を軸にしている点について「女三人集まるとロクなことがないと結構皆さんおっしゃっていますよね。私も三人いる方が展開が広がる可能性も高いなと思っていて、絶対2:1に別れたり、女子特有のイヤーな感じが面白く描けたりするかなと思って設定しました」と監督は説明されました。また、この物語には姿を見せない女性の存在が描かれていることについて監督は「実は一番最初、私がその役をやろうと思っていたんですが、見送りまして、あえて不在の存在として描きました。その不在の存在にぐちゃぐちゃに引っ掻き回される群像劇も面白いかなと思ってこんな映画になりました」と話されました。

福島さんは役について「最初この役をもらった時に監督から、普段の珠理の通りに演じてくれれば問題ないから、と何度もなんども聞かされて、私って普段そんなイメージだったんだと衝撃はあったんですけれども、女子三人で話すシーンなんかは私の実体験と言いますか実際に女子会で話している話やネタを監督と持ち寄って脚本をブラッシュアップしていったので、自分の経験が生きた役にはなりました」と語られました。

ク・ヒョンミンさん

『3泊4日、5時の鐘』(OAFF2015)に女優として参加されているという夏都愛未監督と福島珠理さん。今後の活動について聞かれた監督は「またコンスタントに映画を撮って行きたいと思います。今回みたいに女の野生的な一面が垣間見られる作品をもっとつくれたらと思っていす。チャンスがあれば女優もやりたいなと思っています」と意欲をのぞかせました。

悲しみを面白味に変えて表現する!ユーモア溢れる作品に会場も虜に『なまず』

《コンペティション部門》の『なまず』上映後、イ・オクソプ監督と出演もされたプロデューサーのク・ギョファンさんが登壇されました。

イ・オクソプ監督

ク・ギョファンさん

上映中、大きな笑いが度々起こった今作品。トークも和やかな雰囲気の中で始まりました。

今作が長編デビュー作という監督は「10代の頃からいつか長編をつくりたいと思っていました。そして今回、30代前半で”青年”たちを扱った内容の作品がつくれてひときわ嬉しいです」と喜びの感想を述べられました。タイトルについて「人には誰かに労いを求めたり褒めて欲しいという気持ちがあると思うが、私自身は人からよりも動物や植物に癒される事が多かった為、“なまず”にしました」と監督。

この作品の製作テーマについてク・ギョファンさんは「今回プロジェクトのキーワードが“青年”でした。私達は韓国の青年たちが抱いている不安というのをそのまま青年たちの人権と捉え、色んなエピソードを繰り広げて映画をつくりました」と話し、監督は「主人公の恋人役が就いた不安定な仕事が、現韓国の青年たちが抱く不安感、立場や環境を象徴した存在として登場させています」と続けました。

また監督は「私のモットーというか好きな言葉に“悲しみを悲しみとして表現するのでなく逆に面白みに変えて表現する”というのがあります。今作でもそのようにつくっています」と話し、劇中の“穴に落ちた時に大切なのは掘り進むのではなく、穴から出ることだ”という言葉も韓国の詩人のものだそうで「生きていく上で不安を感じた時に、このような言葉が心の支えになるのでは」と話すと、ク・ギョファンさんは「劇中のナマズもそう。人間以外の何かに頼って生きたいという思いがナマズを登場させたと思う」と続けられました。

今の “スリランカ”を様々な角度から反映し制作、演出された『アサンディミッタ』

《コンペティション部門》の『アサンディミッタ』の上映後、主演のニルミニ・シゲラさんが素敵な衣装をまとい登壇され、日本語で「こんにちは。大阪が大好きです。皆様が大好きです」と挨拶されると場内から拍手が沸き起こりました。

そしてシゲラさんは「本来ならば、私ではなく、アソカ・ハンダガマ監督が来日する予定でしたが、本業の銀行員が忙しく、そのお蔭で私が大阪へ来ることができました!」と笑顔で話されました。

本作のテーマについては「太った女性が主役ですが、スリランカでは太った女性は少し意地悪を受けます。また、職業は駐車場の券を売る貧しい女性ですが、金持ちは貧しい人のことを低く見なすという社会的に良くない風潮があります。その辺りの事を伝えたかったのです」とシゲラさんは解説されました。

スリランカでの映画制作事情を聞かれると、監督を専業としている人は沢山いるものの、本作のハンダガマ監督は銀行のエリート、という二足のわらじを履いていると明かし「実際、ハンダガマ監督は受賞歴もあるトップクラスの監督です。でもスリランカでは映画はあまり儲からないため、こういう映画をつくりたいという自分の思いを生かしたい人が、副業として監督をやっているのです」とシゲラさんは説明されました。

また、物語の内容について会場から聞かれるとシゲラさんは「一般的に人は、生きていく上で、複数の顔を持っています。本当の自分の顔と裏の顔。同じ人でも一週間後に会うと別の顔となっている人もいます。映画では、それを言いたかったのです。この映画はいろんな見方ができると思いますが、人生では表と裏の顔のどちらが前にでるのか、という事ではないでしょうか」と結ばれました。

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