開催レポート
 
3月16日(日)最終日 vol.3

 

映画制作過程の面白さもみえた時間。小学生監督・花田優里音ちゃんも登壇!

プラネット・スタジオ・プラス・ワンにてCO2ワークショップ作品『映画列車』の上映時に、富岡邦彦CO2事務局長、CO2事務局員で講師を務めた金井塚悠香さん、メイキング撮影と構成を担当した板倉善之さんが登場しました。

どのような意図でワンカット、サイレント、カメラの固定といったルールを設けたかについて富岡さんは、「一つの画の中でどこまで出来るのかということです。80年代でもアフレコが普通でしたが、今は意識して録らなくても録れちゃってる状態。最初に戻って画だけで撮った方が映画のルールが発見出来るという意図です。」との答え。

講師としての苦労について金井塚さんは、「参加者が考えたお話をどう導き出すのかに苦労しましたね。こちらが提示しすぎると、元々その人が描きたかったこととは違って来ますから。」 それに富岡さんは、「僕がすぐ答え出しちゃうって怒られるんですけど(笑)。10歳くらいの女の子が落ち込んでいる様子を撮ろうとしたんですけど、落ち込んでいる気持ちは写らない。“落ち込んだときどうするの?”って聞いたら座り込んだ。“それでしょ”って。自分で発見して行く過程はあるんです。」

  • 富岡邦彦CO2事務局長
  • 金井塚悠香さん
  • 板倉善之さん
  • 花田優里音ちゃん

この日、小学生監督の一人、花田優里音ちゃんが来場していたため急遽挨拶に立つことに。 「『落ち着かない少年』をつくつた花田優里音です。よろしくお願いします!」この作品は大阪城公園で撮影された、誰かを待っている少年の繊細な気持ちを描いた1分間作品。清水艶監督の『ホールイン・ワンダーランド』(ndj:若手育成プロジェクト)で主演を務めた優里音ちゃん。現場でずっと監督ごっこをしていて、当時の舞台挨拶では“監督になりたい”と宣言したそう。また、「参加した『少年H』の降旗康男監督はおじいちゃんで、清水監督はとても若い。若い時から歳をとっても映画監督が出来るんだなということで、もっとやりたいなと思いました」と強い意志がみえました。また、メイキングを担当した板倉さんは今回の撮影を目の当たりにして、「映画の学校の学生時代の苦いものを思い出しました。」とのこと。

富岡さんは、「来年も別の形でもいいからやりたい。撮りたい人だけじゃなくて観たい人のためにも広げていけたら」としめくくりました。

 

 

 

草野なつか監督、初長編作品の苦労を振り返る

CO2助成作品『螺旋銀河』の上映後、草野なつか監督と富岡邦彦CO2事務局長が登場。初の長編で監督を務めた感想を尋ねられた草野監督は「シノプシスの段階で10回ほどやりとりして。その期間が一番辛かった。後は、シナリオが出来上がった段階で、現場レベルにどう落し込むかが結構大変でした。自分のものではない言葉をどうやって役者さんたちに伝えたり、咀嚼して自分のものとして立ち上げて行くかが、こんなに大変とは」と。富岡さんは「最近の自主制作映画は自分で脚本書いて、監督が自分の好きなものをやるけど、本来映画はそうじゃないですからね。高橋知由くんが書いた脚本を草野さんがどう解釈するか。高橋くんも全て解答を出しているわけではないので、草野さんがどう撮ってくれるか。ここは演出に任せようという部分はいくつかあったと思います」と述べました。

それを受け、草野監督は、「私に任せて欲しいと言った場面については、高橋くんも“そこは草野さんの仕事だね”と後押ししてくれた。そこは感謝しています。」と話されました。

会場からは、「日本的で落ち着いて見られたしオリジナリティがあって面白かったです」「ラジオドラマを撮るところが非常に面白かったです。」との意見が。草野監督は、元々は朗読の発表をするという設定で企画が動いていましたが、脚本の高橋さんがラジオドラマを提案してくれた経緯を説明。「普通のラジオドラマは声のトーンをもっと大げさにしないといけないと思いますが、この映画では過剰に読み上げてもらわずに抑えました。お芝居の隙間、のりしろを持たせて、その声が世界に広がったり触れたりすることを考えてもらったらいいなと思いました。」

  • 富岡邦彦CO2事務局長
  • 草野なつか監督
  • 石橋征太郎さん

最後に出演の石橋征太郎さんが登壇し、「この作品は東京で上映される事を願いつつ、他のたくさんの人の目に触れていただくことを願っています。」と挨拶。

草野監督は「作品について周りの方とお話していただいたり、SNSでご発言頂けたら。もちろん直接ご意見頂いても嬉しいです。こういった一つ一つが公開に繋がっていくと思います。本日は本当にありがとうございました。」と挨拶し、観客から惜しみない拍手を贈られました。

 

 

 

最終上映も完売の人気。

映画祭期間中4回の上映があったC02助成作品『僕はもうすぐ十一歳になる。』もいよいよ最終上映となりました。この作品を観客のみなさんはどのように受け止めたのか。その声をお届けします。

○「観終わった後、余韻を感じる作品。じっくり色々なことを後から振り返って考えたくなりました。」

○「題名に惹かれました。メインの写真を見て決めたので、こんなに子供が死生観を考える映画とは思っていませんでした」という感想のほか、「欠けた蝶の羽根を見て、お父さんが“その時あったことを思い出すんだよ”と言います。この蝶一匹でその時の年齢のままの感覚を何年経っても思い出すんだろうな。生きた日記帳なんだな。これは凄い!と思いました。」

足を運んでくださった皆様、ありがとうございました。