開催レポート
 
3月14日(金)8日目 vol.1

 

ジェロルド・ターログ監督の優しい笑顔で魅了

コンペティション部門『もしもあの時』のジェロルド・ターログ監督が登場。

「今回初めて大阪のみなさんに見ていただけるのが本当にうれしい」と素敵な笑顔で挨拶をされました。

大学では作曲を専攻していて、映画は付随的に勉強したというターログ監督。2007年に映画をつくりはじめてからは、監督だけでなく編集、音楽、デザインなど色々などにも関わり、本作では初めて脚本も手がけたという多才ぶり。

また、カメラを仕事とする主人公がメインとなる作品は今回で、3度目で、監督はそれらを“カメラ三部作(camera trilogy)”と呼んでいらっしゃるとのこと。カメラを持つ主人公が色々な相手と関わっていく中で、相手の気持ちにせまり、嘘と真実が入り混じった中から本当の真実が生まれてくる、というのが、共通のテーマだとか。

会場からの「主人公の名前がアンドレア、亡くなった恋人の名前がアンドリューと名前を似せた理由はありますか?」の質問に、「名前が似ているということで、そういうのは素敵だなと思ったし、お互いに名乗ったところで、この人が私の相手の人というようにお互いに直感みたいな赤い糸のようなものを感じるのではないのかなと思った。」と監督。また原題『Sana Dati』には、「過去に囚われながら今をどうしたらいいかずっと迷っているというアンドレアの気持ちを表しています。」とのお答え。終始、穏やかにQ&Aの時間は過ぎました。

 

 

 

マレーシアからも新たな才能が登場

コンペティション部門『KIL』の上映後、二ック アミール・ムスタファ監督がQ&Aに登壇されました。会場からは、作品に関する素朴な質問からマレーシア社会に関する質問まで、様々な質問がありました。

「主人公の着用しているロックアーティストのロゴ入りTシャツは監督の趣味ですか?」の質問に「かなり自分の趣味が反映されているのではないかと思います。」と監督。またタイトル『KIL』についても質問がでました。「元々のタイトルはDunia Tanpa Esok(明日無き世界)という、作中に登場する映画監督の作品名だったが、『KIL』は主人公Akilという名前にもかぶっていて、よりふさわしいタイトルであると思ったので変更した。ちなみに、マレー(シア)語では英語から言葉を取り入れる際にはマレー語のスペリングに変更する。KILはその意味で、英語のkillをマレー(シア)語風にしたようにもなっています。」とのこと。ちなみに、Akilと言う名前は「心」という意味があるそうです。

上映終了後、サイン会には多数の方が来られ、質問時間には聞けなかったことなどを質問している方もいらっしゃいました。

現在は次回作のロードムービーの撮影に取りかかっているそうです。こちらも楽しみです。

 

 

 

若き「青石太郎という才能」、これからを語る

インディ・フォーラム部門《Director in Focus: 青石太郎という才能青石太郎という才能》より『トシの客』が上映され、青石太郎監督が登場しました。

「おいくつですか?」という質問から始まった上映後のQ&A。「24歳です」という監督のお答えに、「60歳くらいの男性の心情をこんなにうまく描けるものなんですか」と司会者、会場は驚いた様子。青石監督は「描けている自信はないけど……ああいう人になりたい、と投影するのは難しかったです。」と語られました。劇中で使用された衣装は監督自前の服で、女性の衣装は監督のお姉さんが提供されたとか。観客の「夜の東京のシーンがとてもきれいでした」という感想に対しては「映画のことを考える時は夜が多いのでそれに引っ張られて夜のシーンが多い。いつか昼も撮ってみたいですね」と答えられました。

映画をつくるにあたって、監督、脚本、撮影、編集にいたるまですべてご自身でされているという青石監督。その中でも編集の作業は苦手だそうで「今までずっと自分で編集してきたけど見るたびに変わっていくし苦手です」というお話も。「いつか分業でもやってみたいですね」ともおっしゃっていました。

青石監督の最新作、「ジェットストリーム」は“映画”ではなく“映像”として、新しい考え方と作り方を持って挑戦したものだそうです。

 

 

 

主演女優が揃って登壇!

