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“滞在型映画制作”だからこその出会いを生かしリアルも追求『ワイルドツアー』

《インディ・フォーラム部門》の『ワイルドツアー』が上映され、三宅唱監督がご登壇に。「平日の夕方に映画館に足を運んでくださりありがとうございます」と挨拶されました。

本作は、山口県にあるYCAM(ワイカム)というアートセンターの企画として滞在制作でつくられた映画。監督は、8ヶ月間山口に滞在して本作をつくられたそう。「僕は行く前に何も決めずに、行ってから会った人や見た場所などからつくっていきたいなと。で、滞在してみて気になったことが“中高生いいな”とか“植物のDNAっておもしろそうだな”とか…。実際、中高生や一般の方がワークショップに参加できるような植物DNAのセンターがあり、勝手に“ジュラシックパークみたいだ”と思って。僕は元々ティーンエイジャーが主人公の、森の中を探検するようなものを映画の王道のひとつのように思っていたので、そういうものを作りたいと考えました」と監督。

出演者は全員地元の人、現地で募集し集まった映画制作に興味のある人たちのみだったそうで、監督は「僕も彼らと一緒になってどうしたら映画が面白くなるかを考えながらつくっていくのが目的でした」と話され、「主人公の男の子二人は当時中三で一番多感な時期。女性は当時、高三で現在は女優として活動されています」と説明されました。

会場からは映像について聞かれると監督は「今回は中高生プラス刻一刻と変わる自然風景が僕の被写体でした。一般的なキレイな感じの中高生映画ではなく、もっと身近に僕が見た感じをつかまえたいなと思いました。映像に関しては、中高生は変化が早く通常の映画のつくり方ではその生々しさやリアルな感じを捉えるのが難しいなと考え、iPhoneを使うことで彼らの持つ大胆さや繊細さが通常のカメラより出やすくなるのではないかと思い使用。あとは演技しないことには出てこないリアルというのもある、と分かったので、そこについてはカチッと空間を通して人物を捉え、シナリオ通りに演技しています。実はiPhone以外の部分は古典的な方法でつくっているつもりです」と話されました。

また、年下の人に向けて何か映画で伝えたいという印象を受ける、という若い人の声に「いや、大人向けにつくっていますよ!ばあちゃんに面白いって言わせたいですもん!」と返答にする監督に会場からも笑いが。そして監督は「10代20代というのは僕自身、一番映画を観た時期です。その時期に沢山映画を観ると感動出来るし、大事な時期なのかな、と自分の経験から思います」と語られました。

衝撃の出会いが観る者へも衝撃をあたえる作品に『新宿タイガー』

《インディ・フォーラム部門》より『新宿タイガー』が上映され、佐藤慶紀監督、プロデューサーの塩月隆史さん、企画をされた小林良二さんが登壇されました。

監督は「来週から新宿で公開される前にご覧いただいたので、いろいろな感想聞けたら嬉しいなと思います」とご挨拶に。塩月さんは「初めてドキュメンタリー作品をプロデュースし、お客さんの立場で出来上がりを楽しんだ作品でもあります」と話されました。

この企画につて小林さんは「初めて東京に出てきて新宿で降り立った時、新宿タイガーさんが僕の前をすーっと通ったんですね。その時、何なんだろこの人!と。その数日後に新宿の映画館にいったらまた新宿タイガーさんがいて。それが凄い驚きで。この人どんな人なんだろうと思っていました」とご説明。

「その後、佐藤監督の『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』(OAFF2017)の上映が終わって、監督や塩月さんと次、何やろうか話になったときに、タイガーさんのことを提案したら凄くウケが良かったのです」と振り返ると「飲み会みたいな感じでしたね。僕も監督と一緒で、新宿タイガーさんを知らなくて、面白い人がいるんだね、どんな人なんだろう、という話になったのです」と塩月さんもコメント。その後、すぐタイガーさんと連絡を取り直接話す機会を得たといいます。

佐藤慶紀監督

小林良二さん

タイガーさんの人柄について監督は「沢山お金はいらないって感じですね。やっぱり今の社会の中では何かしらお仕事をしないとお金がもらえないわけですし新聞配達をされているのだと思いますが。後、誰を送るときも、姿が見えなくなるまで送る方なのです」と明かされました。

また「タイガーさんが飲んでいるシーンを撮りまして朝方帰るシーンで、今日はほんとにありがとうって10回くらい繰り返すんですね。その時にこの映画面白くなりそうだなと思いましたね」と話すと、塩月さんは「タイガーさん、最近携帯をスマホに変えたんですよ。電話をかけてもスマホの出方がわからずによく出てもらえず今でも苦労しています。で、要件が終わって、ずーっとありがとうって言っていて電話が切れないんですよね」という憎めないエピソードも披露。すると「タイガーさんと知り合えて本当に良かったです」と監督はしみじみ。

塩月隆史さん

また会場から撮影を“ここでやめよう”と思ったタイミングについて聞かれると「そうですね…タイガーさんから飲みに来ないかって誘いの電話がどんどんかかってきて、それが増えていくにつれこれは映画に入りきれないんじゃないかと思った時ですね」と監督は述べられると同時に「タイガーさんが何者なのかっていうのが伝わるんじゃないか、というのが撮れた時ですね」と話されました。

インパクト大!おそろいの法被で
大阪の街にすっかりなじんでいる『新宿タイガー』チームのみなさん!
(これでメガホンを持てば、もうすっかり・・・)

ご当地の“普通”を柔軟に盛りこみ現地の空気感をも映像化『いつか、どこかで』

《特別招待作品部門》より『いつか、どこかで』の上映後、リム・カーワイ監督、主演のアデラ・ソーさんが登壇されました。リム・カーワイ監督のデビュー作『それから』(アジアン・ミーティング2010)から昨年の『どこでもない、ここしかない』までほぼ全ての作品がこの大阪アジアン映画祭で上映されていることが改めて紹介されました。

そして新作である、この作品について聞かれると監督は「2年前の『どこでもない、ここしかない』はスロベニアとマケドニアで撮った長編映画ですが、それからもう一作品、未完成ではあったものの短編を撮り始めていました。セルビアとモンテネグロで撮影したものです。その後もう一度バルカン半島に渡り、その短編を長編に仕立てました」と説明され、技術的な映像づくりについても「照明もノーライトだった。夜の美しいシーンもギリギリまで狙って撮った映像。結果として緑や青などの色をノーライトで美しく撮ることができた。予算がないことでかえって美しい映像を撮ることができたと思う」と自信をのぞかせました。

リム・カーワイ監督

アデラ・ソーさん

劇中、アデラ・ソーさんが無防備で驚いた、という会場からの声に「実は私も着る服が無防備すぎるのではないかと自分で思いました」とソーさん。撮影の合間に現地の人たちはどんな服装をしているのかを観察していたそう。そして、季節が夏だしヨーロッパという土地柄もあってか、現地の人もああいった服装をしていたという。

「とりわけ車に乗せてもらうシーンでも、知らない人の車に乗せてもらうのは大丈夫なのかと思ったが、現地の人に聞くとヨーロッパでは普通のことだそうで、ラフな服装も相乗りもヨーロッパでは一般的なようです」と所変われば、な経験をされたことを話されました。

監督も「裏話はたくさんあって、その内容の方が映画よりも10倍くらい面白いかもしれませんね」と気になる発言。そして「色々な偶然があって、それらの偶然を経験したスタッフ、キャストがこの映画に落とし込んでいくと、作品としてはそれらが必然になっていったわけです」と監督は話されました。

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