開催レポート
 
3月14日(金)8日目 vol.2 特集企画《Special Focus on Hong Kong 2014》HONG KONG NIGHT

特集企画《Special Focus on Hong Kong 2014》のハイライトとなる《HONG KONG NIGHT》が開催され、会場は満席となりました。今年も香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部、香港政府観光局の協力により、香港映画の新鋭監督をクローズアップすると共に、香港映画の黄金期を築き今年1月に106歳で亡くなったランラン・ショウさんの追悼特集を上映しました。

《HONG KONG NIGHT》 香港映画の歴史を感じたセレモニー

『ある複雑なお話』 キウィ・チョウ監督、ステファニー・チェさん、自らの挑戦を語る

 

香港映画の歴史を感じたセレモニー

セレモニーの初めに、大阪アジアン映画祭の実行委員会を代表し、大阪大学大学院言語文化研究科教授の古川裕氏が感謝の意を述べると共に、ランラン・ショウさんが生前中国や台湾各地の学校に図書館を寄付したエピソードを披露。改めてその功績をたたえ、開会の挨拶を行いました。

引き続きごあいさつされた、香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部・首席代表のサリー・ウォンさんは映画界だけでなく、TV局からチョウ・ユンファ、マギー・チャン、ジョン・ウーらを輩出しアジア映画界を牽引したランラン・ショウさんの功績を紹介。「香港の映画産業はここ10年で300以上の国際的な賞を受賞している」と近年香港政府も香港映画発展資金による映画制作援助が進んでいることにも触れるスピーチをされました。

  • 古川裕教授
  • サリー・ウォン首席代表

その後、上映作品のゲストとして、『ある複雑なお話』のキウィ・チョウ監督、出演者のステファニー・チェさん、『狂舞派』のアダム・ウォン監督、出演者のトミー“ガンズ”リーさん、リディア・ラウさん、サヴィル・チャンプロデューサーの6名が登壇。

  • アダム・ウォン監督
  • トミー“ガンズ”リーさん
  • リディア・ラウさん
  • サヴィル・チャンプロデューサー

アダム・ウォン監督は、日本語を勉強中で、次は日本語で挨拶したいと「コンニチハ」だけ披露しながら「香港映画らしさと今までにない部分とが入っています。ご覧になった皆さんからも、ぜひ意見が欲しい。」と述べ、日本での配給を望まれることを付け加えられました。トミー“ガンズ”リーさんは「ダンスを始めたときは想像もしなかった」と映画出演と映画祭での来阪を喜ばれている様子。リディア・ラウさんは「日本のダンサーは香港のダンサーにとって憧れ。この映画で監督と一緒に大阪に来れてうれしい。」と明るい表情で話されました。サヴィル・チャンプロデューサーは、アダム・ウォン監督と制作した東日本大震災の被災者にエールを送る短編『友だち』(OAFF2012)に触れながら、「日本と香港がずっと友だちでいられるように。」と述べ、最後に日本語で「みんな私の友だち。ありがとうございました」と心温まるスピーチでセレモニーを締めくくりました。

 

 

 

キウィ・チョウ監督、ステファニー・チェさん、自らの挑戦を語る

セレモニーに引き続き、キウィ・チョウ監督、出演者のステファニー・チェさんによる『ある複雑なお話』の舞台挨拶が行われました。香港の人気作家イー・ショウさんの原作を、巨匠ジョニー・トー監督、アジアNo.1の大プロデューサー、ビル・コンさん、さらに香港政府の支援を受け製作された、香港映画界が全面的にバックアップした作品。最初にこのように援助を受け、初長編作が劇場公開される商業作品となった経緯について、キウィ・チョウ監督は「短編はたくさん撮ったが、長編を撮る資金が集まらなかったが、やっと大きな作品を撮るチャンスに恵まれた。ジョニー・トー監督やビル・コンさんや香港政府が若手育成のためチャンスをくれた。」と述べられました。

続いて物語の鍵を握り、非常に印象に残る弁護士役を演じたステファニー・チェさんは、最初は違う役であったことを明かしながら、役づくりについて「この役はまさに私の役だと思い、自分の心理的なものを調整した。演じ終わってみると自分でも驚くような“自分”が出てきた。」と演技の面白さを語られました。

上映後のQ&Aでは、原作との違いについて、キウィ・チョウ監督は「主役を、中国大陸からの女性に変えた。実際、大陸から学校に行くために香港に来ている人が多く、非常に決心が固いところをキャラクターに取り入れた。また弁護士カミーのキャラクターは、ステファニー・チェさんに心理的なものを演じてもらいたいので多シーンに入れた。」と話し、ステファニー・チェさんも「すごく複雑な役だったが、この役を演じることで(女優として)一皮むけた。」と述べられました。

またデビュー作でジャッキー・チュンさんのような大スターが出演したことについて、キウィ・チョウ監督は「監督すること自体がプレッシャーなのに、ワオ!と思った。チュンさんは、撮影中は自分のことを監督と呼んでくれ、役作りについても聞いてくれた。監督と俳優という同等の地位を与えてもらい、当初のプレッシャーがなくなった。」と様々なプレッシャーと闘った初長編の監督業を振り返りました。

  • キウィ・チョウ監督
  • ステファニー・チェさん