開催レポート
 
3月16日(日)最終日 vol.2

 

監督「銀河鉄道999」への思いも明かす

上映前には「こんにちは。私は韓国『サンシャイン・ラブ』のチョ・ウンソンです。おおきに!」と見事な日本語で自己紹介。「低予算の作品で至らない点もあるが、俳優をはじめ私たち皆が一丸となってつくった作品です。」と挨拶されました。

上映後のQ&Aでは、観客より韓国映画にしては地味だが新鮮と感想が寄せられた後、監督がより有名になり韓流スターが出演したら作品のテイストは変わるのかと興味深い質問が飛び出しました。チョ・ウンソン監督は「主演のオ・ジョンセさんは、別の映画では、韓流スター役で主演しており、実際にも韓流スターです」としながら、どんなキャストでも自分の考え方はどこにも逃げないと明言。さらに、最初は友人役のソン・サムドンさん(韓国インディペンデント映画界のイ・ビョンホンとの異名を持つそう)を主役にしていたが、オ・ジョンセさんの出演が決まったことから急遽主役を変更したエピソードも披露しました。

また、最初は主人公が飼っているネコと主人公をだぶらせるストーリーを想定していたという意外な事実も。しかし、ネコがあまりにも言うことを聞かず変更を余儀なくされたそうです。何度も登場する『銀河鉄道999』になぞらえたシーンは「本作のシナリオを書くきっかけになったのが『銀河鉄道999』と言っても過言ではない。ラストは主人公の男性が自分の愛や夢を手に入れ、未来に向かってはばたこうとしている姿を描いた」と思い入れの強さを語ってくれました。

 

 

 

「私はオタク」と告白した監督の愛があふれる1作登場

海外初上映となるフィリピン映画『ブルー・ブースタマーンティー』。上映前にタイトルの意味について「“ブースタマーンティー”はフィリピンでよくある名前。“ブルー”は劇中で主人公が演じるスーツアクターの青色から来ている」と説明し、戦隊ヒーロー愛にあふれる同作が上映されました。

エンドロールでは「つづく」という文字が映し出され、会場は爆笑。さらに上映後登壇したミコ・リヴェロ監督は紙袋を手に「でんでんタウンに買い物に行ってきた。メイドカフェにも行ったし、告白しますが私はオタク。」とカミングアウト。

時代背景については「フィリピンでは90年代戦隊ものやウルトラマンが非常に流行り、私も影響を受けたので、今回その時期を舞台にしている」また、劇中で登場するレッドブースターの斉藤さん役は急遽出演することになった監督の友人(フィリピン人)で、日本語なまりの英語アクセントを3時間で習得したそう。

戦隊ヒーローといえば関連グッズがつきものですが、「ジョークで知り合いがフォースファイブのフィギュアを限定30個作ってくれた」と実物を披露してくださいました。この映画で戦隊ヒーローの戦闘シーンが撮れ、夢が叶ったというミコ・リヴェロ監督。

最後にエキストラ出演したフィリピン在住日本人のあつこさんとまきさんが客席から監督に花束を贈呈。監督の日本での上映を祝ってくださいました。

チョ・ウンソン監督とミコ・リヴェロ監督、大阪を満喫いただいたようです♪

 

 

 

プロダンサーとスタッフ陣のアイディアがはじけ飛んだ1作

『狂舞派』の上映に、アダム・ウォン監督、製作のサヴィル・チャンさん、トミー“ガンズ”リーさん、マク・チャウセンさん、作品に登場した太極拳クラブのマスコットを手にしたリディア・ラウさんが登場!

「ロケ場所に行きたいです」の声に、「セントラルのガウ ユー フォン(Kau U Fong)です。ソーホー近くの麺屋さんのところ」と監督の答え。すぐさま、会場からドッと反応があがりました。また、「香港映画でダンスは珍しいが、なぜこの題材で撮ろうと思ったのか」という質問に、 アダム・ウォン監督は「ある晩、理工大学に入って話をしていたら、敷地内のセブンイレブンの前で若い人たちがたくさん踊っているのを見かけ、興味を持ち、話しを聞いてみた。すると、部室を取り上げられたダンスクラブが、新たな練習場所としたのがそこだった。そのうち、在校生だけでなく他校や海外からも人々が集まるように。その噂が広まって更に名前が知れ渡って行ったというストーリーを聞いた。そんな彼らのダンスに対する熱い思いや生命力に打たれて、映画の題材にしてみようと思った」とのこと。

  • アダム・ウォン監督
  • サヴィル・チャンさん
  • マク・チャウセンさん
  • トミー“ガンズ”リーさん
  • リディア・ラウさん

出演者かつ振付師として作品を支えたマク・チャウセンさんは、「映画の中に出てくる皆さんはすべてプロフェッショナルなダンサーです。500人以上の応募を頂いたので数日かけてオーディションしていきました。」と話し、「振り付けが多岐に及んでいて楽しかった」という観客の声には「参加してくれたダンサーの方々が僕達の要求に一生懸命応えてくれたおかげで、魅力的な“画”が出来たと思います。」と語られました。

トミー・“ガンズ”・リーさんはルーフトッパーズのリーダーとして、ストーリーに転機をもたらす重要な役を演じました。司会者からの「ダンサーと役者、どちらでいらっしゃる?」の質問に「今は両方だと思っています」と笑顔。

明るくチームを支えるミルクティー役のリディアさんもプロのダンサー。簡単な日本語は理解できるリディアさんの返事がユーモラスで、観客にも笑顔が広がりました。

「続編があると聞きました」と観客が言うとアダム監督は「絶対やります。今年じゃないですが(笑)」とのお答え。楽しみです。 この時間、質問された方々には、監督から缶バッジのサプライズプレゼントが!

ゲストの皆さんはトーク終了後もシネ・ヌーヴォ前でサインや写真に気さくに応じながら、観客の熱気と笑顔を受け取っていました。

 

 

 

緊急来場に会場もヒートアップ

映画祭最終日、ABCホールにてクロージングセレモニーの前に、急遽『春夢』のヤン・リーナー監督、音響デザインのジャン・ヤンさんがシネ・ヌーヴォにて上映前挨拶に来てくれました!

「本日は『春夢』を観にきてくださってありがとうございます。とても嬉しいです。これが私の長編一作目です。」と挨拶。また、ジャン・ヤンさんのことを「中国一の音響デザイナーです。彼の技術はとてもすばらしく、過去にも偉大な監督たちと仕事をしてきました。そして彼は無名の監督や作品も支援していて、無償で指導や手伝いをしています」と紹介しました。そう紹介されたジャン・ヤンさんはこの映画に参加した理由として、ヤン・リーナーさんの女優としてすばらしい演技をされているのを知っていたこと、をあげられました。

  • ジャン・ヤンさん
  • ヤン・リーナー監督

ヤン監督は「何を言いたいかは映画を見たらわかってもらえると思います。中国の生活状況、社会状況は良くなっているにも関わらずなぜか人々は不機嫌になっていっているように感じます。まだまだ男性中心の社会の中で、中国の女性のためになにができるかと考えて撮影しました」とお話しになりました。