3月12日のシネ・ヌーヴォに続き『螺旋銀河』の2回目の上映は、会場をプラネット・スタジオ・プラス・ワンにうつし、草野なつか監督、石坂友里さん、澁谷麻美さん、石橋征太郎さんが登壇しました。

対照的な二人の女性の役を演じての感想について、自身は「テキパキしていない、ゆらゆらしている」という石坂さんは、「綾はきつい性格のキャラクターでどこに共通点があるのか分かりませんでした。見ている人がこの強い女性のどこに愛らしさを感じるのかを見つけるのが難しかったです」とキャラクターをつかむための苦労を語りました。一方、シナリオを読んで自分はどっちにも属していると感じたという澁谷さん。「どっちかと言うと幸子に強く寄っていると思います。草野さんには負けると思うけど頑固なもので(笑)」

  • 石坂友里さん
  • 澁谷麻美さん
  • 石橋征太郎さん
  • 草野なつか監督

綾の逃げ場所になる喫茶店のマスターを演じた石橋さんは、「対になった2人のキャラクターが面白かったですね。澁谷さんが1人でテンション上がって喋るところが面白くいい女優さんだと思いました。」と振り返りました。

草野監督は「東京での上映を年内の目標に。単独の公開もやりたいです」と公開に向けての意欲を見せていました。

上映後、観客の60歳代女性に感想を伺ってみると「2人の対比が凄く面白かったです。綾ちゃんが変化していく様子に引き込まれました。人間として成長して行く過程が納得出来る展開が凄くいいな。幸子の変化も非常に面白かったですよ」とのこと。幅広い客層を楽しませてくれた1作でした。

 

 

 

出演者らの個性が光った舞台あいさつ

プラネット・スタジオ・プラス・ワンにて、CO2助成作品『僕はもうすぐ十一歳になる。』2回目の上映がありました。登壇したのは神保慶政監督、出演の濱田響己くん、紫英ちゃん、鳥居敏明さん。 神保監督からロケ場所について、「昆虫学者たちのフィールドと言われている地域の池田市、箕面市で撮影を行っていて、箕面昆虫館にも協力して頂きました」と紹介がありました。劇中の昆虫標本や昆虫の魅力を捉えた撮影も作品の見所です。

  • 神保慶政監督
  • 濱田響己くん
  • 紫英ちゃん
  • 鳥居敏明さん

主演の響己くんは、「神保監督は優しくて、演技がダメなところはアドバイスくれたし親切な監督でした」とコメント。これまでCMへの出演経験はあっても本格的な演技は初めてながらも、虫が好きということを条件にキャスティングされた響己くん。「昆虫は昔から好きで、今回昆虫がテーマたくさん出てきたんで楽しかった」と撮影を振り返りました。

  • この日も、響己くんの帽子には昆虫のピンバッチがついていました

花音(かのん)役の紫英ちゃんは堂々と英語でスピーチ。突然の英語のスピーチに司会者も「これは誰が訳すの?」の声に会場は笑いがおき、神保監督が「初めて映画に出演し、昆虫は初めて触りましたが、好奇心が起きて好きになりました」と通訳する場面も。最初は男の子をキャストを探していましたが、オーディションで英語が堪能な紫英ちゃんのキャラクターがユニークで選ばれたとのこと。

祖父さん役の鳥居敏明さんは、時々エキストラとして太秦の撮影に出演して7〜8年目。「セリフのある役は初めてで緊張の連続でしたが、役者はやめられません」と魅力を語りました。普段は、奈良県の法隆寺で案内係を務めているという鳥居さん。「お寺とか仏像に興味がある方はぜひお越しください。ご案内させていただきます」とのこと。鳥居さんは3月20日からシフトで法隆寺に入っているそうですので、タイミングが合えば、鳥居さんの名調子で案内を受けることができるかもですよ。