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時に恐ろしくも面白い女性同士のあるある、を映画に『浜辺のゲーム』

コンペティション部門『浜辺のゲーム』が上映され、夏都愛未監督、プロデューサーで出演もされた福島珠理さん、出演の堀春菜さん、大塚菜々穂さんが登壇されました。

夏都愛未監督

堀春菜さん

『3泊4日、5時の鐘』(OAFF2015)で女優デビューもされている監督は「作品タイトルもそうですが、エリック・ロメール監督などフランス映画の影響がありますね」 と語られ、作品の中で繰り返し“時刻”と“フランス語”が表示されることも、すべて様々なフランス映画の原題であり、フランス映画へのこだわりが感じられるような仕組みをつくられていました。

福島珠理さん

大塚菜々穂さん

女友達の面倒くささが描かれていて面白かった、という会場からの声に、監督は「私は女子校出身で女性ばかりの環境にいました。そのため女性の心情とか内面については詳しく、飲み会のネタにするだけではなく、映画にしてみようと思いました」と語られました。

出演された三名へ自身が演じられた役のことを聞かれると、主演の堀さんは「最初は役柄のことはよくわからないな、と思っていました。不機嫌だったりするし。でも、今日スクリーンでみて、こういう子っているよなあと、やっと役がわかった気がします」と話されました。

福島さんは「役柄は、自分に似ているようで似ていない子です。でも、二人(堀さん、大塚さん)がぴったり演じてくれたのでやりやすかったです 」と述べられ、大塚さんも「私は物語の中の女子会で下ネタの話をするようなところについては、事前に周囲の女の子の話を聞き参考にしました」と語られました。終始、女子会的なワイワイと楽しい雰囲気が感じられるような時間でした。

爽やかな春の風吹く、本日の「オバチャーン!」
『浜辺のゲーム』のみなさん、ありがとうございました!

中国社会の急激な変化を感じている監督だからこそ描けた『桃源』

特集企画《ニューアクション! アジア》の『桃源』上映後、ルー・ユーライ監督が登壇されました。監督は観客を前に「今回大阪に来ることができ、皆さんに私の作品を観ていただいて嬉しいですし、また観終わってもこのように大勢残っていただいてありがとうございます」 と挨拶されました。

今作は『桃源』というタイトルですが、舞台となった桃源市は必ずしも言葉から連想するユートピアのような町としては描かれていません。監督は「みんなが美しい桃源郷を求めながら生きているという思いでこの名前にしました。表面的にはこの町は全く桃源郷ではありません。ですが人間が生きる、という意味は、絶えずもっといい生活をしたい、もっとよく生きたいといった夢を描くことです。その意味合いでこの作品をつくりました」とタイトルに込められた意図を語られました。

また、映画で描かれる登場人物たちの5年という時間については「物語で描かれた人たちは、まさに僕自身と重なる世代です。この5年間で中国社会はものすごく大きな変化がありました。その中で美しい理想を追い求めることと現実のギャップはものすごく大きいですよね。青春時代はみんな理想を語ろうとしましたが、いまは語りません。社会の中で自分がどれだけいい生活ができるかということ、そこを見極めようとしてこの作品を撮ったのが自分の一番の動機でした」と監督。ご自身も感じている急激な社会の変化に翻弄される人々を映し出しているといいます。

そして社会の変化は愛の形にも影響している、と話されます。「長い年月の間に社会状況によって愛の形も変わってきています。愛というのがますます遠くなっていく感じを僕自身受けています。だから主人公の男性のほうが正しいのか女性のほうが正しいのか僕自身にもわかりません」と観る人に問いかける映画になっていると明かされました。

俳優としても活躍するユーライ監督。今作が長編初監督作品となりました。観客からの「今後は俳優と監督、どのように仕事をしていくのか」という質問に「自分としては両方ともこれまでのように続けていきたいです。監督としても撮りたいものを撮ると思うし、俳優としても演じたい役柄を演じていくと思います」と今後の展望も語られました。

パワフルな女性を表現したい、その思いのつまった『ビリーとエマ』

特集企画《ニューアクション! アジア》より『ビリーとエマ』の上映後、サマンサ・リー監督の登壇がありました。

「来てくれてありがとうございます。この映画は国外での初めての上映となるので皆さんに観ていただいてとても嬉しいです」と監督からご挨拶に。

「女性の権利についてとても興味があり、特に女性の体についての権利、将来についての権利が気になっていました。フィリピンはとても宗教色が強い国で、自分たちの権利が特にマニラ以外の都市では公にあるような国ではないので、映画では女性の権利を強く、パワフルな女性を表現できたらいいなと思いました」とこの映画に込められた思いを語られた監督。

会場から「まるでディズニーのラブストーリーを見ているみたいだった」という声を受け監督は「この映画はインディー作品ですが、撮るときにハリウッドぽっく、クィアについての映画だけどあまり暗くならずに楽しくロマンチックにつくりたいと思っていたので、ディズニーっぽいと言われるのは光栄です」と述べられました。

また「この映画をつくるにあたってどういう風に、クィアの家族を描くかについて、たくさんの人に相談しました。ただ、基本的に自分自身は女性の権利を描く為にこの映画をつくっていたので、主人公エマの将来が明るくなるようにと考えてつくりました」と語られました。

監督にとっても大きなチャレンジだった!『ホームステイ(原題)』

特集企画《ニューアクション! アジア》より『ホームステイ(原題)』の上映後、登壇されたパークプム・ウォンプム監督は「こんな遅くまでありがとうございます」と挨拶されました。

森絵都さんの「カラフル」が原作のこの作品。日本の小説をタイで映画化したのは初めてのケースだという。また「会社(GDH)始まって以来一番多くの製作費をかけた映画で、リスクの高かった作品です」と監督。また、「今までの作風と異なり、今回の映画はドラマチックな要素も多く、脚本がとても複雑だったのでとてもチャレンジでした。いろいろ学ぶことが多く、また、自分の人生を反映した作品にもなっていて、本当に映画化できてよかったです」と監督は話されました。

また「原作にいろんなよいエピソードがあって簡単に脚本が出来上がるかと思いましたが、この作品の良いところをすべて落とさずに脚本にするのが思ったよりむずかしかったです。いままでで、一番、脚本化するのが難しかった作品となりました」とも明かされました。

一番苦労したシーンについて、オープニングのビルの上に立っているシーンをあげ「当初の脚本通りでは恐怖や臨場感がたりないということで、ビジュアルエフェクトを駆使して内容を変えました。が、プロデューサーに費用が掛かりすぎるということで怒られたりもしました」と監督。

そして最後に監督から「大阪アジアン映画祭で上映してもらえるのは名誉なことなので、大阪の観客に差し上げたい」として、タイでも特別な人しか持っていないという、ヒロインのチャープラン・アーリークンさんが描いてある非売品のTシャツと映画撮影のメイキングのサイン付き写真集を、会場の座席番号で抽選する形でプレゼントされました。

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